『The Big Issue(ビッグイシュー)』を始め、世界中の多くのメディアで取り上げられたジャック・リチャードソン(Jack Richardson)さんとトニ・オズボーン(Toni Osborne)さんの結婚のニュースに、多くの人たちから祝福の声が届けられました。

とはいえこの2人、著名人ではなくごく一般の人です。ではなぜ、そんな2人の結婚が世界中でニュースになったのでしょう。その理由は、2人の出会いまでさかのぼります。

2013年の12月の事です。英・ブリストルでホームレスとして暮らしていたジャックさんは、たまたま通りかかったトニさんにお金を無心しました。「当時の私は、ベット&ブレックファーストの宿に泊まりたくて、必死でお金を無心して暮らしていたんです」

出会いは路上の物乞いだった

その日も、たまたま通りかかったトニさんに声をかけました。こうやって声をかけても、大抵の人は聞こえない様子で忙しそうに通り過ぎてゆきます。

しかし、トニさんはジャックさんの声に立ち止まりました。もしかして、少しでもお金を恵んでもらえるかもしれない、とう思ったジャックさんでしたが、トニさんのリアクションは想像していなかったものでした。

トニさんは「私、クリスマス前だというのに、お金がなくて電気代も払えないの…」と言うと、その場で泣き崩れてしまったのです。

そんなトニさんの様子をみたジャックさんは、自身もホームレスという境遇だというのに、その時に持っていたお金を『これを使ってください』と言ってトニさんに渡しました。

「きっとクリスマスの準備の買い物をしているんだと思っていました。充分なお金があるんだろうって。けれどあの時のトニは、クリスマスに明かりを灯すお金さえ持っていなかったんです。だから私は、彼女に電気代のためにと思ってお金を渡したんです」

あの日の出来事がきっかけで、ジャックさんとトニさんは話をするようになります。トニさんは、ジャックさんが『The Big Issue』を販売している場所を定期的に立ち寄り、話をしてゆきました。

『The Big Issue』とは、ホームレスの人たちが販売する情報誌。彼らに仕事を提供する事で自立を支援するという目的で創刊された雑誌です。

「私たちは何週間かに一度、話すようになりました。最初は何てことない会話でしたが、少しづつ色々な話をする様になり、そして親しくなってゆきました」

その日がきっかけで友情を深め合ってゆく2人

こうしてゆっくりと時間をかけて友情を深めていった2人。ある時の事、ジャックさんがいつも寝ていた地下駐車場がなくなり、屋根のない路上で暮らしていると知ったトニさんは「良かったら、私の家の空いている部屋に泊まらない?」と提案しました。

そして「この部屋は誰も使っていないから、当分の間泊まっても問題ないわ」と伝えます。

「彼女と一緒に住むようになってから、お互い好意を持つようになっていったんです」とジャックさん。「まさか路上で暮らしている様な人間に、恋愛感情を抱いてくれるなんて想像もしていませんでした。トニのおかげで全てが変わったんです」

”最愛の人に最高の結婚式を”友人たちがその願いを叶える

惹かれ合う2人は、2015年11月に婚約します。出会った年のクリスマスシーズンはお互いにとって最悪のものでしたが、この年のクリスマスは違いました。

そして2016年1月23日、ジャックさんとトニさんは、夢の様な結婚式をあげました。

「最愛の人にふさわしい結婚式をプレゼントしたいと思ったのですが、私にはそれは無理だったので諦めていました。登記所に行って届けを出すだけにして、できるだけ安価でささやかな式をあげようと。けれど、たくさんの人がこの結婚を祝福し、サポートしてくれたのです」

写真家、ビデオ撮影、ヘアメイク、デザイナーの作る招待状、すべて彼らを祝福する友人たちが無料でそのスキルを提供しました。乾杯用のシャンパンも地元の酒屋から無料サービスで届けられました。牧師のはからいで教会での結婚式をあげる事もできました。

「トニのウェディングドレスの為にと、寄付してくれた人もいました。そしてパブで知り合った方が、僕に持っていたアルマーニのスーツを貸してくれたんです」

「多くの方の優しいサポートのおかげで、まるで夢のような結婚式をする事ができました。すべての皆さんに感謝を。私たちは本当に幸せです」

私たちはお互いが恋に落ちたんです

「トニに出会った時の私は、本当にひどい状態でした。未来は全く見えず、自分の人生を終わらせる事を考えたりもしていました。その場所から出る道が何一つ見つけられませんでした。けれど今、私は愛に包まれ、未来へ目を向ける事ができるのです」

「ジャックに会った時、私がお金がないと知って彼は怒るかもしれないと思いました。けれど、彼は自分のポケットから出したお金を私に渡してきたんです。彼のその行動は、本当に衝撃的でした。彼はいつも、私の予想していない事をするのです。そして私は、その度により深く彼を好きになるんです」

多くの人に祝福されて結婚した2人。友人たちのこの素晴らしいサポートは、お2人の人柄、周りの人たちへの日頃の付き合い方ゆえの事なのでしょう。

住む家もなくその日の食事さえ不安な状況の中、トニさんにありったけの小銭を渡したジャックさん。その時の気持ちを忘れず、屋根の無い場所で眠るジャックさんを自宅に受け入れたトニさん。そんな2人の優しい気持ちが、お互いを、そしてお互いの周りの人々を幸せにしているに違いありません。

大変な時期を過ごした事もある2人ですが、これからは多くの素晴らしい友人に囲まれて末長くお幸せに!

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