“かわいそう”という思いが引き起こした苦い経験

以前も軽く記事にしたことはありますが、筆者宅が過去に救出したペットショップの売れ残りの犬について最近また考えることがあります。

助けようと家に迎えたのがちょうど今ぐらいの時期でした。現在は新しい家族に引取られ、彼の理想の一人っ子として落ち着いて暮らしています。引き取り先であるご家族と我が家との交流も出来、結果的には良い方向で終わったのでホッとはしていますが、今考えても安易だったと反省することはたくさんあります。

既に犬を飼っていて、うちと同様に棄て犬や売れ残りの犬を“かわいそう”という気持ちだけで迎えようと検討中の方は参考にしてみて下さい。

まったく売れる様子のない犬

その犬を初めて見たのは生後1ヶ月頃。ペットショップだと大体このぐらいの時期から販売されています。そして3回目のワクチン接種が完了する前の生後2ヶ月頃には迎えるのが理想的なんです。

チワワ系の小型犬ミックスでとても可愛い顔立ちの犬でした。ブリンドルという虎模様の入った犬です。ブリンドルは秋田犬やブル系の犬種に良く見られる柄の1つ。チワワにも稀にいるので、チワワの血統が強く出たようです。

散歩の途中に良く立ち寄るそのショップは、グッズも置いている上にシャンプーやグルーミングでも良く利用している所です。愛犬はそこのスタッフさんが大好き!散歩中にスタッフに会いに行くのも楽しみでした。そこに売られていたのがそのブリンドルのコです。

可愛いのですぐに売れると思っていたその犬は、生後7ヶ月を過ぎても売れませんでした。ある日散歩で立ち寄った我が家はその犬の値札を見てぎょっとします。つい数日前でも2万円という驚きの値段になっていたというのに1万円になっていたからです。

ショップに入った頃には10倍程の値段だったと思います。それがそんなに下がってしまい、グッズ脇に床置きになっていたんです。そこのショップは1歳を過ぎても根気よく家族を探すのは知っていましたが、そこに限らずあまりに売れないと繁殖用にするという話も聞きます。しかし雑種の場合は??保健所に行く場合も少なくは無いという話も聞いたことはありました。

その犬、何故か毎回我が家をじっと見て目で追っているのでつい声をかけたりしていたんですが、何だかかわいそうになり、夫と話し合い、うちの愛犬と相性が悪くなければ家族に迎えようという結論に達しました。

予想外のことだらけ

勿論、その犬をケージから出して貰い愛犬と直接会わせてみて様子を見たり、ショップの人にもその犬の性格を聞いたりと、いろいろ検討しました。ショップの話では「人なつこいし犬同士と仲良く出来る」「大人しい」ということでした。

しつこい犬が大の苦手なうちの愛犬と会わせた時も大人しくはしていたので大丈夫では?と、思い切って迎えることに。勿論、愛犬は我が家では娘同然で可愛がっているので、「実際迎えて合わない時には里親を探してあげる」と決めてのことでした

ところが、です。健康診断や諸々で契約してから数日後に迎えてみると、予想外のことが次々起こりました。7ヶ月を過ぎればとっくに散歩や外の世界に慣れていなければなりません。それがまったく初めての外の世界で、怯えて歩けないのです

歯の生え変わり時期を過ぎても何もされていない為、乳歯に重なって永久歯が生えているところもあり、顎は片方が潰れた感じになっているという具合。マズルの短い犬なので鼻はそもそも小さいのですが、顎の影響で穴が片方余計に狭くなっていました

健康状態が良く無いだけなら根気よく治してあげれば問題はありません。うちの愛犬もチワワ系ミックスですが2ヶ月で迎えました。飼う前は酷いアレルギーで毛が抜け落ちており、かさぶたも酷い状態でした。おまけに家に来るとケンネルコフという幼犬に多い風邪を引いており、いきなり病院通いだったからです。

愛犬の時は避妊手術の時に抜け切れない乳歯も一緒に抜歯しておいたので、良い歯が揃って現在は元気過ぎる程です。しかも、抜けていた毛は我が家に来てすぐにふさふさになりました。今は元気過ぎてマッチョなくらいです。

