記事提供:サイゾーウーマン

『不倫経済学』(ベストセラーズ)。

上戸彩と吉瀬美智子が、平日の昼間に夫以外の男性と不倫する妻を演じたドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)から早2年が経過しようとしている。

放送中には、『昼顔』の公式サイトに、自らの不倫体験投稿や不倫を容認する意見が殺到したことも記憶に新しい。不倫は今やセンセーショナルな社会現象ではなく、“みんながやっている”日常と化しつつあるようだ。

そんな中、エコノミストの視点で不倫をあらゆる方向から数値化した『不倫経済学』(ベストセラーズ)が刊行された。

著者は『ホンマでっか!?TV』(同)に出演中の経済評論家・門倉貴史氏で、本書では、熟年離婚の痛みや、中高年層の不倫による快楽の価値をお金に換算したり、中高年向け性風俗トレンドや高齢者の恋愛と性に関する消費市場にまで斬り込こんでいる。

これまで、恋愛市場についてはさまざまな分析がなされてきたが、不倫市場についてはほとんど皆無。

それというのも、経済学においても「既婚者の婚外恋愛がそもそもタブー視され、分析の対象にならなかったから」だと同氏は語る。では、タブーを破って分析した先に何がわかったのだろうか?門倉氏に聞いた。

■不倫で得られる快楽=5,339万円は得か損か?

――不倫はメジャーなものになりつつありますが、経済の切り口で論じられているのはあまり見たことがありません。このテーマを取り上げた理由を教えてください。

門倉貴史氏(以下、門倉)これまで独身者の恋愛については、数学者フォン・ノイマンが1944年に完成させた「ゲームの理論」を駆使して、男女をいかにマッチングさせるかの分析をエコノミストや経済学者がたくさんしてきました。

しかし、平均初婚年齢と平均寿命を考えると結婚後の人生の方がはるかに長く、さらに世界の成人人口のうち8~9割が既婚者である事実などから、既婚者の恋愛分析が重要なのは明らかです。

また離婚裁判の慰謝料請求など、裁判で算定される賠償金額においても、個人の「快楽」や「苦痛」、「喜び」や「悲しみ」を金額に換算することへの社会的ニーズも高まっています。

そうした事由からも、「不倫」つまり既婚者の恋愛を数字やデータで素描する必要性はあると感じています。

――本書では、さまざまなアンケート結果やデータをもとに、専業主婦が不倫をするメリットを換算しています。そこからわかったのは、不倫のメリットが年間19万732円を超えていれば夫を裏切って不倫をする、ということでした。

門倉 この金額は、イギリスの既婚者向け出会い系サイトの不倫経験者・男女各3,000人にとったアンケートを参照して算出したので、日本だと19万円より高くなるはずです。

金額を算出する際、不倫の“露見率”が重要になってきますが、イギリスでは「配偶者にバレなかった」と答えた女性が95%だったので、逆算して露見する確率は5%です。

しかし個人的には、日本の場合だと地域や社会の目があるので、もっと露見確率は高いと思います。

露見確率が高ければ、期待費用(デメリット)も大きくなるので、年間いくら以上のメリットがあれば不倫をするかとなると、日本の専業主婦の場合は高くなるのです。

――バレるリスクやその不安感を考えると、期待費用は何百万、何千万までいくと思いました。

門倉
もちろん、不倫がバレない自信があるならいくらでもその期待費用は低くなるし、バレる可能性が高かったりバレたら困るのであればもっと高くなります。

ただ本にも書いていますが、不倫で得られる快楽を不倫経験者のアンケートで金額換算した日本の調査結果によると、女性は平均で5,339万円、男性は1,182万円でした。不倫の恋愛による快楽は、禁断という蜜がかかっているからか、これほど大きい。

個人の差もありますが、「バレるかも…」「バレたら…」というリスクや不安感と得られる快楽を比較して見る限りでは、不倫はかなりコスパが良いということになります。

■男は妻を愛しているから不倫する?

門倉貴史氏。

――本書に登場する不倫経験者3名は、罪悪感がほとんどないと語っています。

世界的な既婚者向け出会い系サイト「アシュレイ・マディソン」が利用者に行った調査でも、不倫に罪悪感のある女性の世界平均が8%であるのに対して日本人女性はたったの2%だったとか。

この点についてはどうお考えでしょうか?

