うのたろうです。
連日、ヘンテコな名前の魚のニュースがテレビをにぎわしています。

「バラハタ」

この魚がいったいどんなものなのか?
知らない方は多いのではないでしょうか。

じつはこの「バラハタ」って本来食べられる魚なんですよ。
しかも、めっちゃおいしい魚です。

でも、食べられないんです。

話しが矛盾だらけでわからないですよね。その真相というのは、このあとの文章を読めばわかりますよ……

バラハタってどんな魚?

バラハタは深海魚の一種で標準和名「バラハタ」。学名を「Variola louti」といいます。
おもな生息地は琉球列島(沖縄)、インド洋、太平洋などの暖かい海。
特徴は赤(または黒褐色)という体色。また体長は60cm~70cmといったところです。見た目としてはこんな感じ。

味は大トロよりも脂がのっていておいしいようです。

しかし。
このバラハタには毒があります。それも、猛烈な毒。
その毒は強力であり、お刺身をたった2~3切れ食べただけでも下痢・嘔吐・身体のしびれなどの症状があらわれてしまうといわれています。

ちなみに。
毒があるのは筋肉や内臓。
この毒は「シガテラ毒」と呼ばれているのです。では……

シガテラ毒とは?

シガテラ毒の主成分は「シガトキシンおよび類縁化合物」

毒のある魚の代表として「フグ」をご存じの方は多いと思います。では「天然のフグには毒があるのに、養殖のフグには毒がない」ということをご存じですか?

これはフグ毒(テトロドトキシン)が食物連鎖の過程でフグの体内にたまっていくというのが理由です。もともとフグは毒など持っていない魚なのです。

これとおなじことがシガテラ毒にもいえます。
シガテラ毒はフグ毒のように、食物連鎖によって魚の体内に蓄積されていくタイプの毒であり、もともとはその魚にはなかった毒素です。

具体的には破壊されたサンゴ礁から発生した渦鞭毛藻(ウズベンモウソウ)類というプランクトンによってこの毒はつくりだされます。

そしてこのプランクトンを食べた小魚が、さらに大きな肴に食べられ……そういった食物連鎖をくり返した結果「シガテラ」という魚にもその毒素が備わってしまうのです。

じつはこの「シガテラ」も沖縄ではおいしい魚料理として広く食べられています(もちろん毒のないものにかぎられますが)。

もちろん、このシガトキシンを体内に持っている魚はシガテラだけではありません。以下の魚にもおなじ毒素が備わって「しまって」います


◎.バラフエダイ、イッテンフエダイ(フエダイ科フエダイ属)
◎.イトヒキフエダイ(フエダイ科イトヒキフエダイ属)
◎.バラハタ(ハタ科バラハタ属)
◎.アカマダラハタ(ハタ科マハタ属)
◎.オオアオノメアラ(ハタ科スジアラ属)
◎.アズキハタ(ハタ科アズキハタ属)
◎.イシガキダイ(イシダイ科イシダイ属)
◎.ヒラマサ(アジ科ブリ属)


では……

シガトキシンを持つ魚を食べてしまうとどうなるの?

もちろん中毒症状を起こします。おもな症状は以下のもの。


①神経症状
温度感覚が異常を起こしてしまう「ドライアイスセンセーション」のほか、身体じゅうが痒くなったり、手足が痛んだりします。また筋肉痛、関節痛が起こるほか、頭痛やめまい、脱力、排尿障害なども発生することがあります。

②消化器系症状
ほかにも下痢、嘔吐、腹痛、悪心等などの消化器系症状

③循環器系症状
不整脈、血圧低下、徐脈等などの循環器系症状を引き起こすこともあります。ちなみに……


シガトキシンによる死亡例はほとんどありません。その点だけは安心してください(もっとも稀であるだけで0というわけでもありません)。

①の神経症状ですが、軽症の場合は1週間ていどで治まります。
しかしこれが重症になってしまうと数ヶ月~1年以上もこの神経症状が続くことがあります。

そんなバラハタによる事故

2016年4月12日、このバラハタによる事故が起こりました。
もっとも現時点では、このバラハタを食べて体調不良をうったえている人はいないということです。その事故とは……

築地市場で「誤販売」されたてしまいました。
売られたバラハタは体長45cmで重さ1.2kg。販売業者は築地市場の水産仲卸店舗「ロ-31」というお店だそうです。

購入したのは東京都中央区で中華料理店を営業する男性。
お店ではこのバラハタを蒸し魚料理にしてお客さんに提供したそうです。
それを食べたのは2グループ計6人。いくら食べられる魚だといっても、どうしてこのような事故が起こってしまったのでしょうか?

その理由は……

バラハタとよく似た魚「スジアラ」

販売業者はバラハタを、見た目のよく似た「ナンヨウスジアラ」と思いこんで売っていたようです。ちなみに、ナンヨウスジアラはこんな魚。

先ほどの「バラハタ」とくらべてみましょう。

スジアラには無数の青い斑点があるという違いがありますが、斑点ならばバラハタにも少し大きめのものがたくさんあって、両者がそっくりなのがわかります。両者をならべてくらべればヒレの先がやけに黄色いという違いが見つかりますが、単体ではなかなか判断ができない場合もあるでしょう。

ちなみに。
スジアラは沖縄三大高級魚のひとつ。九州・鹿児島・沖縄でよく知られている魚で体長は1m前後。秋から初夏にかけて旬をむかえます。

まとめ

バラハタとフグはよく似ています。
サンゴ礁を破壊されたことによって毒性のあるプランクトンが発生し、それを食べた魚の身体に次々とその毒が積っていくのです。

もともと食べられるおいしい魚が毒を持つ――これを「自然界からの人間への警告」とひとくくりにしてしまえば話は綺麗なのでしょうが、じっさいに食べてしまった人間からすればたまったもんじゃありません。

沖縄県でも1997年~2006年のバラハタによる事故の発生件数は33件で患者総数は103名にのぼるといわれています。そしてそんなバラハタとおなじ毒による事故はイシガキダイでも起こります。

もっといえばおなじ毒性を持つ「ヒラマサ」なんて、アメーバピグの釣りゲームでふつうにつれる身近な魚だったりします。

安全なはずの魚が後天的に毒素を持ってしまう。
それを人間におきかえて考えてしまうと、いろいろと思うところはありますが、今はとにかく「バラハタは食べてはいけない」という認識を持ってください。

命にかかわることは少ないといっても0ではないのですから。
うのたろうでした。

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