しかし、予想を遥かに超えていたのは性格でした・・・。
最初の数日はケージのまま家に慣れさせ、私達がいる時に30分程度など徐々に愛犬と同じ空間に出したりということを始めました。万が一のトラブルを避ける為です。ところがすぐに予想外の行動を始めたんです。

愛犬は私達夫婦と遊ぶのが日課で幼少期からの大切なコミュニケーションの1つ。愛犬の大好きな時間で楽しみなことです。ケージから出すなり、待ってましたとばかりにうちの愛犬を追い払う行動を始めたんです。一緒に遊べないどころか追い払ったり攻撃することしか頭にないといった感じです。

追い回すのではなく、前足を上げて愛犬をポンポン叩いてその場から追い払い始めた時はビックリしました。始めは様子を見ていましたが、困惑した愛犬が私達の方へ来ようとするとすかさず前足で叩き始めます。愛犬は人間で言う一人っ子の性格。攻撃されたこともない為驚いて反撃も出来ません。

《先住犬を攻撃する時の正しいしつけとは?
迎えたばかりの犬が先住犬を攻撃したり追い払う真似を始めたら放置してはいけません。「ダメ!」と言ってすぐにケージやサークルに入れます。先住犬を優先するのが大切なポイントなんです。自分には先輩がいるということを教える為です。

その他、こんなことにも気をつけます。
◎ご飯は先住犬から先に与える
◎おやつも先住犬から先に与える
◎先住犬へのマウンティング行為はすぐに𠮟りケージやサークルへ

そして、当然ですが家族全員が徹底出来ることも重要です。高齢者や人によっては小さい方を優先したり可愛がってしまうこともあります。犬の多頭飼いの場合にこれをやってしまうと若い方が「自分の方が偉い」と勘違いして増々先住犬を攻撃することがあります。

性格が形成された背景

計画的に多頭飼いをするなら、最も理想的なのは同時期に飼うことですが、年齢をずらして飼う場合は先住犬の性格と2頭目を迎える月齢の配慮が大切なんです。先住犬が成犬になっているメスの場合には、生後2ヶ月〜せいぜい3ヶ月の幼犬であれば母性が働くことがあります。これは比較的うまくいくパターンです。

次が先住犬が先輩犬としてしっかり位置を確立出来ていること。立場を脅かされないことです。先住犬が大人しい場合に2頭目に攻撃的な犬を入れてしまうと、飼い主が徹底しないと先住犬の居場所が無くなることも多いんです。そうなると2頭目は暴走することもあります。結果的に2匹ともダメになるケースもあります。

多くの場合が、後から来た犬は先住犬を攻撃したり自分が上の立場になろうとします。しかし、うちに来たその犬はそれをさらに強くする過程があったんですよね。

その犬は月齢3ヶ月頃から、つまり通常は散歩に行けるようになる月齢です。理由は知りませんが、その時期から常に他の犬と2頭で一緒のケージに入れられていました。ところが、何故か片方の、同室の犬ばかり売れてしまいます。

売れては次の新しい犬が入ってきて、またその犬が売れていく・・・。その状況を何度も何度も繰り返してきたんです。

その犬にとっては2頭で同じ空間にいるということは、また自分が選ばれないという条件になっていたようです。7ヶ月は十分物事が分かる時期です。何ヶ月も何回も経験したことで、自分が残ることに必死になってしまったようです。それが我が家に来ても続いていたようです。

さらに、後日ショップの別のスタッフさんに相談してみると驚くことを耳にします。「あのコ、性格がしつこいですから・・・」これは始めに聞いていないことでした。うちの愛犬が最も苦手な性格の犬だというのも後から聞き、ショックでしたね。

犬同士で優劣を決めさせない

多頭飼いに生じやすいこの問題では、意見が分かれることも多く、「犬同士で闘わせてどちらがリーダーかを決めさせる」という手荒な考えの人もいます。しかし、それは群れとして暮らしている古い時代の話ではないかと考えています。もしくは同じ月齢の犬を同時期で飼うという場合です。

近年の、家族として飼っている犬においては向いていない考えです。家庭犬にこのような野生動物のような考えは非常に残酷で、やってはいけない飼育法だと実感しています。人間にも多いのはおっとりした上のコより下のコの方が活発な場合が多いものです。

人間の子供であれば「兄弟で闘ってどっちがお兄ちゃんか決めなさい」とは言いませんよね?犬と人間の関係は変わってきており、昔のような動物としての扱いは該当しない部分が増えています。

