記事提供:長谷川豊 公式ブログ

前回の私のコラムがやはりかなり多く読まれていまして、「長谷川さん、けっこう怒ってますね!」という突っ込みが寄せられました。

そうですね。私…「こういうの」嫌いです。

芸人さんや社会学者さんたちが色んなコメントをしていて…どれも全部が的外れとは言わないんですが…、

「不寛容な社会になって…」

「日本の許容度が下がっております」

「もう、日本って『一発レッドカード社会』だよね」

とか言われてたりするんですけれど…さすが芸人さんや学者さん…。なかなか難しいことを言ってるんですが、やはり社会人勤めの経験がないと、ちょっと違うというか…今回の「根っこの部分の」メカニズムを理解されていないようです。

むしろ、今回の日清のケースで言えば、多くの私のコラム読者さんのように「普通の会社務め」の人の方が本質を理解されているようです。そうですね。これ…日本の現在の会社が多く抱える…通称『ニッシン君』の弊害の話なんです。

…ハセガワ…お前、何の話してるんだ?って(涙)?

説明します。これは順を追って説明しないと、分からない人は全然わからないので。

まず、今回のCMの話は矢口さんばかりがクローズアップされていますが、会社の内情などを知っているサラリーマンたちが一番注目すべき点って言うのは…、

「たけしさんを使ってる」

ってところです。はい。そうです。あの日本の3人の生ける伝説。タモリ・さんま・たけし。その一人であるビートたけしさんを使ったCMである以上、もうね、

とんでもないギャランティーが発生している、と理解してください。どれだけ低く見積もっても億は下っていません。

何故、彼らが「ビッグ3」と言われるのか?それはもちろん才能も実績もあるでしょう。でも、それ以上のものがあります。ギャランティーが「めちゃ高い」ことです。

小林さんや新垣さん、矢口さんがそんなに高いギャラを取ってると思います?とんでもない。この3人はそこまでのギャラはもらってません。

では、そのギャランティーをそのまま日清の広報の一部署の一社員が使えますか?って話。使えるわけない訳ですね。

そうです。芸人さんたちは分かっていないようですが、これは社内の「稟議」を通す必要が出てきます。「ひんぎ」もしくは「りんぎ」と読みます。

会社で多額の予算を使う場合は各部署の各担当者の承認を得なければいけないのが1部上場企業の当然のルールです。日清さんももちろん、そうなっています。

しかも、たけしさんを起用しての新CMです。常識的な金額ではありません。

多数の部署の多数の担当者の目を通すことになります。多くの会社の場合、それぞれの担当者が目を通し、オッケーを出す場合ハンコを押していきます。この作業を「稟議を通す」といいます。

これらは「会社の決定事項」であり、一部上場企業である以上、株主に対する説明責任も出てきます。これを「Accountability(アカウンタビリティ)」といいます。これも当然ですね。一部上場企業は株主様を無視してお金を自由好き放題に使えないからです。

前回のコラムで記した通り、日清さんは矢口さんから「私でいいのでしょうか?」と繰り返し確認を取られています。もちろん、担当した広告代理店にも「炎上はします」と何度も説明があったことでしょう。

それらを稟議を通す段階で繰り返し説明されていることは確かなのです。お分かりでしょうか?

そこまでやって、そこまでの確認作業をして、たった1週間で「批判が来てビビっちゃいました~」といってCMを引っ込めたのです。あれだけペイントしたたけしさんにコマネチまでさせて恥をかかせたのです。

これ、完全アウトだろ。フォロー出来ませんってば。

では、かつて1部上場企業に14年間いた人間として、舞台裏を推察しましょう。

CMは基本的にワンクールと言って3カ月契約で流すことが多いのですが、時としては1か月ごとに新作を放出することもあります。でも、とにかく最低でも1カ月は流さないと世間の認知も行き届きません。今回のCMを1か月の放送だったと仮定しましょう。

それらには「契約書」が存在し、各芸能事務所との契約書にサインしてタレントさんたちはこのCMに出演しました。それらを、わずか1週間でぶった切ったのです。私は今回のこの判断を…、

