記事提供:LITALICO 発達ナビ

4歳の次男は、体の大きさは5歳並み。でもお喋りができません。「挨拶もできない子」と思われたこともありましたが、療育事業所の近所で素敵な交流がありました。

街中で声をかけてくるご年配の方。可愛いリアクションを求められても…

私は、子どもを連れているときに話しかけてくるご年配の方が苦手でした。

というのも、道や電車、公園などで話しかけてくださる方の多くが、我が子に「かわいいリアクション」を求めてくるからです。

「坊ちゃん、今日はどこへ行くの?」「今何歳なの?」

そう聞かれても、うちの子は表情ひとつ変えず華麗にスルー。

「じゃあね、バイバイ」

…これも見事にスルー。

嫌で無視しているわけではなく、発達の凸凹でまだ臨機応変に上手な返事が出来ないのです。

それなのに、「ご挨拶ぐらいはできないとねえ」と苦笑いで言われて悲しい気持ちになったこともありました。

突然話しかけられて、挨拶ができないと叱られる、私はそういった場面が苦手になっていました。

療育の帰り道、商店街のお豆腐やさんに寄ってみた

ある日、いつもの民間療育事業所からの帰り道のことです。

いつも療育の行き帰りに、お店の前を通り過ぎるだけだったお豆腐屋さんに寄ってみました。

普段はスーパーでまとめて買い物をするのですが、店先の卯の花とがんもが美味しそうで、買って帰ることにしたのです。

昔ながらのお豆腐屋さんで、お店番をしていらしたのはおばあちゃま。

優しい口調で注文を聞いてくださったあとに「飴、あげてもいいかしら?」と一言聞いてくれました。

私は「嬉しいけど…。息子はありがとうと言えないからな…」と迷ってしまいました。とはいえ、「息子はありがとうが言えないので、いりません」とも言えず、お言葉に甘えることにしました。

おばあちゃまが飴をくれた後、私は息子に向かって「ありがとうは?あ・り・が・と・う」と、普段はちゃんと言えるんですよとばかりに息子へ促しました。

しかし息子は2つの飴をサッと奪い取るも、もちろん無言です。

私に飴を差し出しながら、おばあちゃまの方は一度も見ない息子。「…ああ、気まずい」と思いながら「すみません、すみません」と謝る私。

お礼を言わない息子をちゃんと認めてくれたお豆腐屋さん

お礼が言えなかった息子を見て、また何か言われるか苦笑いをされるのか…と思っていた矢先、おばあちゃまがこう言ったのです。

「優しいのねえ。飴、ママにあげるのね」

1人気まずい思いをしていた私には予想外の言葉です。ただただ驚きました。

私は、息子に「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」という言葉を言わせることこそ、最大のミッションだと思っていました。それなのに、おばあちゃまは「そんなことはどうでもいいよ」という笑顔で、息子を見つめていたのです。

帰り際に、息子が最近ようやく覚えた不安定なバイバイの手振りが少し出たとき、「バイバイしたの、えらいねえ」と言ってくださりました。

息子は「ありがとう」と言葉で伝えられなかったのに。バイバイでさえ、年齢相応ではなく、ままならなかったのに。

それでも、0歳児でもできるはずのバイバイをしようとした事をちゃんと認めてくれたのです。

子どもは地域で生きていく。理解が広がると、驚くほど生きやすくなる

私はとても驚き、あたたかい気持ちになりました。

実はこのお豆腐屋さん、通っている療育事業所が「地域の方に療育に通う子どもたちへの理解を広げたい」「子どもたちに楽しみながら療育に来てほしい」と考え、地域の商店街を巻き込んで作った、子どもたちへのスタンプラリーの加盟店だったのです。

もちろんお豆腐屋さんのお人柄があってのことだとは思いますが、きっと「大きくても話せない子どももいる」ということを身近に感じてくださっていたのだと思います。

「地域の方の理解がある」という事が、これほどすごしやすく心強いものなのか、と感じました。

これからも、地域の中で生きていく、成長していく子どもたち。彼らのことを、もっともっと知ってもらいたい。理解を広げていきたい、そう思いました。

だからこそ、いつもは大型スーパーで買い物を済ませる派ですが、こういう出会もあるなら時々お店に入って買い物するのも良いな、お店の方に息子のことを知ってもらうのも大事だな、と思っています。

そして、「勝手に話しかけては出来ないと叱ってくる」なんて、ご年配の方のことを決めつけるのはや~めた!と思う今日このごろなのでした。

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