門倉 私が事前に想定していた数字とは、かなり乖離がありました。

大人数を対象にしたアンケートでも、不倫に対する罪悪感がやっぱり日本人はとても低いです。不倫経験も2割以上は「あり」と答えます。

時代とともに価値観が変わるでしょうし、日本人はそもそも宗教心の薄さによって罪の意識を感じにくいという点もあると思いますが、

この「罪悪感のなさ」は、つまり不倫が発覚しても、それが原因で離婚には至らないだろうと考える人が多いということです。

もちろん離婚はしたくはないものの、不倫をそこまで一大事だとは捉えていないのだと思います。

――その「不倫ごときでは離婚に至らないだろう」という感覚は、女性の方が強いのでしょうか?

門倉 いえ、これは特に男性に顕著です。そもそも不倫をする既婚男性は、妻を愛しているのに不倫に走る、むしろ妻をもっと愛したいから不倫に走るということが、調査の結果でわかっています。

それは妻と不倫相手、どちらも同じ恋愛対象として手に入れたいというわけではありません。

不倫相手と非日常的な時間を共有して、ときめきやドキドキを得ることで精神的な余裕ができ、長い結婚生活で薄れてしまった妻への愛、存在を再評価しているのです。

不倫相手には体のつながりではなく心のつながりを求め、結果として今まで以上に妻を大事にする。だから、「妻を大事にしているのだから不倫がバレたとしても離婚などないだろう」という、なんとも都合が良く楽観的な思考に向かうようです。

――男性の不倫はセックスのためではないのですね。一方、妻が不倫をする要因として、セックスレスからの寂しさを埋めたいからだとよく言われ、本書でも女性はそのように分析していますが、ほかにはどんな理由があると思いますか?

門倉 テレビの影響やSNSの発達ももちろんですが、周りに不倫している人がたくさんいるという情報が大きいと思います。

「皆がやっているから自分もやって良いんだ」という集団心理が強く働いているのではないかと。

昨今ではベッキーさん、宮崎謙介元議員、桂文枝師匠など著名人の不倫報道が絶えませんが、現在進行形で不倫をしている人はすごく安心したと思います。

芸能界は週刊誌で晒されたり仕事を失ったりしますけど、一般の人はそういうのはないですから。こういう報道が出れば出るほど、不倫に対する抵抗感や罪悪感はどんどんなくなっていく傾向に作用するのではないでしょうか。

――みんなやっているという安心感で不倫もOKになる。これも国民性のようなものでしょうか?

門倉 目先の欲望は我慢して、将来に投資することで「安心」や「幸福感」を得ようとする日本人の気質が現れている気がします。

旦那さんは目先の快楽を我慢して長時間労働をするので、夫婦間ではセックスレスになり、セックスレスだから妻も夫も外で不倫を、という循環が生まれやすいのでしょう。

国民が感じる幸福度に関して、世界的なデータを見ても、セックスの平均回数と幸福度指数は比例関係にあり、例えばセックスの平均回数が世界一であるギリシャは、経済危機に陥っているにもかかわらず国民が感じている人生の幸福度は高いんです。

もともと持っているラテン気質や、危機的な経済状況から刹那的な快楽へ逃げているという分析もできますが、一方、日本はセックスの平均回数も少なく、幸福度も低い。

■団塊ジュニア世代が不倫市場を支え続ける

――今の20~30代は男女とも独身が増え、また性欲もそこまでない人が増えていると報じられています。今後の不倫経済はどのように変化していくでしょうか?

門倉 彼らはアンケートをとっても、不倫に対する罪悪感が一番低い年代ですが、実際に不倫という経験をする人はそこまで増えないと思います。

罪悪感云々というより、性欲がそもそもないし、お金もかかるしバレたら面倒だしというローリスクを考える人が多いでしょうから。

ただ若い世代の中でも、既婚者との不倫は増えていくと思います。特に、40代の既婚女性と20代の独身男性は性欲がピークに達しているので、このカップルはバランス的にマッチして、不倫関係に陥りやすいです。

一方、いま現在不倫市場の中心にいるのは経済的にも余裕があって人口が多い40~50歳手前くらいの団塊ジュニア世代です。

若い頃はバブル時代の恋愛コンテンツに押され、価値観の変化を経験して不倫にも寛容的になっている人たち。

これから彼らが60代、70代になったとしても年齢がシフトするだけで、生涯現役で恋愛やセックスにお金を使う世代ですから不倫市場自体は保たれると思います。

――門倉先生もその世代ですよね。経済学的には不倫のコスパは良いとのことですが、ご自身ではチャレンジしようと思われますか?

門倉 本にも書きましたが、40代男性が月2回ペースの不倫デートをするとどのくらいのお金がかかるのかをヒアリング調査したら、デート代やホテル代、飲食代など諸々含めて年間72万円と出たんです。

月6万円…僕ならそんなにお金は使えないです。そもそもローリスクローリターン派なので、不倫自体がナシですね。

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