晩婚化の影響もあり、今や5組に一組の夫婦が不妊に悩んでいるといわれています。ところが不妊の原因は加齢の問題だけではないのです。生まれた時からの先天性異常により、妊娠が不可能な女性も存在するのです。

「ロキタンスキー症候群」をご存知ですか?

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ロキタンスキー症候群とは、先天的に女性の腟が欠損し、機能性子宮を持たない疾患です。
ロキタンスキー・キュストナー・ハウザー症候群、メイヤー(マイヤー)・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群とも呼ばれています。

ロキタンスキー症候群は、先天的に女性の腟の一部、または全部が欠損した腟欠損症の一種で、その中で最も頻度の高いものです。約5000人に一人の割合で発症すると言われています。

出典 http://www.medi-bridges.com

「胎生期におけるミュラー管の発育障害が原因である」と考えられているこの病気は、生理が始まる思春期ごろになるまで全く気付かれないということが多く、気付く時期が思春期なだけに、余計に精神的に辛い思いをするという女性が多いようです。

卵巣や卵管が正常に機能していても、膣内の子宮が欠損しているために子供を産みたくても妊娠することが不可能になってしまうケースもあるのです。パートナーの理解を得ることでも精神的に苦痛を味わったり、それ以前に恋愛関係に発展することさえも不安に感じてしまう女性がほとんどだそうです。

ロキタンスキー症候群の治療法は?

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4つのパターンの「膣を造る」という手術により、パートナーとの通常の性生活が可能になります。そしてロキタンスキー症候群を患う女性の「女性であって女性ではない」という劣等感を取り除く上でも重要な処置であるといえるそう。

ロキタンスキー症候群を患っているギリシャ在住のジョアンナ・ギアノーリ(27歳)という女性。彼女が英紙に語ったところによると、思春期に生理が来ないことに気付き病院で検査を受けたらロキタンスキー症候群であることが判明したそうです。

17歳の時に、アテネで造腟手術を受けたジョアンナさん。ところが造った膣のトンネルが狭くて小さかったために激しい痛みを伴い再手術する羽目に。以降、肉体的には痛みも消え性行為もできる体になったのですが、精神的な部分で長期に渡り苦悩の日々を経験したと語っています。

うつ、パニック障害、社会恐怖症、恋愛恐怖症に陥った

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21歳の時に付き合った恋人からは酷いモラルハラスメントを受けたというジョアンナさん。自分の体に起こったことを正直に話したことにより恋人の態度が急変し、去って行かれるという辛い経験をしたと言います。

以来、「私は価値のない人間」「不良品」という考えに憑りつかれるように。造膣手術は受けたものの、子供を産むことは将来不可能かもしれないという事実がジョアンナさんを打ちのめしたのです。

更に落ち込んだのは、母親が「自分のせいで娘がこんな風になった」と激しく自分を責めていたこと。そんな母の姿を見ることがジョアンナさんにはとても辛いものでした。「この病気は、私から幸せを奪いまともに恋愛なんてできないっていう気持ちにさせてしまうんです。」英BBCのインタビューでそう語ったジョアンナさん。

手術から10年経った今…

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これまで、自分の持って生まれた体を恥じ、責め、怒りを感じることも多かったというジョアンナさん。でも、10年経ってやっと自分を受け入れられるようになってきたのだとか。「こんな自分を恥だと思っても、事実を変えることはできないんです。」

ジョアンナさんが自分自身を受け入れることができるきっかけとなったのは、今のパートナーの力も大きいそう。5年間交際している男性には正直に「子供が産めない身体かも知れない」と話し、理解してもらっていると言います。

それでも、ほんの少しでも自分を受け入れることに近付けたからこそジョアンナさんは「子供を欲しい」と願うように。「やっぱり血の繋がった子供が欲しい。代理出産や体外受精が希望ですが、養子縁組でもいいんです。母親って、自分の子供を産んだ人だけがそう呼ばれるんじゃないと思う。子供を愛し、ケアする人が母親と呼ばれるんだと思います。」

「でも、なるようにしかならない」

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今回、ジョアンナさんは同じ症候群に苦しんでいる人の励みになればとメディアで告白する決心をしたそう。そして子供を欲しいという気持ちはあるけれど「なるようにしかならない」と思い1日1日を大切に過ごしているのだとか。

昔とは違い、今や女性にとって子供を産むことは人生のオプションとなりました。でもその選択肢は健康体であるからこそできること。ジョアンナさんのようにロキタンスキー症候群を患っている女性や長年不妊治療を続けている女性にとっては、毎日が苦悩と葛藤の連続でしょう。

子供を産むということがデリケートな話題であることは、ロキタンスキー症候群の存在を知るとより一層実感させられます。日本ではあまり認知されていない症候群ですが、少なくとも5千人に1人はこの疾患で苦しい思いをしています。

とはいえ、自然妊娠以外の方法で妊娠することは全く不可能ではないのです。医学の発達によりあらゆる方法で命を生み出す方法がある時代。不妊に悩んでいる人もジョアンナさんも希望を捨てずに生きてほしいと願ってやみません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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