一枚のレシートに書かれた内容が物議をかもす

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Name:CHAIR 名前:椅子(車いす)

フロリダ州に住むガルシア夫妻(Israel and Lorinda Garcia)が、ブラジル料理を提供する店(トレーラーのファストフード) El Toro Loco Churrascariaで食事をオーダーした時のことでした。

夫妻は、食事をオーダーして受け取ったレシートのある文字にショックを受けたと言います。そして、SNSにレシートの画像と自分たちの気持ちを綴ったメッセージを投稿しました。

妻のLorindaさんは、6才の時脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)と診断され以来車いすの生活を送っています。夫のIsraelさんは二分脊椎症(にぶんせきついしょう)で生まれてからずっと車いすが必要でした。

このレシートに書かれたCHAIRという言葉は、彼らにとって、とても辛い一般社会の概念だと語っています。

ガルシア夫妻

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社会は障害がある人々のことを、受け取るだけの人だと間違った観念を持っていると思います。車いすに乗っている人は自分では自立できない社会に依存して生きて居る人であり、仕事をしないで家でぶらぶらしている人、とでも思っているようですが、それは間違っています。

私たちが日々対峙しなくてはいけないのは、こういうことなんです。同時にこういうことに憤慨してしまいます。なぜ、彼らは私たちを人としてではなく、車いすと表現しなくてはいけないのですか?彼らの無知さに呆れてしまいました。

オーダーした料理はとても美味しかったです。ただここで声を上げたかったのは、社会の人々に教えたいことがあるからです。「車いすに乗った人は”椅子”ではないんです。椅子ではなくひとりひとり人間として大切な存在があるのです。」

オーダーを取るとき、名前を聞いて居るのは知っていました、前に並んでいた人はカルロス、そう言っているのが聞こえていましたから。でも、わたしたちの名前は聞いてくれませんでした。本当に呆れてしまいます。私たちは名前が無くCHAIRということなのですか?

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Lorindaさんのコメントです。ガルシア夫妻は仕事をして自立しており、彼らは、「車いすの人」ではなく、他の人々と同じようにひとりの「人」として社会から認識して欲しい。

レストランにコメントを求めて直撃

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テレビ局はこのクレームに対してコメントを求めてレストランに足を運びました。


「このカップルを覚えていますか?」
「ええ、覚えていますよ。」
「じゃあ、レシートになんて書いたか覚えていますか?」
「たしかCHAIRって書いたわ。それがどうかしたの?」
「ほかの人には名前を聞いて彼らはCHAIRなの?」
「違うわ、彼らのレシートにCHAIRって書いたけど、ポロシャツって書くこともあるわ。」
「あら、そうなの、じゃ誰が相手でもやっていること?」
「そうよ。」
「彼らがなぜ不快に思ったかわかる?」
「わかるわ。気分を害したなら謝るわ。でも、全く深い意味は無かったし怒らせようと思ってしたわけじゃないの。でも、誰かが不快に思ったのだったら、もうしないようにします。」

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この答えに対し夫妻は、「悪気があったわけじゃないとわかってるけど、でも社会にメッセージを伝えたかった。障がい者が受ける偏見をみなさんに知ってもらいたいというのが目的です。」と話していました。

店舗はトレーラーで屋台風

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レストランを訪れていた他の客たちに今回の夫妻が取り上げた問題について意見を聞いてみるとこんな答えが戻って来ました。

なぜこんなことで怒っているのか全くわかりません。私なら気にしないと思います。私の名前は”青いTシャツのお母さん”これで良いんじゃないかしら、全く問題ないわ。

出典 http://miami.cbslocal.com

ある女性はこう答えています。その場にいた人々が、全く気にしないと答えていました。

ところが、テレビ局のFacebookページには、この夫妻のクレームに対して非難の声が多く寄せられていました。

「気にし過ぎ。」
「どこが問題なの?」
「かまって欲しい、注目して欲しい、それだけ。」
「たいしたことじゃないのに大声でクレームしてるだけ。目立ちたいだけなんじゃないですか?」
「訴訟起こしたいんじゃ?
「誰も気にもしちゃいないこと」
「こんなことをニュースで取り上げる方がおかしい。」
夫妻に対して非難するようなコメントが大半でした。

「嫌な思いをして残念でしたね。」
「それは非礼だ!」
「私も3年車いすの生活をしたことがあり、嫌な思いをしたことがありました。」
という声もありました。

出典 https://www.facebook.com

アメリカでは筆者の身長160㎝と言えば小柄です。このレストランに行って、たとえば「Name: Short」とか「Name: ASIAN」とレシートに書かれていたとしたら、いくら大意は無く便宜上のことと言われても、不快に思うかもしれません。でも、たぶんその場で「Shortって~!もう!」とレストランの人に笑い話にして対応するような気がします。たしかに高身長ではないし、たしかにアジア人ですから文句はありません。

英語ではない名前の人が増えているアメリカでは、スペルや発音が難しいものがたくさんあります。そのため名前を聞いて混乱を招くより、服の色や特徴を書いてオーダーした人を見つけやすくするために、こういうシステムを取り入れているレストランは多そうです。

ガルシア夫妻が言っていることは、正しいことだと思います。本当にすべての人に優しく寛容な社会でなくてはならない。いじめや偏見や差別はあってはならないことです。ただし、今回のことに限って考えれば、これは差別や偏見なのか?そこに疑問が残ります。

この一件、夫妻は小さなことに目くじらたてるクレーマー?それとも、障がい者に対する偏見がはびこる社会を変えるために一石を投じた?皆さんはどう感じましたか?

レストランのオーナーは夫妻をレストランに招待して、謝意を直接伝えたいと考えているそうです。

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公式プラチナライター。テキサス州在住。料理研究家でフリーランスのコラムニスト

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