全国からDMAT隊員が被災地へ

熊本の被災地に全国からDMAT(災害派遣医療チーム)が駆けつけました。
阪神大震災を経験している兵庫県からは15チームが4月16日の朝、熊本へ向かいました。

彼らは、被災者も経験しています。きっと被災者の気持ちに寄り添いつつ活動を行っていることでしょう。

そのうちの1チームは、総勢8名が2台のDMATカーに医療器具や薬剤などを積み込み、4月16日AM7時10分ごろ、病院を出発しました。

16日午後10時半の時点で、304チームのDMATが活動中(移動中も含む)です。

さて、あまり聞きなれないこのDMAT。被災地でどのような活動をするのでしょうか?

ドラマにもなったけど・・・

2014年1月~3月にかけて、関ジャニ∞の大倉さんが主演した「Dr.DMAT」というドラマがありました。

毎週木曜日の夜9時からの放映でしたが、このドラマを見たことがある方なら、おおよその事はお分かりでしょう。


原作本の漫画を読んだことがある人もおられるかな?

DMATの定義

DMATとは「災害急性期に活動できる機動性を持った トレーニングを受けた医療チーム」と定義されており ※平成13年度厚生科学特別研究「日本における災害時派遣医療チーム(DMAT)の標準化に関する研究」報告書より

災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team の頭文字をとって略してDMAT(ディーマット)と呼ばれています。

出典 http://www.dmat.jp

DMATの隊員は医師、看護師、コーディネーター(事務員。業務の調整作業を行う)、薬剤師、放射線技師などから構成されます。

普段は、DMAT指定病院(災害拠点病院)となっている大学病院や公立の病院、国立病院、日赤病院などの救命センター等に勤務しています。

DMATは、災害時や多くの傷病者が発生すると予測されるときに、要請を受けてからおおむね48時間以内に活動できる機動を有する医療チームです。

DMATができた背景

【救えたはずの約500人の命】

1995年に発生した阪神淡路大震災の時、平常時と同等の医療を行うことができていれば約500人の命は失わずにすんだはず・・・

と言われています。

当時は、ライフラインも通信も機能していませんでした。


需要と供給のアンバランス


阪神大震災が発生した1995年1月17日、

医師が2人しかいない外科医院に300人~400人の患者が押し寄せたり、
医師7人の個人病院に1033人の患者さんが殺到したり・・・
と、野戦病院のような状態でした。


その一方で、私立の医大病院は
救命センターの医師22名を含む274人の医師が準備を整えて待機していましたが、患者さんは200人ほどで、平日のわずか8%の患者数という閑古鳥状態でした。

医師2:患者400 と 医師274:患者200

この需要と供給のアンバランスが、助けられなかった命を出した原因の1つです。

悔しい・・・・

医大病院の医師たちが他の病院の状況を知ったのは、その日の深夜でした。

こちらから患者さんの所へ行くべきだった!!
「いくら準備を万端に整えても、待っていてはダメだった。
どうして患者さんを迎えに行かなかったんだろう」

そして、1995年1月17日の震災発生日にヘリコプターで被災地外の病院に搬送された患者さんは 1名だけでした。

病院も被災した状態で、患者さんを治療しようとしても十分な治療はできない。
少し被災地外の病院へに行けば、普段と変わらない診療を行っていたのに・・・
医師たちは悔やみました。

★もっと、ヘリコプターで患者さんを被災地の外に搬送すべきだった。
★被災地以外の病院に連絡できれば・・・
★被災地外から医師が派遣できていれば・・


<DMAT 発足>
このような大災害は初めてだったこともあり、多くの医師が悔しい思いをたくさんしました。
これらの反省点から、阪神大震災から10年後の2005年4月、1人でも多く助けよう!! という思いで、
日本DMATが発足しました。


どのようなことをしているの?

トリアージ、救急処置、搬送

出典 http://image.rakuten.co.jp


トリアージと言うのは、患者さんを待機、準緊急治療、緊急治療、死亡に分けることです。トリアージを行う事により緊急度の高い患者さんから治療することができます。

上のが画像のように、
待機できる患者さんには 緑のタグ、
準緊急治療を要する患者さんは 黄色のタグ、
緊急治療は 赤いタグ、
死亡は 黒のタグ     をつけてもらいます。

阪神大震災ではこのトリアージがうまくできておらず、救えるはずの命を落とした原因の1つでした。

タイトルの画像では赤や黄色や青のバッグを背負ったり持ったりしていますが、それぞれのタグの色に合わせた治療や処置に必要な薬剤や医療器具が入ったバッグです。青のバッグは緑タグに必要な薬剤や医療器具が入っています。

