“近代絵画の父”黒田清輝の展覧会が東京国立博物館で開催中

特別展「生誕150年 黒田清輝─日本近代絵画の巨匠」

2016年3月23日(水) ~2016年5月15日(日)

4月24日のNHK『日曜美術館』で「裸体画こそアートだ “近代絵画の父”黒田清輝の格闘」が放送されました。

傑作「湖畔」などを描き“近代絵画の父”と呼ばれる黒田清輝(1866~1924)明治の美術界をけん引した黒田だが、それはまた西洋絵画を日本に根づかせるため裸体画問題と格闘し続けた生涯でもあった。“風俗壊乱”と非難を浴びた裸婦像「朝妝(ちょうしょう)」、3女性の裸婦像「智・感・情」、そして下半身が布で隠される“腰巻事件”を引き起こした「裸体婦人像」など裸体画騒動を追いながら黒田が描いた裸婦の傑作を紹介

出典 http://www4.nhk.or.jp

また、黒田清輝は日本の美術教育に裸婦デッサンを取り入れたことでも知られています。
黒田の果たした功績は大きく、現在も多くの美術家に影響を与えています。

『腰巻事件』とは?

明治31年、黒田清輝はある展覧会に『裸体婦人像』を出品しました。
この作品は黒田がフランスに滞在中、フランス人のモデルを使って裸婦像を描いた油絵です。

この作品は、膝を横に折り曲げ床に腰を下ろした白人女性が描かれていますが、警察によって「わいせつ」とされ女性の胸の下から下半身までを、額縁ごと布で覆い隠されたのでした。

これが『腰巻事件』です。

結局、作品下部に布を巻き付けて展示することを命じられ、後に所謂「腰巻事件」と呼ばれるようになったこの騒ぎ。今見るとどこが猥褻なのかさっぱり分かりません。それよりもこの事件が今から僅か100年前に起きたという点に驚きを禁じ得ません。

出典 http://bluediary2.jugem.jp

美術関係者でなくても、そう思っている人も多いと思います。

そして現在も『わいせつをめぐる『検閲
表現規制が注目されています。

愛知県美術館での『これからの写真』展での出来事

愛知県警が出品作家である写真家の鷹野隆大の作品にたいして「わいせつ物陳列罪」に抵触するとして作品の撤去を指導したそうです。

美術館と鷹野は作品に写る男性の下半身に布や半透明の紙を添付することで、作品の撤去を免れることができました。

この出来事について、ネットでは警察による介入に反対する署名活動が繰り広げられたここともあったのでした。

鷹野隆大からのコメント

僕の取りうる選択肢は3つ。ひとつは、展示を引き上げる。ふたつめは、指摘された作品を外して問題のない別の作品に差し替え、何事もなかったように造り変える。みっつめは、指摘を受けたことがわかるようにして展示を続ける。

出典 http://www.webdice.jp

美術館は世の価値基準とズレがあって当然

Licensed by gettyimages ®

僕個人は、今回の件を、作品の制作者以上に、美術館の「表現の自由」(あるいは「言論の自由」)が侵されたと考えています。美術作品というのは、本質的に「変なもの」のはずです。美術館は、その変なものを集めて保管しているところです。であるなら、世の価値基準とはズレがあって当然です。それを認めないなら、美術館という制度自体を否定しなければなりません。つまり、美術館という場は、必然的に治外法権的な聖域であるということです。

出典 http://www.webdice.jp

美術館からの配慮があったにも関わらず、匿名の通報が

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展示室の入口に「一部の作品に不快な印象を与える可能性が~」のような注意事項を掲示し、カーテンで仕切るなどの配慮もあったようです。

しかしある匿名の通報が美術館ではなく、警察に寄せられてしまいました。
作品の印象からすると、同性愛に嫌悪感を持った人物のようにも思えます。

今回はたった一件の「匿名の通報」で行政機関が介入してきた。美術館は本来「あそこにはなかなか立ち入れない」という場であるはずです。

出典 http://www.webdice.jp

そして布で隠すことにより、見る権利を阻害したことも問題視されました。

来場者の『見る権利』(鑑賞する権利)を阻害した

Licensed by gettyimages ®

この匿名の人物以降に来場した多くの来場者から、鑑賞するといった機会を奪い取ったという点で、多大な損害を与えたことにはならないでしょうか?

芸術家には『表現の自由』というものがあります。

そして芸術家が美術館で見せたい作品を、観客が見ることができないということであれば、見る権利を主張するべきなのです。

ただ『表現の自由』といっても、その表現物をどのように人前で展示するかは、制限されるべきだとも思います。

また、彼らの表現そのものが法的に禁じられたわけではなく、それらの作品が美術館などの公共の空間で見せられたからこそ、社会秩序を維持すべき警察は、事件として確立させたということも誤解しないようにしなければならないですね。

日本でも人気の写真家メイプルソープの場合

メイプルソープ事件

出典 http://www.amazon.co.jp

2月19日最高裁判所において、アップリンク発行のメイプルソープ写真を浅井隆(アップリンク代表取締役)が国内に持ち込もうとして国が輸入禁止をした処分の取り消しを求めた行政訴訟に勝訴しました。

出典 http://www.webdice.jp

1992年の日本での展覧会では

出典 http://www.amazon.co.jp

日本でも人気が高いメイプルソープですが、1992年に開催された日本での展覧会の際には、現代美術系の水戸芸術館ではヌード作品を展示されましたが、東京都庭園美術館では、花の作品などが中心でした。美術館によって作品の展示内容が異なっていたのを覚えています。

このように美術館によって展示を内容を考慮することも必要なのかも知れません。

昨年、日本初の春画展が開催された

しかし昨年秋、東京の永青文庫で初の本格的な「SHUNGA 春画展」が開催されました。
ネットでも話題になったので、ご存じの方も多いかと思いますが、会期中は21万人の動員があったそうです。
春画展の開催がOKとなっても、やはり通常の展覧会とは違い、表現を控えめにしたようです。

いかがでしたか

黒田清輝の『腰巻事件』だけでなく、過去にはいろいろな事件がありました。
彫刻作品にオムツを履かせるなど、思わず笑ってしまうようなものもあります。

表現の自由と同じく、鑑賞することの権利を主張することも必要だと改めて思いました。

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