記事提供:カラパイア

地球上の生物は環境に適応しながら生き延びていく。それは我々人類も例外ではない。進化と共に必要な能力を得て、必要とされない能力は情報として組み込まれていながらも葬り去られていく。

その暮らしのほとんどを海の中で暮らすというタイ西部に住むモーケン族の子どもたちは、海の暮らしに適応した能力を持っている。そう、陸上でほとんどを暮らす我々が失っていった能力であり、イルカやアザラシが持っている能力である。

出典 YouTube

海の遊牧民と呼ばれているモーケン族は、生活のほとんどをアンダマン海の浅瀬の中で過ごす。彼らは子どものころから、自由自在に水の中を泳ぎ回り、歩いたり狩りをしたりすることができる。

彼らは水中で目がよく見える。いったいなぜなのだろう?

1999年、スウェーデンのルンド大学のアンナ・ギズレンが、その謎を解明しようとのり出した。わたしたちの目は、水中ではぼんやりと不鮮明になってしまう。光は空気中から水に入ると屈折する。人間の目に光が入ってきたときもそうだ。

これは角膜の外側に水分が含まれていて、まわりの空気よりもわずかに密度が濃くなっているためで、目のレンズがさらに屈折率をあげている。

ところが、人間の目が水中にあるとき、角膜の厚みは同じでも、水から水では光は屈折しない。よって像が鮮明に結べないのでぼんやりとしか見えない。しかし、モーケン族の子どもたちは、瞳孔を狭めることによって、屈折力をうまく調整しているのだ。

現代の人間は水中では目が適応しようとしないため、こんなことはできないと考えられている。しかし、モーケン族の子どもたちは、瞳孔を小さくして、目のレンズの形を変えることができるのだ。

もしかしたら、かつて人類にに備わっていたものの、進化の過程で削ぎ落されていった能力なのかもしれない。その証拠に欧米の子どもたちを訓練した結果、一時的にこの能力が得られたという研究結果もある。

これは、アザラシやイルカにも備わっている能力である。すばらしい適応力だが、残念ながら永久的なものではない。モーケン族の子どもたちは、大人になるとこの能力のほとんどを失ってしまうそうだ。

だが体は目で見えたときの感覚で覚えている。なので大人になってからも、海の中の生活に支障はないのだ。

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