日本の「教育」と欧米の「education」

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子供を持つほとんどの親が「教育」に関して興味があると言えるのではないでしょうか。これからの世代を担っていく子供たちは、私たちが子供だった頃よりも遥かに進化したテクノロジーの下で教育を受けています。

ところが、やはり日本は欧米と比較するとまだまだ海外の教育に追いついていないというところが。一般的に日本の教育は「欧米」のそれと比べられがちですが、そもそも欧と米でも教育には差があり、欧州でも先進国各国によって教育方法は様々。

筆者はイギリス在住で、5歳の息子は小学校へ通っています。今回は、欧米の「education」を全体的に見ながら、イギリスでの教育方法をメインに取り上げ、そして日本との比較をしてみようと思います。イギリスにいる筆者から見たそれぞれの教育の違い、あなたはどう感じるでしょうか。

「学校は勉強だけする場ではない」ことを教える

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イギリスではどの地域も小学校は4歳から始まります。Receptionといって本格的な授業を始める前のいわば「慣らし」の1年間。このReceptionの参加は希望者次第。筆者の息子はReceptionには入れず、ナーサリー(幼稚園)に通っていました。

幼稚園でも学校のReceptionクラスでも大して変わらない点は、子供たちには遊びをメインにして過ごさせるということ。あくまでも団体生活に慣れてもらうことが基本なのですが、いきなり勉強机に向かうのではなく森に探検に行ったり絵を描いたりとのびのびとした学校生活を送らせることができます。

そして5歳になって基礎科クラスに入ります。ここからは義務教育。でも子供たちの教室には日本の学校のような整然と並べられた机や椅子はありません。部屋の隅に座れる場所はあるものの、子供たちはみな床に座ります。

筆者の息子のケースですが、毎朝学校に行くとスクリーンに文字が映し出されます。鉛筆とノートを使わない授業が5歳から行われているのです。文字の練習は各生徒がホワイトボードとペンを持ち、スクリーンを見ながらそれに倣って書いていくといったやり方。

また、ある授業では先生が使うタブレットのアイコンがスクリーンに映し出され、生徒は黒板ではなくスクリーンを見て授業を受けたり、また生徒自身がタブレットを使って授業をするといった光景がイギリスでは一般的です。

テクノロジーが進化している時代だからこそ、若き子供たちにもそれをどんどん受け入れてもらい、実用できるように育てていくのが欧米の教育、educationと呼ばれるもの。

ここで「教育」の意味を考えてみましょう。「教育」は文字通り「教えて育てる」こと。そしてそこには欧米との大きな違いが。日本では、先生が子供に教えを植え付けているという教育の在り方をしているのに対し、欧米では子供たちの能力を引き出すことが主眼だとされているのです。

educationの語源とは?

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英語のeducationは日本語では「教育」と訳されますが、元々はラテン語の「e-(外へ)+ducere(導く)」という言葉から来ており、「内なるものを外に導く」つまり「子供の可能性を外へ引き出す」という解釈がされています。

欧米の教育はまさにこの言葉通り、子供たちの能力や可能性を受け身にせずに積極的に前へ引き出すことを目的としているのです。

個性を尊重し、間違いを叱るより成功を褒める

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日本では「叱る教育」とも言われているように、子供が間違いをすれば叱って正しい道へ導くといった教育法であるのに対し、欧米ではミスを叱りません。ミス自体に重きを置かずにミスしていない部分を褒めちぎるという教育方法をしています。

そうすることで、子供に自信がつくのです。ミスすることも恐れなくなりミスしても前向きに進めるようになるということは非常に大きなことではないでしょうか。

実際に筆者も息子のクラスで、担任の先生が「これでもか」と言うほど子供たちを褒めている光景を目にしたことが。「そこまで言う⁉褒め過ぎでは?」とちょっとオーバーにさえ感じるような先生の態度も、イギリスではごく当たり前のこと。

もちろん叱る時はきちんと叱ります。でも叱ることと褒めることの重さが違うのが欧米の教育といえるでしょう。

「受け身」の日本を生み出しているのは教育方針が原因?