だからと言って必要以上に服を着せなさい、人間のように扱いましょうとかそんなことを言っているのではありませんが。

早い判断をする

結果的には、その犬は他のお宅へ委ねることにしました。そもそも始めに決めていたことです。うちで飼えれば理想的ですが、ダメなら早々に里親を探してあげようと。それでも1ヶ月は頑張ってみました。

病院で検査を受けてみると成長も遅れていました。オスでしたが去勢手術も通常の時期に出来ない状態です。手術が出来ないので歯を整えてあげるのも断念しました。腸内の環境も悪く離乳食でないと下痢をします。通常はとっくに大人のフードにする時期なのに食べられません。

実は、うちが迎えることを決めた後、店頭から奥へ移動した途端酷い下痢になったそうです。血便まで出てしまい引き取りが数日ずれたのですが、我が家で改めて受診した時の獣医の話では「その時に腸内の善玉菌が出てしまったのでは?」ということでした。

犬が下痢をする、血便まで出すのは相当なストレスを感じている時でもあります。恐らくバックヤードに移動したことで、売れずに何処かへ連れて行かれると大きなショックを受けたのかも知れません。

下痢は我が家にいる間も治りませんでした。その為ずっと離乳食を作り続け、合間に少量ずつ乳酸菌のおやつを与えて少しずつ腸内環境を整えることを続けました。うちの愛犬が食べている乳酸菌サプリは歯が駄目で食べられず、そのコに合った物を探しました。

半年を過ぎればグリニーズを与える飼い主さんも多く、我が家でも与えていますが、そのコはグリニーズも駄目でした。余談ですがグリニーズは歯石を作りにくくする為の口腔環境を作るガムです。継続して与えることをおすすめします。

その他マダニやノミを予防する為のフロントラインなども通常用は一切ダメ。散歩は車や人が来る度に怯えて震えてしまい地面に張り付き、外に慣れるまでに2週間以上はかかりました。人気の無い郊外の公園へ行き、愛犬を先に歩かせて外の空気と地面に慣れることから始めたんです。

しかし、歩けるようになったら今度は地面をペロペロ。何でも食べようとするので大変でした。歩く度に「ダメ!」とリードを引いて静止する、を繰り返して教えました。それでも相当続けていましたが、獣医さんに相談すると1歳以上になれば止める犬は多いそうです。

ショップでは狭いケージに入っているだけ。当然ですが、物事が理解出来る時期でも何もしつけられていません。外の恐怖心が先に立ってしまいます。「マテ」も「オスワリ」も当然初めて。ご飯の時もショップの癖が抜けずにジャンプしたりケージを揺すったり毎回大騒ぎでした。

愛犬に誘導してもらい、散歩が出来るようになり、ドッグランや公園で走れるようになり、根気が要りましたが拾い食いも止め、「マテ」「オスワリ」「ヨシ」の最低限なものはどうにか覚えてくれました。ご飯の用意が始まっても静かに座って待てるようにもなりました。

それから私達は里親を探し始めました。散歩やしつけは出来ても、どうしてもその犬は私達家族に心を開かなかったんです。愛犬への攻撃は体力がつくともっと強くなりました。「ダメ!」と𠮟ってケージに入れても、優劣をつけて「お前は次よ!このコが先!」と教えても抜けませんでした。

出来たら褒めてあげたり愛犬とお揃いのおもちゃを買い与えても常に睨むような表情のままです。愛犬にしているように抱っこして頬ずりすると顔を噛もうとしたり、自分が2番手でいることに不満だらけという感じでした。

愛犬も幼犬の時は同様にしつけましたが、そのコは自分だけ注意されると劣等感を持ったのかも知れません。飼い犬として何も身に付いていないのに感情や体だけ成長している犬の難しさの一つだと感じたものです。

さらには、愛犬が散歩の度に会いに行く人達にまで先回りで駆け寄って飛びつき、愛犬を寄せ付けません。家族以外のすべての人を愛犬から取るような行動を始めました。愛犬の居場所を自分のものにしたかったようで、それは止めませんでしたね。

楽しい時間や好きな人達が奪われ始め、愛犬は元気が無くなっていき、ブリンドルのコも日に日に睨む表情が強くなり家も暗くなっていきました。それは私達夫婦が望んでいない状況です。

