先日3月15日に発売されたアメリカの「TIME」の表紙に使われた、南スーダンのベンティウ地区に住む、レイプで妊娠した17歳の少女、アヤックさんの写真が話題になっています。

出典 http://time.com

※こちらの画像が、3月15日発売の「TIME」3月21日号のカバー写真です。

この写真を撮影したのは、戦場カメラマン・リンジー・アダリオ氏。リンジーさんは10年以上もキャリアを持つ、“戦争兵器”としてレイプ被害に遭った女性たちをカメラに収めてきた女性プロカメラマン。彼女自身も2011年、リビアの取材中に性犯罪に遭った被害者です。

自身も被害者であることから、レイプ被害者女性の理解者であり、取材撮影には十分に配慮していたといいます。

この写真を表紙に飾った「TIME」に非難の声が!

カリフォルニア大学、社会学者ゾイ・サムジーさんはTwitterに「私はこの酷く搾取的な表紙について、聞きたいことがたくさんあります」と投稿しました。

「アヤックがレイプ被害者で弱い立場であるのに、なぜTIME誌のカバーで全裸の写真を使う必要があったのですか?」

「あなた方は、ボスニア紛争によって大量虐殺に遭った被害者や組織的にレイプされた女性も、同じようにカバー写真にしますか?」

非難される一方で、擁護の声も

「ナショナルジオグラフィック」誌の写真家パトリック・ウィッティさんはTwitterで「地獄のような表紙は、戦争での性犯罪を終わらせることにつながるだろう」とコメントした。

国際教育の専門家のイマニ・クロフォードさんも、このコメントに「賛成です。とてもパワフルな表紙写真。遠い国の多くの女性にとって本当に恐ろしい現実です」と返信している。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

リンジーさんは、レイプ被害者を報道することの難しさを語る

TIMEによると、彼女は南スーダンのベンティウ周辺に住んでいたが、家族全員を反体制派の攻撃で失った。

彼女は1人で逃げる際にレイプされ、国連キャンプに着いてからもたびたびレイプされたという。そのうち1人は彼女をHIVウイルスに感染させた。「お腹の中にいる赤ちゃんが、私の唯一の家族となるでしょう」と、アヤックさんは話したという。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

17歳のアヤックさんがどのようにレイプされたか、女性に聞く簡単な方法などありません。市民が“戦争の武器”として使われ性的暴行をされると、そこから生まれる身体的な傷と、精神的なトラウマが生じます。

それでも、女性がどのようにレイプ被害から立ち直るかという現実を世に広めるため、リンジーさんとTIMEのアフリカ編集局長アリン・ベーカー氏「彼女たちが強姦された状況を理解する必要があった」と語っています。

はじめは東部コンゴ、そしてウガンダの南スーダンの難民キャンプで、レイプされた女性たちへ2週間にわたる取材を行いました。そして自身が体験した悪夢のような出来事について語ってもらったといいます。

そしてカメラマンのリンジーさんは、アヤックさんにTIMEの表紙モデルを依頼したのです。

性暴力、性奴隷...”レイプ”という名の戦争兵器

リンジーさんがこの凄惨な事実を記事にしようと思ったのは、2つの大きなニュースがきっかけでした。1つ目は、ISISによる成人女性や少女に行う組織的な集団レイプや性暴力。ISISはイラクのヤジディ教徒から女性と少女を誘拐し、奴隷にし、集団レイプしていました。

2つ目は、ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」による女子高生拉致事件。ボコ・ハラムのテロ集団は何百人もの少女を誘拐し、彼女たちに結婚を強いていたといいます。

リンジーさんはこの2つのニュースから、レイプの背景にある動機について考えさせられたようです。

アヤックさんが“のようにレイプされたかについて取材することが困難ならば、話を書きとめることすら大変に難しく、デリケートな課題です。

これまで暗殺から自爆テロまで、多くの事件を報道したジャーナリストとして活動してきたリンジーさんは、今回の取材は自分自身の感情を抑えることを学んだ」と語っています。

二度と歩けなくなるほど情け容赦なくレイプされる少女…。アヤックさんがHIVに感染していることから、やがて誕生する我が子がHIVに感染している可能性も高く、レイプにより妊娠した幼い母親は、どんなに辛い心境でしょうか。

話を聞く間、リンジーさんは怒りに打ち震え、涙が溢れてきたといいます。

カメラマンのリンジーさんとTIMEのアリン・ベーカー氏は、多くのレイプ被害者に会い、写真を撮影し、対談しました。

レイプ問題について尋ねること、その答えを聞くこと-。これらを容易に行うのは不可能です。しかしリンジーさん自身も性犯罪の被害に遭った体験を話すことで、彼女たちに一種の安心感を与え、話を聞くことができました。

レイプ被害者が最も隠したいことは、女性としての”恥”です。一部の女性は自分の名前と写真が雑誌に使われることを望みましたが、他の女性たちは自分の家族に汚名をきせられることを恐れ、拒否しました。

しかし“性犯罪に遭った女性たちが自分の名前と写真を公開することが、レイプ犯罪の終結の終結に向けた最も重要なステップである”と判断した多くの女性は、リンジーさんに熱く胸の内を話したそうです。

南スーダン軍、民兵の報酬として「女性のレイプを許可」

3月11日掲載のAFPによると、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、南スーダン軍が民兵の報酬として女性のレイプを許可していると述べました。

OHCHRは、新たに発表した報告書で「評価チームが受け取った情報によると、(政府軍の)スーダン人民解放軍(SPLA)と合同で戦闘に参加している武装民兵たちは『できることは何をやってもよいし何を手に入れてもよい』という取り決めの下で、暴力行為を繰り返している」と述べた。

出典 http://www.afpbb.com

報告書には、民兵たちへの報酬として“女性や少女をレイプ・拉致してもよい”という具体的な内容がありました。

さらには子供たちを含め、生きたまま火をつけられたり、コンテナの中で窒息死させられたり、木から吊るされたり、バラバラに切り刻まれたり、という恐るべき内容が明かされています。

何と言う恐ろしい状況でしょうか。ゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権高等弁務官は、「世界で最も恐ろしい人権状況のひとつ」だと述べています。

今回の取材で、カバー写真を撮影したカメラマンのリンジーさん、TIME誌のアリン・ベーカー氏、アヤックさんの女性3名は、涙を流しながら時に笑顔で、親密な時間を過ごしたようです。

話題になったTIMEのカバー写真。レイプで妊娠した17歳の少女の写真を使用するTIMEに非難する声もありました。しかしレイプと言う名の恐ろしい性犯罪を撲滅するため、今こそ被害者たちが恥を捨て、立ち向かうべき時なのかもしれません。

彼女たちが女性として堂々と生きる尊厳を与えられることを、心から願います。

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キャリアカウンセラーの道を目指し、資格取得後オンラインカウンセラーとしてデヴュー。WEBライターとして活動をはじめ7年になります。人に「読まれる・読ませる」ライターを目指しています☆

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