去年に続いて今年もインドで日本人が集団レイプの被害に遭うなど、今やインドに住む女性だけではなく全ての女性観光客と「女」と呼ばれる性全員がレイプ被害の対象になっているインド。年端もいかない赤ちゃんや幼児をレイプしたりとその残忍極まる犯罪は留まるところがありません。

2012年の女学生レイプ事件がきっかけに

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2012年の世界を震撼とさせたインド、ニューデリーでの女子大生レイプ殺人事件を覚えているでしょうか。バスに乗車中の23歳の医学実習生が6人の男たちから強姦され残忍極まりない虐待を受けた後に死亡した事件です。

これをきっかけに、インドでは女性の暴力への抗議活動や刑の厳罰化を求める運動が拡散。国をあげての女性によるデモが各地で行われることになりました。

女性たちの訴えは届かないまま

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元々カースト制度の風習が強い国インドで、このように女性が自身を守るために立ち上がるというのは歴史上かつてないほどのこと。ところが、やはり国に根深く残る男尊女卑の風習は、容易に性犯罪を減らすという結果には至らなかったのです。

必至で抗議活動をする女性たちをあざ笑うかのように、2014年にはますます女性への暴力事件が増加。1年間だけで約34万件も起こるというのだから相当なもの。人口が多い国とはいえ、その被害対象は全て女性なのです。そしてレイプ被害も前年より9%も上昇し3万6千件も発生したという事実。

「服装に十分気を付けるように」と注意喚起

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インドの政府や警察は「女性は服装に気を付けるように」と警告したそう。また、「自己防衛術を身につけるように」「夜遅く出歩かないように」とどこまでも女性が生きにくい社会を作り上げているようにしか思えない政府や警察の注意喚起。

根本的にそうした見た目の注意を促すだけではこの根深い女性への暴力事件はおさまるはずがありません。警察や政府でさえもカースト制度社会を認識しているだけに、女性が被害を届けても取り合ってくれないケースもあるのです。

私達がニュースで目にする「女性レイプ事件」はほんの氷山の一角に過ぎません。メディアの発達と共にインドでのレイプ事件が近年では目立って増加しているようにも見えますが、これは訴える女性が増えたというだけのこと。

インドで生きる女性からしてみれば、あまり効果がない抗議活動が拡散しているものの、カースト制度という呪われた風習の下で女性という「性」を男性に侮辱されながら生きて行くほかならないという諦観の念を持つ人がほとんどなのではないでしょうか。

2017年1月から「パニックボタン」義務化

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こうした男尊女卑が根付いているために、女性への暴力は恐らくなくなることはないでしょう。でもインドの政府は2017年1月より全てのモバイルフォンに「パニックボタン」を設置することを義務付けました。

「パニックボタンの設置」と言っても特別な専用ボタンがあるのではなく、携帯などでは5や9などのボタンを指で押し続けると警察への緊急コールが可能になるというもの。スマホの場合は電源ボタンを3回連続で押すと発信されるのだとか。

「効果はあると期待したい」と政府

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女性の安全を守り、少しでも検挙率をあげるためにと実施される「パニックボタン」システム。でもこれは一部の地域には通用しないのです。インドのある村では、独身女性や若い女性は「携帯電話使用禁止」という決まりがあり、使う時には男性の監視の下というまさに男尊女卑社会を地で行くような地域が存在しているのです。

独身女性や若い女性が携帯電話の使用を禁止している理由としては、「電話があると勉強に身が入らないだろうから」「家族や恋人との関係がこじれやすくなるから」などといったもの。そしてもし、これに反して女性が携帯電話を使用しているのが見つかった場合は、日本円で約4千円ほどの罰金。日本ではまず、あり得ないといったところです。

女性がインドで身を守るにはIT革命は効果なし⁉

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近頃、インドのIT革命は著しいと言われています。モバイルフォンも加入者は10億人を突破したとか。近年のインドの産業・工業発達を見る限り「発展途上国ではなくもはや先進国に近い」という人もいます。

IT革命が起こっているインドですが、果たしてこの「パニックボタン」により女性への性犯罪や暴力が軽減するのかというと、正直、期待度は薄いでしょう。また、政府は2018年1月からは全てのモバイルフォンにGPS機能を内蔵することを発表。

犯行現場を特定できるという仕組みだそうですが、これらのIT革命が女性に安心して暮らせる社会をもたらしてくれるかというと別問題では?インドの社会に蔓延る「カースト制度の因習」を根底から覆さない限り、どんなにITが発達しても女性が暴力を受ける数は減らないのではないでしょうか。

インドの古き悪しき風習で育った加害者は「そんな時間に普通の女性は外に出るものではない」と被害者に責任転嫁する発言をする者もいて、女性を「もの」のようにしか考えておらず反省の色もないそう。このことでますますインド中の女性が「女性の人権や尊厳を傷つけた蔑視発言」として怒りを爆発。

たまに聞く言葉、「レイプされる側にも責任がある」というのは絶対に間違いです。レイプは弱者の立場を利用しただけの残忍な犯罪行為。男性の女性への傲りによる風習社会がこのような観念を男性に植え付けてしまったために起こる許し難き犯罪なのです。

インドの男尊女卑社会で生きている女性たちが、立ち向かわなければいけないことは、これからも山のようにあることでしょう。その日が来るのか来ないのかはわかりません。でも同じ女性として、いつの日かインドの女性たちの尊厳や人権が取り戻され、母国で生きることを安全で幸せと感じるようになって欲しいと強く願ってやみません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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