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自主性、個性、自己主張…個人主義が一般的な欧米では、子供たちは小さな頃からこうした精神を身につけることを学びます。ところが日本では個性を大切にしつつも、やはりみんなと同じでなければいけないという前へ倣えの精神が根深く残っているのが教育現場の現状。

そうした受け身の子供たちを生み出し、その子供たちが成長した社会が今の私たちの社会。そして「自分のやりたいことがわからない」という人間を多く生み出す原因になっているのではないでしょうか。

授業の中身も違う日本と欧米

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息子が持って帰って来る算数の紙が非常に興味深いと感じました。日本では、数字と数字を足していくつになるかという答えが求められることが多いのですが、イギリスではその答えになるには、どの数字を足せばいいかということを子供たちに考えさせるのです。

つまり、答えは一つではないということ。この解釈方法は結果的に成長に置いて重要なポイントとなってくるのではないかと思う筆者。そしてまた子供たちの様々な思考力を引き出す素晴らしい教育方法だと思いました。

やり方を教えて問題を解かせ答えを出させる日本

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日本の学校で塾があるのはこうした理由からではないでしょうか。「詰め込み教育」といわれるように、日本は「記憶力」で勝負する国。でも欧米ではあくまでも子供中心の創造力、思考力が重視される教育をしています。

教科書はありません。子供たちが毎日作り出した工作や絵などの作品がクラスにたくさん並べられていて、壁には世界地図が。イギリスは特に多国籍の子供が多いのでクラスメートがどこの国から来たのかがわかるようになっているのです。

テクノロジーの実用化でグローバルチルドレンを生み出す

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日本の技術は世界一と言われるほど素晴らしいのはみなさんもご存知でしょう。でも日本は自分たちが生み出したテクノロジーを応用させることは苦手なのかも知れません。

学校で子供たちが机に座りノートに書き取りをする日本。もし、日本が欧米のように学校で子供たちにタブレットなどのテクノロジーを「遊び」以外で触れさせるようにすれば、応用が効き教育のグローバル化も進むのではないでしょうか。

「娯楽」と「教育」の線引きをし過ぎる日本

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テレビゲームなど、娯楽用のテクノロジーも日本はどの国よりもダントツ進んでいるといえるでしょう。そして子供たちはそんな「娯楽」にテクノロジーと触れ合うことは多くても、実際の教育現場で紙とペンを握っているようでは果たしてこれからの日本はどうなってしまうのだろうと正直不安な気持ちもします。

日本の教育方法を欧米に100%真似るべきだというのではありません。欧米のような教育方法を、日本の子供たちに少しだけでも取り入れるようにすれば、将来成長した子供たちが海外へ出た時にも自己主張の強い外国人と対等に向き合い、ミスを恐れず、また団体意識の思考が薄れることで個人を尊重するという態度が自然と身に着くのではと思うのです。

ノルウェーの高校では3年間授業でゲームが導入

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日本ではちょっと信じがたいような教育方法ですが、ノルウェーのある高校では3年間、ゲームのカリキュラムが加わりました。一人でプレイする時もあればチームを組んでプレイしたりと、ゲームの成績は当然結果として残ります。

「ゲームをすることで何が得られるのか。」そうしたプラス思考にはあまり考えない日本。「ゲームをすると目が悪くなる」「勉強に集中できない」といったネガティブな意見は聞こえても「ゲームをどんどんやろう!」という声は皆無ではないでしょうか。

ノルウェーのこの高校では「ゲームをすることで忍耐力や反射神経が養われ、チームプレイによって協調性やコミュニケーションが培われる」とし、ゲームを授業に取り入れているそう。欧米の教育方針で育ってきた大人ならではのアイデア。まさに日本も見習うべきではないでしょうか。

アナログ教育からそろそろ卒業するべき?

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日本が生み出した数々のテクノロジーで、海外の教育はどんどんグローバル化していきます。日本はテクノロジーを教育面で応用するということに消極的。娯楽との線引きが強すぎるからというのが原因の一つではないでしょうか。

今や、海外ではゲームはストレス解消にもなると精神科医も進めてるほど。何をするにももちろん限度はありますが、せっかく技術力がトップの日本で未だアナログ教育が行われているというのはちょっと寂しいところ。

未来の世界を背負うべき子供たちにとって、テクノロジーは必要不可欠。教育の場所でそれを応用させることで自然に子供たちにテクノロジーに対する適応力が養われるのではないかと思う筆者。

大人の私たちに必要なのは、未来を考えた教育を進めるべきだということ。島国日本がついに自分たちの技術を生かして、多くのグローバルチルドレンを生み出すような教育を導くこと。

子供の能力、可能性は「遊び」の時にこそ大きく広がります。その遊びを上手く取り入れるような教育システムを生み出すことが子供たちの世界を広げることになるのではないでしょうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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