「身体完全同一性障害」という言葉を聞いたことがありますか?自分の体の一部を失くしてしまいたいという強迫観念に取りつかれる非常に危険な疾患です。取り除いてしまいたいと思う体の一部は、腕や足など人によって違います。

「余分」だと感じてしまうことで取り除きたいという気持ちが芽生え、実際にそれをしてしまった人も存在します。米ノースカロライナ州在住の女性が自らを盲目にしてしまったことで世間に波紋が広がりました。

「幼い頃から全盲の人に憧れがあった。」

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生まれつき目や耳、四肢が不自由な人からすると、「小さい時から全盲になりたかった。」などという発言は侮辱以外のなにものでもないでしょう。健康体に生まれたくてもそれが叶わない人もこの世には多く存在し、みな、葛藤しながら日々生活しています。

でもジュエル・シューピングさん(30歳)は違いました。幼い頃から全盲の人を見ると憧れの気持ちが湧いたと言います。「太陽を見続けると目が悪くなるよ」と親に言われればそれをして盲目になりたい、という願望を抑えきれずにいたそう。

3歳の頃からそんな気持ちを持っていたジュエルさんは、明らかに精神疾患を患っていたといってもよいでしょう。6歳になるとますます盲目になりたいと強く思うように。そして18歳になる頃には、健康体であるにも関わらず真っ黒のサングラスをかけ杖をついて歩く練習をするなど普通では考えられない異常さを見せていたジュエルさん。

「見えないことが心地よいと感じていた」

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幼い頃から真っ暗な廊下を目を閉じて歩くことが、怖いと感じるどころか心地よいとさえ感じていたというジュエルさんは目が見える頃から点字の勉強をし、20歳になる頃にはスラスラ読めるように。そしてそれが自信となったのか、23歳の時についに自分で自分の目を潰すという信じがたい行為に出たのです。

排水パイプ用液体洗剤を目にかけた

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「焼けつくような激しい痛みを目と皮膚に感じた」とジュエルさんは当時を振り返って語ります。目から伝う液体は頬も焼いてしまうほどだったと言います。それでも「もうこれで大丈夫。私は見えなくなるんだ。」という強い安心感が湧いたそう。

病院の医師たちはジュエルさんの医師に反してなんとか視力を救おうとしましたが、ジュエルさんは半年後、全盲に。その間「目を開けてぼんやりでも見えれば失望した。」と語るジュエルさんに世間では大きな批判が起こりました。

これがきっかけで家族とも疎遠に

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大切な体の一部を余分なものだと思い込み、それを取り除いてしまったのはジュエルさんだけではありません。この疾患の原因に関しては未だはっきりとはされていないものの、確実に身体完全同一性障害(BIID)を患う人は存在しています。

ただ、周りには非常に理解されにくい病気のためにジュエルさんの家族でさえも疎遠になり、社会からは「健康な体を自ら傷つけて障害者になるなんて」「障害者の気持ちを思うと侮辱行為だ」と批判を受けたと言います。

今はBIIDを世間に知ってもらうための啓蒙活動を行っている

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ジュエルさんは、自らの手で全盲になったことを今でも全く後悔していないと言います。でも、同じような悩みを抱えている人には自分がしたような思い切ったことはしないでほしいと訴えており、「いつかきっと治療の道が開ける時が来るだろうから」とBIIDを世間の人にもっと知ってもらうための啓蒙活動も行っています。

脳神経の損傷が原因ではないかと推測されているこのような自傷行為をもたらす疾患は何もBIIDだけではありません。自分の容姿をたまらなく醜く感じるといった精神疾患も存在します。

でも「見えないことに喜びを感じる」というジュエルさんの発言は、やはり目が不自由で「視力を取り戻したい!」と願う人たちからすれば、残酷極まりない一言ではないでしょうか。

全盲の人々の支援にも励むジュエルさん

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「自分は全盲で生まれてくるべきだった。」という強迫観念に取りつかれ、自らの手で排水用液体洗剤をかぶり盲目の人生を選ぶというのは尋常ではない行為です。それでも「私は狂ってはいません。BIIDという疾患なんです。」と主張するジュエルさんは、自らが全盲になったことで視覚障害を持つ人々の支援も行っています。

世の中には「~疾患」という名の病気が数多く存在します。でもBIIDは自分の命のリスクが非常に高く世間からは理解され難い疾患です。稀にBIIDは「綺麗になりたい」「細くなりたい」などと思う単なる願望と同じと考える人もいます。

願望の強迫観念が、自傷行為へと繋がり最終的には自身で障害者になったものの、特別なヘルプがいるというのではあまりにも馬鹿げた話ではないかと思ってしまう筆者ですが、社会のそんな観念を目の当たりにしてしまうと、ジュエルさんのようなBIIDに悩まされる人たちは、ますます追い詰められていくことになるのではという懸念もぬぐえません。

専門家は言います。「BIIDを患う人たちは、表現できない感覚を持っています。切断したい、失くしてしまいたいと思う気持ちは彼らの内側から来るものには違いないですが、それがサイコ的行為かというと、そうではありません。」

サイコ的な心理精神でないならばでは何なのか。やはり、精神的ダメージを受けた人たちの単なる願望になってしまうのか…。

結局のところ、本人が幸せならば問題ないではないかということになるのかも知れません。何を幸せと思うかはその人次第ですから。でもやはり障がい者本人や、周りの家族からすると、ジュエルさんの行為は見るに堪えないものに違いありません。

人をそのような強迫観念に悩ませる根本の原因が何なのか。世間ではあまりに多くの精神的疾患が存在するために、社会がBIIDという疾患を理解し解明するにはまだまだ時間がかかりそうです。でも世間にはそんな疾患もあるということを知ることから、認知度が高まり、研究が行われるという一歩が進むのではないでしょうか。

近い将来、同じ症状を持つ人が極端な手段で自分を傷つけないような方法を手に入れられることを願って止みません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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