民族と歴史が複雑に入り交じる国、マレーシア。民族の種類が増えれば宗教も風習も多種多様に存在します。そんなマレーシアでは貧富の差も非常に激しく、富裕層が何不自由なく暮らす一方で、人身売買に手を染める闇の組織に自らを、また家族を売る人々も存在します。

マレーシアの人身売買の現状

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世界のどの国においても人身売買は違法で犯罪行為とされているにも関わらず、必ずどこかにそれを利益目的とする闇組織が存在します。マレーシアでは去年、北部のタイ国境付近で人身売買業者が埋めたとされる数百人の遺体を発見しました。

遺体のほとんどは少数民族ロヒンギャのものだった

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マレーシアで行われている人身売買は、誘拐により強制的に他国から連れて来られる場合もあります。虐待され家族に身代金を要求される中、拉致された人々は満足な食事も飲み物も与えられず、収容所に拘束されている間に病気や虐待で亡くなっていく人も決して少なくはないそうです。

闇組織により拘束され、収容された人たちは孤独な中で人権を奪われ、次第に生きる意味さえも見失うように。

人身売買のターゲットとされる人たちのほとんどが何の力も持たない貧困層の人々、また難民やマイノリティの民族という理由で行政の管理が行き届いていないことも多く、人身売買の果てに殺害されたり行方不明となっても、全く気付かれないことが多いという現状なのです。

人身売買はパーム油産業に関わりが?

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マレーシアではパーム油産業が盛んですが、実はこれが人身売買の温床になっているともいわれています。人身売買斡旋業者が「マレーシアに行けばいい仕事がある」とバングラデシュ人に甘言を与えて誘拐し無賃金で働かせているというのです。

今やパーム油は世界で最も消費されている植物油としても知られるようになりました。でも、需要を生み出し続けるマレーシア産業発達の裏には、過酷な状況で働かされ続けている人たちのこうした人身売買の闇があったのです。

子供の誘拐も多発するマレーシア

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2005年に起こったスマトラ沖地震の時でも、災害を利用して子供の誘拐が多発し人身売買に利用されたといわれています。また、子供を持ちたいと願う不妊の夫婦に闇ルートで赤ちゃんを売るという組織も存在します。

売春婦に無理やり妊娠させ、生まれた赤ちゃんを取り上げて売り利益を得ている人身売買業者。この赤ちゃん売買は1995年頃から目立ち始め、今では手口が更に巧妙になっているとか。そして生まれたばかりの赤ちゃんを引き取る夫婦は高額な取引を強要されることに。

マレーシア政府では、隣国のインドネシアやタイと連携して子供の誘拐や人身売買の撲滅に力を入れているそうですが、残念ながら現在も犠牲になる子供の数が減ることはありません。

マレーシアの人身売買で政府の目をくぐる闇組織

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冒頭のマレーシア北部で見つかった少数民族ロヒンギャの遺体に関しても、その近くの収容所が何年も警察当局に見つからなかったということで、世間では警察の捜査の甘さを指摘する声もあるそう。

マレーシアにはびこるこのような人身売買に、これまでに5万人以上もの外国人が密輸されたと言われています。ミャンマーとバングラデシュから連れて来られた人が多いということですが、管理が甘いためにあくまでも推測にしか過ぎません。

ひょっとしたらタイやバングラデシュを旅行中に、ある日突然失踪し行方不明になっている旅行客さえも、この人身売買の犠牲になっているかもしれないのです。

都市でも臓器売買グループがうろついている

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マレーシアの都市、クアラルンプールでさえ臓器売買を目的とした闇業者がうろついていると言われるほど。学校の送り迎えに混ざって子供を誘拐し、ワゴン車の中で臓器を取り出すという残虐極まる犯罪がマレーシアでは後を絶ちません。

ターゲットになるのはこどもだけではなく女性も同じ。暴行され、臓器を奪われ死体は放置されるというのです。臓器売買を目的とした誘拐未遂事件が多発しているということで、都心に住む子供を持つ親は気が休まらないことでしょう。

このような残忍な犯罪事件が、なぜ多発しているにも関わらずニュースで世界中に流れないのか…。

あまりにも頻度が多い軽犯罪は日常茶飯事と見なされ、メディアで取り上げられなくなってしまうというのは欧米ではよくあることですが、先進国に生きる私たちからすれば現在もマレーシアで人身・臓器売買、赤ちゃん闇市場などが行われているにも関わらず、この残忍な現状が頻繁には報道されないとなると、政府が海外から管理責任を強く批判されてしまうことを恐れているのではと疑問を抱かずにはいられません。

途上国にありがちな人権や道徳を無視した行為とはいえ、産業の発達で海外からも需要の多い国になっているマレーシアは、2020年には先進国入りを目指しているとまで言われています。

都会に隠された裏側の国際問題

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大都市クアラルンプールは、街を歩けば日本と大差ないとも。そんな都会の裏側で頻繁に行われている人身売買に対して、警察当局は実態解明に向けた調査を行うという方針を立ているそうですが、果たして闇に包まれた実態が明らかになる日が来るのでしょうか。

何年も何年も冷たい土の中で、誰にも探してもらえずにひっそりと人骨に変わっていった人身売買業者の犠牲になった人達のことを思うと気の毒でなりません。5年後のマレーシアが今と変わっていることを強く願う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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