万引きは立派な窃盗罪。どんな事情があるにしろ店内からお金を払わずに持ち出すことは犯罪とされています。店の商品を万引きして逃げていく人や、買い物に来ていた中年女性からバッグをひったくって逃げていく人など、これまで何度か万引き行為を目にしてきた筆者。

窃盗犯は慣れているのか逃げるのも早く、大柄なセキュリティの男性がノシノシと追いかけているようでは到底間に合っていません。とはいえ店内にはCCTV(監視カメラ)があるので身元が割れるのも時間の問題というケースも多い様子。

このほど、イギリスの大手チェーンスーパーであるTESCOのマレーシア支店で、31歳の男性が店内の商品約5ポンド分(約800円)を盗んだ疑いで、セキュリティスタッフに捕まえられました。

ところが、事情を聞いてスタッフ側は警察に男性を突き出すどころか仕事をオファーしたのです。実は男性が少しの食べ物を盗んだ理由は、幼い我が子に与えるため。工事現場の仕事をクビになったその男性には、意識不明で入院している妻がいたのです。

出産が予期せぬ難産で、不幸にもお腹の子供は亡くなってしまい、妻は意識不明になり入院。二人にはニ歳の子供がいるために、男性は仕事を辞めざるを得なかったと言います。そして入院中の妻を見舞う途中、子供に食べさせるためについ出来心で万引きをしてしまったと話したそう。

話を聞いた男性スタッフが他のスタッフと共に男性の親戚の家を訪れてみると、家には何もなく貧しい状態が一目でわかったそうです。気の毒に思った男性スタッフは、幼子の父親に仕事をオファー。

有難い話ではあったのですが、男性は二歳の子を含め計3人の子供の世話があるためにそれを受けることができません。そこでTESCO側は男性にいくらかの金銭を渡し男性を助けました。

「普通ならもっといろんな理由をつけたがる」

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23年間TESCOで働いてきたという男性スタッフは、子供の父親が子供に食べさせたい一心でフルーツとジュースを万引きしたことをあまりにも素直に認めたことで、警察に引き渡すことを辞めました。

「実際にひどい貧困状況にあるようだし、彼はこれまでに窃盗罪なんて犯したこともないから今回は特別に許すことにしたんだよ。それに慣れてる窃盗犯ならもっと色々言い訳するからね。」

日本でも犯罪捜査のテレビがある度、万引き犯の「言い訳いろいろ」も垣間見ることができますよね。でも、いかにもというような事情を並べ立ててもプロの警備員の目をごまかすことはできません。

今現在、男性の妻は意識を取り戻したそうですが、亡くなってしまった赤ちゃんへの悲しみに暮れていることでしょう。3人の子供の世話と回復していない妻のケアもある男性はこれからも暫くは大変だと思います。それでも、思いやり溢れるスーパーのスタッフの行為があったからこそ警察にも行かずに済んだのです。

人は誰でも絶望の底にいると「魔」がさすことが多いと言います。その「魔」はどんな人にも潜んでいるもの。つい、出来心でしてしまったことでも後々取り返しがつかないことになる可能性も大きいので、やはり今回の場合は男性の運が良かったのだと思わざるを得ません。一日も早く奥さんが元気になって、男性にも仕事が見つかるといいですね。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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