これは、衣食住の「住」の仕事をしていたときのお話です。

「若い女性」

朝一番、なにやら憤慨やるせなしという、不機嫌極まりない顔をしたベテラン営業マンの男性が出勤してきました。

あまりのご機嫌斜めの顔に「おはようございます」とだけを伝えて、朝のお茶を出し(朝一番から、八つ当たりをされるのは嫌だったので…)、あとは素知らぬ顔をして自分の仕事に取りかかりました。

暫くしてお茶を飲み終えたベテラン営業マンさん、気持ちが少し落ち着いてきたのか、
若い女はあかんな~」と私に向かって言いました。

〝若い女性は…、あかん?何のこと?〟と思う私に向かっい、

「まぁ、聞け」と、なにをどうかとも聞いてもいない私に話し出したのです。

「先輩」

昨晩、このベテラン営業マンさんは、今は「住」の仕事で独立している先輩の男性に会ったのだそうです。

その先輩の男性が、半年前から20代の若い女性と交際(不倫)していたことを知っていたベテラン営業マンさんは、

「今日も、また、とめどなく若い女のことを自慢されるのか…」と(相手の女性とののろけ話ばかりを話す)先輩の男性に会うのが少しだけ憂鬱になっていたのだそうです。

ですが、待ち合わせ場所に来た先輩は「あなた、誰ですか?」と思うほどにやつれ果てていたのだそうです。

そして、その先輩が「実はな~、俺、女房と別れてん」とひと言ポツリと言ったのだそうです。


「離婚」

この先輩の男性は、それまでにも何度か浮気(不倫)をしていたのだそうですが、今回、半年前から交際している女性に対しては本気だから、奥さんに別れて欲しいと言っていたのだそうです。

奥さんの方からすると、『またか!』という思いがあったでしょうが、子どものことを考えて離婚をする気がないと言ったそうです。

それに、これまでにもそう言いながら、結局は家に帰ってきて何食わぬ顔をしていたので、今回のことも時間が経てば終わることと奥さんは考えていたようです。

ですが今回、この先輩の男性は、その若い女性との結婚を本気で考えていたので、どうしても「おまえとは別れたい。離婚してくれ」と毎日のように奥さんに迫ったのだそうです。

そして、とうとう奥さんの方が折れてというか、あきれ果ててというか…。


「なら、この家の名義は私に書き換えて下さい。
それから慰謝料と養育費を一括で支払って下さい。
そして、子どもには二度と会わないでください。

勿論、私にも、この家にも二度と近づかないというなら、その条件をすべてのんで実行してくれるなら別れてあげます」

と言ったのだそうです。


すると、この男性、「分かった、その条件すべてのむ」と言って、すべての手続きを終えてから、やっと奥さんから離婚届にサインを貰い役所に届けを出すと…。


喜びいさんだその足で、その先輩の男性が結婚を考えた本気の彼女である、若い女性の住むマンションに駆けつけたのだそうです。

「これで俺たち、晴れて結婚出来るぞ!」と言って…。

「そんな気ないから」

ですが、玄関先でこの先輩の男性を迎えた若い彼女に、「女房とは離婚した。これで俺たち、晴れて結婚出来るぞ!」というと…。

「えっ?!私、言ったよね。このままの関係がいいって言ったよね。それに、離婚なんてしたら、家もお金も取られるんやから奥さんとは別れんでもいいからって言ったよね!」と、先輩の男性に対して素っ気なくこたえる彼女。

「あっ、いや、それは遠慮して言うてるんやとおもて…」と先輩の男性。


「そんなことあるはずないやんか、なんで私が、わざわざお父さんみたいな年齢のあんたと結婚せなあかんの?

あんたみたいな年寄りの面倒を、私がわざわざみやなあかんのん!
あんたのええとこは、いつでも自由に、私の為にお金を気前よく使ってくれることやん。ただそれだけやんか、勘違いせんといてよ」

と彼女は、“いい加減にして、そんなこともわからんの”と言うように、怒りに燃えた目で先輩の男性を睨みつけながら言ったのだそうです。


そして、当然彼女が喜んでくれると思っていた先輩の男性は、まさかまさかの彼女の返事に、あまりの予想しない事態に玄関先で、「えっ」と言葉を失い絶句してしまったのだそうです。


