「清原和博容疑者、覚せい剤所持で逮捕」

日本中に激震が走ったその日から今日に至るまで、「清原報道」を見ない日はない。昨日は清原が報道陣に対して弁当を差し入れたらしく、具材や味に関して伝える番組もあったようだ。これだけの大きなネタ、マスコミ側からしたら、一日でも長く、さまざまな切り口でもって取り上げたいところだろう。

「清原が球界を揺るがすような爆弾発言をするんじゃないか」。そんなゴシップ的な憶測もネットを中心に飛び交っている。僕もゴシップは嫌いじゃないので、そういったタイトルの記事があれば、思わず読んでしまう。

でも、やっぱり今回の一件を通して最も伝えられるべきは、「覚せい剤の恐ろしさ」だと思う。

覚せい剤を絶つのに強い意志は全く通用しない

出典wordleaf.c.yimg.jp

先日、テレビ朝日『ワイド!スクランブル』で、田代まさし氏のインタビューが放送されていた。

田代まさし氏といえば「マーシー」の愛称で知られ、僕が子どもの頃はバラエティー番組やCMなどに引っ張りだこ。そんな「引っ張りダコ」だった彼が、東京都迷惑禁止条例違反で書類送検されたあとに開いた謝罪会見の場で「ミニにタコ」と発言したのは、あまりにも衝撃的すぎた。「あのマーシーが」と絶句したのを鮮明に覚えている。その後の凋落ぶりは、周知のとおり。覚せい剤の使用で3度も逮捕されている。

今、田代まさし氏は、薬物依存者の民間リハビリセンター「日本ダルク」のスタッフとして働いている。彼いわく、「覚せい剤を絶つのに強い意志は全く通用しない」そうだ。

「もうやめよう」と何度も何度も強く誓っても、頭が、体が、言うことを聞いてくれない。有名人であるがゆえ、売人が近づきやすいこともあるだろう。あるイベントのあと、握手を求められた人からそっと何かを渡された。覚せい剤だった。そのときは「今まで十分に頑張ったのだから、少しくらい休んでもいいんじゃないか」といった声がどこからともなく聞こえてきたそうだ。結果、また覚せい剤に手を染めてしまい、再び逮捕されるに至る。家族も失った。

「強い意志は全く通用しない」

ほんの一度でも覚せい剤を使用してしまったら、脳も心もクスリに支配される。やめ続けるのは至難の業。もう後戻りはできない。そして、いずれ「人間」と呼べる体をなさなくなっていく。

田代まさし氏の言葉こそ、覚せい剤使用の抑止に働く

清原逮捕の余波を受けて、田代まさし氏をテレビなどで見かける機会が増えた。彼はインタビューを受ける際、「言える立場ではないけど」というエクスキューズを必ず置く。それは、もちろん本心でもあるだろうけど、世間を意識した枕詞であることは間違いないだろう。

「お前が言うな」という突っ込みが入ることは容易に想像できる。それはそうかもしれない。

だけど、彼のように、覚せい剤依存に陥り、今なお立ち直れるかどうか予断を許さない状況にいる人間が発する言葉は、リアリティをもって、特に若い世代には伝わるのではないかとも思う。

中には覚せい剤を絶ち切り、見事に更生を遂げた人も世の中にはいる。ただそういった人がメディアで取り上げられるとき、どうしても美談にされがちだ。美談になると、その怖さや深刻さみたいなものがどうも薄まってしまうような気がする。

地獄の入り口に立ち、そこで踏ん張っている田代まさし氏の言葉こそ、覚せい剤使用の抑止に働くのではないだろうか。

「お前が言うな」の突っ込みに負けず語り続けてほしい

人間はそんなに強くない。覚せい剤を比較的簡単に入手できてしまえるような環境が改善されない限り、田代まさし氏や清原和博のような人間は後を絶たないだろう。もっとも、覚せい剤使用を擁護するつもりはない。駄目なものは駄目。どんなに辛かろうが寂しかろうが、何としてでも自分の意思で、最初の一歩を踏み出すことだけは思い留まらないといけない。

ただ、売人の方の罪をもっと厳罰化しないといけないんじゃないかとも思う。そして少しでも深みにはまる前に、クスリからの脱却を支援する体制を整えることも必要かもしれない。

「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか?」

このコピーが物語っている通り、覚せい剤は本当に恐ろしい。

田代まさし氏には、「お前が言うな」の突っ込みに負けず、クスリの怖さを、そして人生がどれだけ狂い、大切なものをどれほど失ったかを、これからも生々しく語ってもらいたいと思う。

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公式プラチナライター。ライター歴、約10年。現在、関西を拠点に活動中。大のテレビっ子です。たまに、ちゃんと取材した記事も寄稿しています。

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