日本では、子供が一定の年齢になれば学校へ行くのが当然という考えがあり、学校へ行かない子供に選択肢はありません。日本の社会そのものが「子供は学校で教育を受けるべき」という学校中心の教育方針を取っているからです。

筆者の住むイギリスでは、子供は学校か家のどちらかで教育を受けることが可能です。「ホームエデュケーション」をいう言葉を聞いたことがある方もいることでしょう。もしくはホームスクーリングとも呼ばれていて、学校に行く代わりに子供を家で教育するという方法がイギリスでは法律で認められているのです。

選択できる教育方法

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現在、イギリスではこのホームエデュケーションが浸透しています。というのも、政府が学校側にかけるプレッシャーにより教師により教育を受ける子供たちをサポートする親が減ってきているのです。

障がい者の子供を持つ親は学校側に特別な教育方針を求めます。それが叶わない場合、もしくは満足できない場合は子供を家庭で教育することが可能です。また、宗教などの関係で子供が苛められている場合や学校方針そのものに納得いかない場合など、様々な理由により親が子供の為にホームエデュケーションを選択するケースも増加しているのです。

2015年の調査ではホームエデュケーションは65%も上昇

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イギリスには約950万人の子供が学校に通っていますが、イギリスにある190校を対象に調査したところによると、約3万7千人もの子供たちがホームエデュケーションをしており、その比率は過去6年間で65%、過去3年間で26%も上昇しているという結果が出ています。

一度子供を学校に通わせても、子供が馴染めず学校生活が惨めになるようなら途中からホームエデュケーションに切り替えることも可能なイギリス。現代ではますます自由主義的な思想の親が増えていることから、ホームエデュケーションの比率も上がっていると言われています。

自宅でカリキュラムを立てて教育

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ホームエデュケーションなので、家庭によりその教育方針は様々。でも試験を受けることもできるので、学校で受ける教育よりも家庭内の教育は劣っているということは決してないのです。ただし家庭内での教育を子供が受けられるだけの整った環境が必要。更には両親どちらかが常に在宅し、子供の教育に100%携われることが条件となります。

一般的には、家庭学習と課外授業をミックスさせた教育をしている家庭が多い様子。筆者の知り合いにもホームエデュケーションを選んだ親がいます。息子と同い年の5歳の子供がいる親は「うちの子は学校教育には適していない」と判断し、最初からホームエデュケーションで子供を育てています。

子供は孤立しないのか?

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子供が学校に行くということは、勉強のためだけではなく団体生活を学び、友達と過ごせる場を持つと言う利点があります。ホームエデュケーションの場合は子供が孤立しやすい環境になってしまうために、イギリスではホームエデュケーションをしている親同士のグループ交流がありそこで子供も友達を作ったりすることができるそうです。

学校に行くことの利点は確かに大きいけれど、どうしても学校生活に馴染めない子供を持つ親にとっても、子供が惨めな気持ちで毎日学校に行く姿を見るのは辛いものがあるでしょう。

日本は選択肢がなく、子供も親も何があっても耐えることを強いられます。それができなければ退学という形にしかならないからです。でもイギリスでは子供にもこのような選択肢を与えることで、子供の精神的な苦痛を取り除くことができるのです。

それだけでも、子供に取ってみれば幸せなこと。学校以外でも勉強できる場が法的に認められているということで、子供も親も救われているという家庭も存在するのです。

ホームエデュケーション8年の経験を持つ母

出典 http://www.mirror.co.uk

メーガン・ワズワースさん(43歳)は子供たちを自宅で教えて8年目になると言います。通わせていた学校には、読み書きが不自由な長男を100%サポートする教育が整っていなかったこともあって3人の学校生活が日々惨めなものに変わっていくことに気付いたメーガンさんは、いっそのこと3人とも家で教育しようと決心したそう。

毎日学校に行くことで落ち込んで、不安恐怖症になり殻に閉じこもりがちになっていた3人の子供が、ホームエデュケーションを始めると表情そのものに変化が現れたそうです。ところが、経験もないメーガンさんにとっては暫くはハードな日々が続きました。

カリキュラムに沿って3人の子供たちを教えている間、末っ子の7歳の子供は集中できない時があったりと、苦戦の連続。そして夜は翌日の学習プランを立て夫との時間を夫婦として過ごす暇など全くないほどだったと言います。毎日慣れないチャレンジに疲れ切ってしまった時もあったメーガンさん。

1日中仕事をしている夫は、最初はメーガンさんの決心をかなり心配したそうですが、メーガンさんは8年経った今、やっとどうにか安定したものになってきたと話しています。

選択肢があることは大きな意味を持つ

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親にとっても教師でない限り、自宅で子供を毎日教えるというのはハードなことに他ならないでしょう。それでも、イギリスには学校で教育を受けるという以外にこのような選択肢があることで、子供の精神面にも大きな影響があることは確か。

何事も選択肢があるということは、それだけ心にもゆとりができるということ。日本は今現在では、ホームエデュケーションのような学校以外の教育方針を視野には入れていないということだそうですが、親(大人)の義務としてではなく子供自身の権利のためにも教育の選択肢を広げていくことが、この先の日本には必要ではないでしょうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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