世界には多種多様の文化が存在します。私たちが知らない暮らしをしている人の存在を知った時、異文化との遭遇にショックを受けることもしばしば。

そんなカルチャーショックを受けた時、拒否反応を起こしてしまう人もいるでしょう。私たちが住み慣れ親しんでいる母国日本とはあまりに違い過ぎる暮らしや風習をしている人を「受け入れる」必要はどこにもないのですが、できれば拒否せずに「受け止め、理解すること」が必要ではないかと思います。

インドネシアの秘境、スラウェシ島に暮らすトラジャ族

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今回、インドネシアのスラウェシ島にある山間地帯に住むマレー系先住少数民族、トラジャ族と呼ばれる人々の暮らしと風習についてご紹介しましょう。

独自の死生観を持って生きる人々

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トラジャ族の人々はほとんどがキリスト教の信者でありながら、いかなるものにも霊魂が宿っているという思想、アニミズム信仰も持つ民族です。そのため死者にも魂が宿っていると考えており、「死者と家族が共に暮らす」という唯一無二の文化・風習を受け継いでいます。

1日3度の食事も忘れない

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トラジャ族の人達は、家族が亡くなった時にすぐに葬式を行いません。数週間、家族と一緒に住み続けます。とはいえ、故人の腐敗を防ぐためにホルマリンによる処理の後、顔以外を布でくるまれ、まるで寝ているかのように横たわっているのです。

故人に話しかける家族たち

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放っておけばいずれミイラになっていく故人。でも家族にとっては魂が抜けてもそこに霊魂が宿っているという思想から「ご飯だよ」などと故人にごく普通に話しかけるのです。トラジャ族の間では「生」と「死」はあくまでも同一線上にあるもので同等。だからこそ彼らの行う葬儀は、まるで生きている人を祝うかのように盛大なのです。

富裕層も貧困層もお葬式にはお金をかける

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まるでこの盛大なお葬式のために人々は生きているといった感じさえ受けます。葬式が派出て大きければ大きいほど、故人が幸せに天国へと旅立つことができると信じているトラジャ族の人たち。

そこには富裕層と貧困層の壁さえも存在しないのです。貧困な暮らしをしている人たちにとっては、この盛大なお葬式の費用は自分たちが稼ぐ何十倍にもなります。そのために借金をしてまでも葬式費用を集めるのです。

水牛は故人を天国へ導く大切な乗り物

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トラジャ族の盛大なお葬式に欠かせないのがこの水牛。昔から「死者は水牛に乗って天国に行く」と信じられており、水牛同士の決闘後、村人たちの手によって殺されます。殺す数が多ければ多いほど死者が天国へと旅立ちやすいという考え方のようで、その様子を幼い子供たちも平気で見守っています。

死者への「祭り」は三年に一度行われる

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葬式が終わった後も、死者は永遠に墓場で眠ることはありません。三年に一度、死者への祭りが行われます。その度に棺桶から亡くなった家族を取り出し、綺麗に服を着せたり化粧を施したりして一緒に写真を撮ったりします。

「マネネ」と呼ばれる死者の祭り

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すっかりミイラ化してしまった家族を着飾り、故人が気に入っていた服を着せ街をパレードさせるという日本では考えられないような祭りは「マネネ」と呼ばれ、古くからこのトラジャ族の間で行われてきました。

「死は必ずしも永遠の別れではない」

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このトラジャ族の儀式を受け入れがたいと思う人もいることでしょう。死者が墓場で安らかに眠るように祈るのが最大のリスペクトだと思う人からしてみれば、棺桶から死者を出して街をパレードなどといった祭りは「死者への冒涜」だと考える人もいるかも知れません。

でもトラジャ族の人たちにとっては、この「マネネ」は、死者への冒涜とは正反対に死者をリスペクトし「死は永遠の別れではない」ということを認識しながら故人との繋がりを大切にしていく重要な儀式なのです。

亡き家族全てに対して行われる

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亡くなった親だけでなく、自分の子供だったり、また幼い時に失くしたきょうだいに対してもこの「マネネ」は行われます。死者と一緒に写真を撮り話しかけ、まるで答えが返って来るかのように耳を傾け接している家族たちの姿を見ていると、やはり「永遠に会えない」という観念はないのだろうということに気付かされます。

これが、トラジャ族の文化であり独自性

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こうした古くからの風習は、たいていが宗教観念と深い結びつきにより行われています。
生物、無機物を問わないアニミズムの信念を持つトラジャ族だからこそ、死者との永遠の別れは来ないという持論で、葬儀に費用をかけるために人は生きています。いわば「死のために生きている」という理論を持っているのです。

宗教は時に人を狂わせる凶器にもなります。宗教によって戦争が起き、多くの人の命が奪われるということも実際に世界のどこかで起こっています。全ての宗教が博愛精神に満ちた教えでないことはきっとみなさんもご存知でしょう。

でもトラジャ族の人たちの神への信仰は「死者との密接な関係」を表し、肉体が朽ち果てても魂が宿ると信じることで更に死者との結びつきを強めているのです。このような考え方が良いか悪いかは誰にも判断できないこと。

一人一人の価値観が違うように国によっても風習や文化が違うのは当たり前のこと。彼らの死者への扱いにカルチャーショックを受けても、「命の連鎖」をこのような形で守っているトラジャ族の人たちの誇りある暮らしは少なくとも理解されるべきことではないでしょうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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