里親募集サイトに登録し、可愛い写真をたくさん撮り、健康状態や迎えたきっかけ、里親を探す理由に先住犬に対しての行動や性格も出来るだけ細かい説明を添えました。

それでも「うちなら大丈夫かも」という多頭飼いの人の応募も多数来ました。でも、そのコだけで飼ってくれるお宅を探しました。根気よくメールで何人もやり取りをし、選んだ上でお宅訪問とお見合いをして出会ったのが今の飼い主さんご家族です。

チワワ系ミックスのブリンドル柄のそのコは、そのお宅に行くなり顔が変わりました。ショップでまだ小さい時に見た愛らしい丸いキラキラした目になったんです。お宅訪問した夜は初めて私の腕で心を許して眠ってくれました。きっと、やっと自分の居場所が出来たと安心出来たんでしょうね。

性格が合わなくてもどうしても飼いたい場合は?

犬同士、または犬と猫が仲良しなのは理想的で癒されますよね。実はうちの愛犬は猫が大好きだったりします。

しかし、迎えてはみたもののどうしても合わない、それどころかどちらかの性格が変わってしまったなど好ましくないこともあります。それでも飼いたい場合には、それぞれに居場所を作ってあげるのも良い方法なんです。

一戸建てのお宅であれば1階と2階に分けるというのも良いですし、性格に合わせてどちらかはセラピードッグなどにするのも良いと思います。知り合いの所ではお店をやっているので、2頭の犬をそれぞれ別の店舗で看板犬をさせています。

勿論、中には仲良くタッグを組んで番犬をしている犬達も見かけますし、犬の性格によってもさまざまなようです。ただし、些細なことで喧嘩になりケガをする、最悪は弱い方が命を落とすこともあるので組み合わせは考えないと大変なこともあります。

誤解しがちな犬のこんなしぐさ

ところで、そのコはちょっと変なしぐさがありました。ショップで初めてそのコについて質問した時もそうでしたが、誰かが抱っこするとすぐ目を閉じることが多かったんです。特にそのコの話題になった時。

これは我が家に来て私が膝に乗せてあげる度にやっていて、最初は寝ているんだと思いました。ところがペット記事を書く為にいろいろ調べていて知ったのですが、これは寝ているのではなく「敵意はありません!」という、いわば服従のポーズに近いのだそうです。

実際にそのコは膝ですぐ寝ている感じでいながらも、時々薄めを開けて様子をうかがっていたんです。初めて薄めを開けてキョロキョロしていたのを見た時は驚きましたが、長いショップ経験で付いた知恵であったのかも知れません。

犬にも気持ちがある

かなり長文になってしまいましたが、犬のことになると熱くなってしまいます。安易に飼ってほしくはないと感じているからです。

犬を1匹で飼っていると、兄弟犬が欲しいかな?お留守番が寂しいかな?と感じることも確かにありました。しかし、それは人間が勝手に考えることで、うちの愛犬のように犬より人間といるのが好きな犬もいます。いずれ群れに戻す野生動物とは違うんですから、犬より人間と仲良しでも何の問題がありますか?

我が家に一時いたその犬は、愛犬を追い払ったり行く手を遮ったり、マウンティング(上位になろうとする行為のマウンティング)ばかりしようと毎日必死でしたが、生活面の行動は愛犬の真似をずっとしていました。

今考えると、自分の居場所が欲しい反面、やっと外に出て彼なりに必死でいろいろ覚えようとしていたんだと思います。それだけ同室になる犬が次々飼い主が決まって残され続ける経験はショックが大きかったんだと思います。

それに、体だけ成長して何も教育されないのは辛いですよね。人間も犬もそれは同じだと感じました。そのコは頭は良かった方で、しつけだけは本当に生き生きして聞いていました。安心出来る家を見つけてあげられて、本当に今の飼い主さんにも感謝しています。

いろんな犬を見かけます。子供が乱暴に扱っても注意せずおもちゃとして飼われている犬や飼い主のエゴでノーリードやマナーを守って貰えずに事故やトラブルに巻き込まれる犬。

犬は飼い主で、つまり人間で決まります。しかし、気持ちはちゃんと分かります。自分の置かれている境遇も言葉も分かります。犬を迎えたらいろいろ話しかけて愛情を持って接して下さい。

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