する先輩の男性に対して、彼女は右手を大きく前に出してきて、
私、そんな気ないから、鍵返して、早く返して、ここの鍵!」と言ったのだそうです。

そのあまりの剣幕に、「あぁ、あぁ・・」と、反射的に彼女の部屋の鍵を取り出して渡すと…。

「もう、ここへは二度とこんどいて!迷惑やから」と、目の前でドアをピシャリと閉められたのだそうです。


「帰る場所がない」

「それで、今、どないしてるんですか?」とベテラン営業マンさんが尋ねると・・。

「帰るところがないやろう。そやからな、今、安いビジネスホテルに泊まってるねん。金は殆ど別れた女房に渡したからな」と先輩の男性。

「奥さんに謝ったらどうですのん?」

「それがな~、謝ろうと思ってな、別れた女房に電話かけても出てもくれへん。仕方ないから、恥を忍んで家に行っても応答無しの知らん顔や。
おまけに子どもには、『お父さん、約束は守らんとあかんよ。もう、電話はかけてこんといて』って言われてしもうたわ」

と情け無い顔で、この先輩の男性は言ったのだそうです。

「しかし、考えれば、考えるほど女は怖いわぁ~」と、このベテラン営業マンは腕を組みながら言いました。

「どこが、怖いん?」とその話を聞いて、ちょっと呆れ気味の私がベテラン営業マンさんに聞きました。

「そやかておまえ、あれだけブランド品や一流ホテルにお泊まりや、海外旅行にお小遣いは月何十万ってもろといて、鍵返せやぞ!」とベテラン営業マンさん。

「まぁ、そうですけど…。その彼女、ほんまにその先輩と結婚したいって言ってたんですか?それやったらする気もないのに嘘ついて、その先輩にお金を貢がせて、おまけに奥さんとも別れさせたんやから、その彼女は結婚詐欺と同じで、初めからその先輩を騙すつもりの確信犯で怖いかもしれんけど…」と私が言うと。

「そやなぁ、そういえば…、今までの女みたいに、結婚、結婚、奥さんと離婚してとかいう女と違って、今度の彼女は『私はこのままでいいの、結婚なんて望んでないから』っていう、健気で、可愛い女なんやっていうてたなぁ~」と、腕組みをしたまま、天井を見据えて、思い出すように言うベテラン営業マンさん。

「それって、健気とか、可愛い女というのとは違って、ただ単に贅沢したいだけですからと、彼女は正直に言うてただけではないんですか?」と、

“ただ、その先輩が、彼女の言葉を自分の都合のいいように勘違いしいただけではないのですか?”との思いを込めて私が言うと・・。


ベテラン営業マンさん、暫く難しい顔をしていましたが、
「いいいや違う、そんなことはない。女は怖い生きものなんや、とくに若い女はや。そやから俺は、若い女と浮気しても、絶対に女房とは別れんぞと決めたんや」と私に向かって力説したのですが…、

でも、それはちょっと違うでしょう。
まず、奥さんとは絶対に別れないは、=奥さんを大切に考えているのなんだから、若い女性と不倫をするという発想が浮かばないのではと思うのですが…、


ただ…。
「住」に関する仕事は、表や裏で動くお金が大きな分、営業マンの懐に入るお金も大きくなります。だから、気も大きくなるのかも知れません。
勘違いをしてしまうのかもしれません。

ですが冷静に考えてみれば、この話のように、周りに人(女性)が寄って来るのは、そのお金の力、魅力なのだと気がつけば勘違いしてしまこともないのだと思います。

そして、この先輩の男性のように、帰る場所がなくなるという最悪な状態になってしまうこともないのだと思います。

言い換えれば、帰る場所がなくなってしまったのは、自分が本当に大切にしなければならない、一番大事にしなくてはいけない人を、家族を、ないがしろにしてしまった結果なのではないでしょうかとそのとき、私は思ったのです。



そして、これは私が知る限りですが…。

そのお金の魅力に寄ってくる若い女性との不倫は、殆どの場合、男性側の孤独な末路で幕を閉じることが多かったように記憶しています。





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知らないことが知りたくて、メンタル、カルマ、礼法に漢方スクール…etc.とお勉強。で、ですね、人を動かしているのは無意識、でも、この無意識を味方につけるとスゴいんだ~と気づいたら…、なぜか、「えっ?!そうくるかぁ~」と、色んな場面に遭遇しれしまう…という面白いことが起こりだすのでした。

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