日清の「取締役以上の相当な上層部」の判断で行われたもの、と推察します。

もっと言うと、1人か2人の…声ばかりがでかい社内影響力のある人物の決定と推察します。なんと言っても「そもそも稟議書が通っている」わけですから。社内でも、このCMは最低レベルの覚悟と理解が行き届いていたはずなのです。

それをひっくり返すのです。その人物は相当な「やっかいな人物」と想定できます。

私はその人物を『ニッシン君』と…そう仮に命名します。

いつか詳しく書こうと思っていたのですが、私はこの『ニッシン君』が日本の歴史ある企業の大問題でガン細胞だと考えている人間で…と言うのも…何もこれは今回の日清だけの問題ではなかったりするのです。

そうです。

Panasonicも、フジテレビも、ソニーも、シャープも、東芝も…。

かつては好調だった企業がどんどん勢いがなくなり、どんどん経営が苦しくなったりしていますよね?Panasonicは幸い、最近好調に転じましたが、その過程でどれだけ非常なリストラを敢行したか。

「我が社の社員はみな家族です!」と言い切った松下幸之助氏が見たら嘆き悲しむような経営がなされています。

あれだけの企業がなぜこういう病魔に侵されたか?それらの企業には、上層部に必ずこの…『ニッシン君』が便秘のウンコのようにへばりついているのです。

『ニッシン君』の特徴を上げておきましょう。

・年齢は60前後です。50代~65までと思っておいてください。
・とにかく、仕事の能力が全くありません。正確に言うと『バブルの時代』が楽しすぎて、今の時代に全く適応できていないのです。
・なのに、上司にだけは懸命に取り入ってきました。上司が言うなら赤信号のことを「青だ」と言い続けた犬同然の連中です。
・部下の手柄は全部自分の手柄として報告してきました。
・自分のミスは全部部下のミスだと報告してきました。
・上司の「顔色だけをうかがって」きたのでとにかく「人の顔色ばかりうかがって」います。
・「顔色ばかり」うかがってきたので「批判」や「非難」されるのが大の苦手です。
・要は自分が能力がないことを薄々分かっているので「自信がない」のです。
・今の時代に追いついていないので、ネットに詳しくありません。
・なので2チャンネルレベルの、ネットネイティブの人間が誰も相手にしていないようなコメント欄とかを無駄にチェックしてしまいます。
・自分に自信がないので、上にはヘコヘコしますが…。
・自分に自信がないのを認めたくないので下には無駄に高圧的です。

いるでしょ(断言)?

1部上場企業には腐るほどいるでしょ?驚くほどに当てはまる、ゴミ同然のおっさんどもが。

こういうガン細胞どもが闊歩(かっぽ)しだすと、企業ってダメになるんです。日清の騒動って、一部上場企業に勤めてた人間から見ると、とても内情が分かりやすい騒動だったりするのです。

そして、この騒動って、日本をダメにしている分かりやすい一例だったりするんです。そうです。皆さんの周りに、もし「駄目な組織」があったとしたら、それはこの『ニッシン君』が闊歩している組織だと、そう理解してほとんどあってるはずです。

政党でも、会社でも、組織でも、テレビ局でも、雑誌社でも。

人が集まる集団は、時間がたつと、どれだけカリスマ的な人間がいたとしても、その人間にコバンザメのようにへばりついてくる『ニッシン君』が必ず生まれてきます。彼らにはそれ以外に生きる道がないからです。

でも、そのバカ達が声を上げ始めると、どんどんその組織は蝕(むしば)まれていくのです。だってそもそも低能だし。

今回の騒動、日清のCMに矢口さんを起用したのが問題ではありません。もちろん、かつて不倫をした矢口さんに非難の声を浴びせる人間が悪いのでもありません。

それらは自由なのです。

問題とは、今回の大問題とは、

一度通った稟議を、社内の若手が「挑戦しようとしている行動」をネットの声を真に受けて潰すバカ老人が問題なのです!

なので、私は非難します。日本に巣食う病魔だから。私の「よく知ってる会社」も、便秘のウンコどもが早く流れちまえば、視聴率も上がるのにね…。やれやれ。

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