しかし、黒と判断するのは大変気が重く、心の負担が非常に大きな仕事となります。
黒と判断した場合、心臓マッサージなどの救命処置は行いません。

時には「どうして助けてくれないんだ!!」「諦めるのか!」と怒鳴られたり胸ぐらを掴まれることもあります。
しかし、助かる可能性が0に近い人の処置をしている間に、多くの人が助かるのです。

DMAT隊員は只々「すみません」と謝るしかありません。


★<救護所や災害拠点病院の支援>
被災した病院は人手も物資も足りません。
DMATカーに薬剤や医療器具を積んでいき、現地の病院のスタッフと共に、治療や診察、避難所の整備、医療相談などを行います。

東日本大震災の時の活動状況

東日本大震災の時の、兵庫県内の某DMATチーム先遣隊の様子を紹介します。

3月11日14時46分 地震発生

いつでも出動できるように準備を整え待機。
夕方、政府がDMATの派遣要請を出す。自分たちのチームが選べれるかどうかは、まだ判りません。

夜、派遣が決定したと連絡が入る。

隊員の安全確保や移動経路の確認などのため、救命センター長や幹部職員、事務方スタッフが、情報収集に努め各機関との交渉や連絡に滑走しました。
誤った情報が入ったこともあり、作業は混乱の連続で夜を徹して行われました。

政府より、伊丹空港から自衛隊機が飛ぶと連絡が入る。

12日の早朝、病院を出発し、伊丹空港を離陸。
午前中に花巻空港に着陸し、深夜まで活動を行う。

新千歳空港へ3名、羽田空港へ3名搬送して被災地外の病院へ送り届けることができ、この搬送作業に従事。ヘリの中でも救急処置を行いました。

13日も深夜まで活動。夜から深夜にかけて花巻空港から羽田へ6名搬送し、12日と同様に活動する。

14日午後 無事に帰還。

その後A班が16日に出発し20日に帰院。
B班が18日に出発し21日に帰院。
C班が4月4日に出発し9日に帰院しています。

A.B.Cいずれのチームも小学校避難所で具合の悪い人たちの診察や治療、投薬などを行ったり、避難所の整備などを行いました。

C班は次のチームが大きな余震で到着が遅れたため、1日延長したようです。




昨日16日、熊本へ行った兵庫DMATは・・・

↑上の画像はイメージで、兵庫DMATとは無関係ですが、3Mと書いてある段ボールには、おそらく傷口を覆ったりテーピングする時のテープ類が入っているのだと思われます。

兵庫DMATの某1チームのブログによると、総勢7名で朝早くDMATカーで病院を出発しました。
医師1名、看護師4名、コーディネーター2名のようです。

DMATカーは、医療器具や薬剤だけではなく、そこで仮眠を取ることもできる仕様となっています。

「くれぐれも自分自身の安全を第一に考えて」と送り出されたそうです。彼らには家族もいるのですから・・・

そして、隊員がケガなどしてしまったら、大幅に戦力ダウンです。
時には瓦礫の中に潜り込んで点滴をするなど、危険を伴うこともありますが、自分の身は自分自身で守るというのはDMAT隊員の鉄則です。

運転席の後ろで、情報を収集しつつ移動です。

途中、サービスエリアで昼食を取り、DMATカーにもガソリンを補給し、無事に現地到着。

本日17日は、避難所へ往診に行ったようです。



DMATは炊き出しは食べない

出典 http://livedoor.blogimg.jp

避難者の食べ物を奪う事になるので、DMAT隊員は炊き出しは食べません。
自分たちが用意してきた食料を食べます。


しかし、「先生!毒見してください」と自衛隊員に言われ、「こんな沢山味見するの?」と言うと、

「味見じゃなくて毒見です。たくさん食べないと毒が回りませんからね。。ハッハッハ」と言われて、出された分をちゃんと全部食べて毒見したことがあるドクターも・・・

自衛隊員さんの心遣いなのでしょう。


タフでないと務まりません。

3~4日間、深夜まで働きづめでゆっくりと食事をする時間も取れないし、持参したパンなどで済ますことも多いようです。

一見「かっこいい!」と思えるDMAT隊員ですが、精神的にかなりキツイ仕事も多く、心身ともにタフでないと務まりません。兵庫DMAT隊員の中には、かって私の母の命を助けて下さった医師もいるのですが、とても優しい医師です。 優しさは強さ なのかな?と思います。

 強くないと優しくできないよね。

関ジャニ∞の大倉さんのようなイケメンドクターや可愛いナースも、DMAT隊員にはいますよ!!

危険な作業もあるでしょう。まだまだ余震も続いています。
どうぞ、安全には充分に気を付けて活動し、元気に帰院してください。


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患者からの目線と元医療従事者としての目線とで、医療や健康に関する記事をメインに書いています。
4度の手術に膠原病でバツイチで・・・と波乱万丈の人生ですが、”人生に喜びや笑いを添付したら結果は出るはず!”という「喜笑添結」で毎日を過ごしています。

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