今年のゴールデンウィークは、まとまった休みがないこともあり、一日だけ、日帰りで予定をたてていました。パパと出かけられることを楽しみにしていた長男(4歳)は、前日から大はりきりで、いつもより少し早く、19時には就寝しました。

その夜、パパが遅く帰ってきて、明日は予定をキャンセルして仕事に行かなくてはならなくなった事を知りました。私は、長男に明日出かけることを話してしまっていたし、悲しがるだろうと思って、どう言おうかと考えながら残念な気持ちで眠りました。

翌朝、長男は5時半には起きてきて、第一声に『ママ、もうお弁当作った?』。私は『今日はね、パパがお仕事になっちゃってね、行けなくなっちゃったんだ。』パパの仕事の内容を理解している長男は、悲しさと悔しさで涙を流すものの、やり場のない気持ちと格闘しているようにみえました。

私はなんとか長男に喜んでもらおうと、お弁当を持って近所の広場でピクニックをしようと提案しました。長男はなかなか切り替えられず、『なんで太郎(自分)たちだけいつもの広場なの』と。私は『パパがお仕事なんだから仕方ないでしょう!』ばかりでした。無理矢理納得させようとしていたのだと思います。

十数分間その様なやりとりが続き、もういい加減にして欲しいと思っていたときに、消防車のサイレンが聞こえてきました。すると長男がハッとして言いました。『しょうぼうしゃ(消防士)さん、おやすみじゃないの?』

私は『そうだよ。火事はいつどこで起きるかわからないから、働いてくれているんだよ。』と答えました。『自分たちだけが、お休みがいつも通りでつまらない』と思っていた彼は、『消防士さんもいつも通り働いてくれているんだ』と気付いたのです。

私は提案を変えてみることにしました。『太郎がパパとお出掛けするところにはね、太郎のために休まずに一生懸命働いてくれる人がいるんだよ。どんな人が働いてくれているか、みにいってみようか。』

『やったー!!行こう!!!』
太郎は大はりきりで、いつもの商店街に向かって駆けていきます。次男を乗せたベビーカーも加速して、彼の学びが始まりました。

彼の言い方で、どんどん見つけます。
しょうぼうしゃ(消防士)さん、いつものめがねやさんのおにいちゃん、おさかなやさんのおじちゃん、かみのけきってくれるおにいちゃん、おそばのおにいちゃん、こんびにさん、けーきやさん、しゃしょう(車掌)さん、バスのうんてんしさん、太郎の好きなポリスメン(警察官)

商店街を歩いただけで、彼はたくさんの人が働いていることに気がつきました。自分のパパだけがお仕事になって、今日は自分だけが楽しくない、そう思っていた少し前の彼はもうそこにはいませんでした。

わたしが気がつかなかった人たちのことも、彼が発見して教えてくれました。
『いつもの公園のおじさん、収集車でゴミを集めてくれたおにいさんたち、このおもしろい人たち(TVでみた芸人さん)もだよ!』

私たちがお休みを楽しむために休みをとらずに働いてくれる人がいるということ、休みが世間と同じようにとれない人たちがいるということを、この日彼は学びました。
この歳でできる一番意義のある休みの使い方ができたような気がします。

一生懸命働いてくれるパパや、長男のキラキラの目に飛び込んでくれたみなさんに感謝した一日でした。

そして、ワクワクしながらであれば、親がわかってほしいなと思うことを子供は自分から学ぶのだとわかりました。普段のものの言い方を少し変えてみようかなと、反省する母ちゃんなのでした。

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須藤 暁子 このユーザーの他の記事を見る

医師、コラムニスト。Spotlightプラチナ公式ライター。
大学病院に勤務する二児の母。総合格闘技、プロレス興行でリングドクターを務める。
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