海外に住んでいると、日本のニュースが入ってきた時に客観的に見ることができます。海外で日本が絶賛されれば、筆者も一人の日本人として誇りに思います。でも否定的な話題が入ってきた時には海外から見た日本の視点と、日本人としての視点という両方から考えさせられることになります。

今回入ってきたニュースは、日本では既にネット上で批判殺到している問題なので、皆さんもご存知かと思いますが、筆者の住んでいるイギリスでは今後しばらく話題になるだろうと予測される一枚の写真についてです。

「征服」と題された写真コンテスト最優秀賞作品

出典 http://www.sankei.com

北海道オホーツク流氷科学センターが主催した写真コンテストで、海岸に打ち上げられたクジラの死骸に乗りガッツポーズをしている男性の写真が最優秀賞に選ばれたことで、「生命に対する侮辱だ」などの批判が相次いだというニュースは、イギリスでも衝撃的だったようで各メディアで広く報道されました。

動物や児童虐待に社会自体が敏感になっている昨今、そして特にクジラ問題に関しては常に世界中から敏感な目を向けられている日本で、日本人がこのような写真を撮りしかもコンテストに応募、更に審査員がこの作品を最優秀賞にしたことに驚きを隠せません。

このことでイギリスでは「この写真は、まさに日本とクジラの関係を表している」「どうして日本人はこんなにクジラが嫌いなのか」「捕鯨している日本じゃないか。今更驚きもしない」「吐き気がする」といったコメントが寄せられていて、日本人の筆者としてもこの写真を非常に情けなく感じています。

出品者は賞を辞退したとのこと。ただ、出品者だけでなくこの写真を「優秀」だと思った審査員の女性にもかなりの問題が。「クジラは生きていると思った。その上に乗って勇気があると思った。滅多に見られない成功のポーズに感動した。」と言っていることがイギリスでも大きく報道されていて、同じ日本人として恥を感じました。

生きていたなら尚更こういう虐待行為は許されるべきではないし、海外からしてみれば、捕鯨文化のある日本だからといってこのような写真を受け入れ、しかも「勇気ある」と勘違いも甚だしく称賛までする人が日本の社会にいること自体が驚きでしょう。

この写真と審査員には批判が殺到し、多くの人がこのコンテスト自体に悲しみや怒りを覚えている様子。北海道立オホーツク流氷科学センターではこの批判を受けて謝罪の言葉をホームページで発表しましたが、自然と深く関わる場所なだけになぜ事前の配慮がなかったのかが疑問です。

海外では、日本文化を愛する人が多く日本は友好的な国としても大変親しみを持たれています。ただ一つ、欧米諸国が日本に対して批判的なことが「捕鯨問題」。食料が溢れる日本で、今も尚、貴重なクジラを捕獲していることは日本人である筆者も強い反感を覚えています。

でも捕鯨というネガティブな文化以外に、日本のいいところやユニークさがこれまで海外で話題になっていただけに今回のこのクジラ虐待の写真は何とも残念で失望感をぬぐえません。そしてこの写真に「感動した」とコメントした審査員の女性にも「人」としての配慮のなさに怒りを覚えます。

世間で今何が問題となっているか、どういうことが社会問題として取り上げられているかということに常にアンテナを張り巡らせている者ならば、このような写真を審査の対象にはまずしないでしょう。そんな当たり前のことにも気付かない審査員を起用したオホーツク流氷科学センターが批判を受けるのは当然のことではないでしょうか。

日本やノルウェーでの捕鯨は実に繊細な問題として世界中で批判と注目を浴びています。大きな国際問題の一つ言っても過言ではありません。そんなクジラを対象にした虐待写真を今後二度と優秀作品に選ばないで欲しいし、そんな写真を撮影する日本人も現れてほしくはありません。

日本人として同じ日本人にこれほど怒りを覚えたことはかつてなかったのですが、海外に住んでいる日本人としてこの記事を通して筆者が伝えたいことは、今回のこの軽率な生命の冒涜行為が、どれだけ世界的に日本という国の価値を下げているかということをこの写真に関わった全ての人が気付くべきだということです。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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