子供を持つまで溶連菌(溶血性連鎖球菌)の存在を知らなかった筆者。出産時に、B群溶連菌にかかってしまい、通常24時間以内で退院できるところを6日間も生まれたばかりの子供と入院する経験をしました。

知っておくべきB群溶連菌

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今でこそ、様々な妊婦さん向けのサイトで取り上げられている「B群溶血性連鎖球菌」。そして日本ではちゃんと検査もしてくれるので、万が一陽性と発覚しても、その後の治療に安心ですが、実はイギリスではまだまだ認知度が低いのです。

というのも、NHSという政府の予算で賄っている病院では妊娠中に検査をしないからです。分娩時に赤ちゃんが感染してしまったとしても、症状が出ない限りわからないままなのです。

そもそも、B群溶連菌って何?

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既にご存知の方もいると思いますが、おさらいの意味で再確認しましょう。溶連菌にはA群とB群があり、このB群溶連菌、通称GBSは膣内に常在する細菌で、妊娠しているという以外で、尿路感染症などを起こさない限りは特に問題にはならないものなのですが、妊娠していると危険性が大きく変わってくるというやっかいなもの。

膣内から胎児へ感染した場合の危険性

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筆者の場合は、破水してから時間が経っていたために息子がGBSになってしまったと後から聞かされました。偶然、出産して黄疸が出たのもあって検査してわかったので運が良かったのだと思います。そのまま入院し、息子は無事に回復しました。

ところが、感染に気付かないと赤ちゃんの命に関わる危険性が。髄膜炎や敗血症、肺炎などを起こし、脳へのダメージも深刻に。治療が遅ければ、万が一助かったとしても全身麻痺などの重い障がいを持ってしまう可能性もあるのです。

妊婦では20~30%が保菌者といわれる

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日本では検査で保菌者と知ることができますが、イギリスではそれができないために、筆者のように出産中かかってしまっていると知らずに子供を産み、その子供が感染したことが原因で1週間から2週間の間に命を落とすという悲しい出来事が相次いでいます。

「お金を払ってでも希望すれば検査を受けられるようにしてほしい」。生まれたばかりの子供をGBSで失ってしまった親たちが今政府へ向けて署名活動をしています。

GBSという存在さえも知らなかったという親がイギリスにも多く、大切な子供を亡くした後で「もっと治療法があったのでは」「事前に検査できていれば子供は助かったのではないか」という悲しみと怒りがイギリスのママたちに広がっています。

子供の髄膜炎に続いてGBSの感染症で亡くなるケースも多い

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前回、イギリスでは子供が髄膜炎になり死亡するというケースが非常に多いことを記事にしました。

調査によると、イギリスでは毎年、68万人の命が誕生しています。その中の340人がGBS感染症にかかっていると判明。10人のうち2人が重度の障がいを残すことになっても生存する可能性があり、10人に1人が死亡すると言われています。

しかし妊娠中の検査があれば少なくとも自分が保菌者であるかどうかがわかり、感染した子供に何らかの治療をすることができるため、出産後の子供が生後間もなくして命を落とすという危険性が回避されるのではないか、との訴えをもとに、今最愛の子供を失ったママたちが署名運動に励んでいます。

日本人の筆者から見れば、イギリスの医療に疑問を抱かずにはいられませんが、どうやらイギリスに住むイギリス国民たちも、NHSの大幅に制限された治療や医療システムに不満を持っている人も少なくないようです。

ちょっとした検査で、お腹の子供のことがわかるなら誰だってしたいもの。それをすることで防ぐこともできるというのは、後に子供の命を失うかどうかにかかってくるわけです。

今更ながら、GBSに感染した筆者の息子がよく頑張って回復してくれたと思わずにはいられません。妊婦なら知っておくべきことを知識として学び、無事に赤ちゃんを出産したいですよね。イギリスのような先進国で、医療システムが不十分なために、幼い子供が髄膜炎やGBSにより命を失っているということを悲しく思う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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