およそ20年あまり変わっていない給与

筆者はここ数年、非常に驚き嘆いていることがあります。それは新卒者の初任給の金額です。それはある時たまたま目にした某企業の給与が、筆者の頃の給与と変わっていなかったことで気づきました。

一例として平成27年度の初任給を見ていくと、最も低い高卒女子の平均が15万6200円、そして平成9年の同じ高卒女子は14万7300円で、18年の間に8900円しか上がっていないことが分かります。驚きませんか?1万円も上がっていないんですよ。

厚生労働省の一般も閲覧可能な資料が平成9年から始まっている為、それ以前の比較資料はここでは掲載出来ませんが、学歴別に出されているこの数字、どの学歴も伸び率に劇的な数字は見られないばかりか、実は昭和後期からもさ程変わっていないのです。

平成9年賃金構造基本統計調査結果速報(初任給)

男性大卒    193,900円(対前年上昇率0.4%)
  高専・短大卒168,900円(〃1.3%)
  高卒    156,000円(〃1.0%)
女性大卒    186,200円(〃1.4%)
  高専・短大卒161,000円(〃1.4%)
  高卒    147,300円(〃0.8%)

出典 http://www.jil.go.jp

※厚生労働省WEBサイトより引用させて頂きました。

平成27年の初任給を高校卒以上の学歴別にみると、男女計、男女別ともに、女性の大学院修士課程修了を除き、全ての学歴で前年を上回っている

男女計大学院修士課程修了228.5千円(対前年増減率0.1%)
  大学卒       202.0千円(    〃0.8%)
  高専・短大卒    175.6千円(    〃0.9%)
  高校卒       160.9千円(    〃1.3%)
男性大学院修士課程修了 228.5千円(対前年増減率0.4%)
  大学卒       204.5千円(    〃0.8%)
  高専・短大卒    177.3千円(    〃0.7%)
  高校卒       163.4千円(    〃1.3%)
女性大学院修士課程修了 228.5千円(対前年増減率-1.0%)
  大学卒       198.8千円(    〃0.8%)
  高専・短大卒    174.6千円(    〃1.0%)
  高校卒       156.2千円(    〃1.3%)

出典 http://www.mhlw.go.jp

※厚生労働省WEBサイトより引用させて頂きました。

地域によってはさらに低い傾向も

しかし、この資料はあくまで全国平均。地域によってはこれを下回る所も珍しくなく、さらに近年になって下がっている所すらあります。

これは何を意味しているのかというと、つまり若い層の貧困がまだ続いているということですね。子育て世代の貧困がおよそ20年続いてしまっているということです。

物価が下がることの結末は?

確かに、物価はこの20年で劇的に下がってはいます。一部を除いては全体的に下がっているものがほとんどですが、結果としてその背景にある製造や販売に携わる業種の人達の生活を圧迫することに繋がっているだけで、巡り巡って結局自分達の給与にも繋がっているわけです。つまり、値下げというのは一概に手放しで喜べるものではないということです。

ところで、この20年以前の世代はどうだったでしょうか?普通に毎年昇給があり、中小企業に至っても賞与が問題なく出る時代でした。残業はもちろん手当がつき、充実していたのです。驚くことに今の20代、30代にとってはまったく別世界の感覚のようです。

さらに重要なのは、この資料はあくまで『初任給』であるということです。正規雇用に辿り着けている人が前提なのです。実際には就職すらままならず、アルバイトなど非正規雇用でやむなく繋いできた世代も非常に多いということです。

これは学歴に関わらず、大学院修士課程修了者であっても珍しくはありません。その為結婚もままならず、子供も持てない世代も多いのです。今の30代後半から40代にはこの傾向が多いようです。

少子化や若者の自殺の本当の要因?

少子化対策の一つとして政府は託児所の充実などを挙げています。確かに、筆者の周辺では子育ての問題をクリアして仕事に復帰したいと希望する若いお母さんもいます。しかし、見ていると働きたい子育て世代の女性は二つに分かれています。

◎資格や特殊な職業でキャリアを積みたい女性
◎夫の収入が低く家計の為に働きたい女性

前者もおりますが、後者も非常に多いのを感じます。後者においては、夫の収入が十分であれば子育てに専念したい人も多いようです。

国をあげて企業に給与アップを働きかけたり、保育所、託児所の充実を図り、その一環として保育士確保の為の給与アップを提案してはいますが、これは全体的に言えることであり、実際には子育て世代の収入自体が充実すれば解決出来る側面もあると筆者は考えます。

また、若い層の自殺者もそれほど減少していないのもこういったことが背景ではないかと考えられます。

今、本当に必要なのは何か?

特に就職氷河期世代と言われている40歳前後の世代はまったく何の対策も練られないまま置き去りにされている傾向も見られます。

子育て世代を含む、ここ20年程に社会人となった時期が該当している世代に於いて、全般的にもっと焦点を当てて国が対策を真剣に練るべきではないかと思います。

そしてまず今一番可能な経済安定に向けた策の一つは消費税アップの延期や凍結ではなく、税率を5%に戻して国民が消費しやすい条件を作り、財源を確保する上で今度こそ年金をそこから捻出する議論ではないかと筆者は考えています。

年金の徴収制度は止めるべき

そう、年金制度も従来のやり方は既に崩壊していますよね?皆さんは年金特別便で時折送られてくる自分の年金試算をご覧になることはありますか?

職業や世代にもよりますが、一部を除いて今の50代より下の世代は既に生活出来ない支給額がほとんどです。夫婦の支給額を合算してもです。これはあくまで現時点での数字で、実際にはどうなるか見えないのも事実です。

年金制度ももう大きな改革が必要ではないでしょうか?過去に積み立てている分は返納して貰い、随分以前に議論されていた筈の消費税から捻出するという方法が最も平等で負担は少ないのではないかと思います。

もちろん、返納する財源などとっくに無いとは思いますが、未来のある若い世代に負担を強いるより一旦リセットすべきと考えるのは筆者だけでしょうか?

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音楽業界を経て、フリーのデザイナー兼ライターを生業にしております。ポジティブに解決したトラブルや実体験ネタを中心に書いています。音楽好きのゴシック好きの和服好き。オカルトも大好きでございます。好きな作家は芥川龍之介、詩人は中原中也☆

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