2016年3月12日公開の映画【エヴェレスト 神々の山嶺 】(かみがみのいただき)は、極限の大自然に立ち向かう男達の姿を描いた骨太な映画です!世界中から映画化のオファーが浮かんでは「実現不可能」とされてきた小説の映画化で、ここまで待った甲斐があると思える素晴らしい作品に仕上がっていました。未見の方のためにネタバレをしない程度にご紹介いたします。

エヴェレスト:前人未到の領域へ挑む映画

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原作は「キマイラ」「魔獣狩り」「陰陽師」「闇狩り師」シリーズなどで絶大な人気を誇る夢枕獏。世界中で大ベストセラーとなった「神々の山嶺」の連載開始は20年前だったそうです。

今回筆者は「原作未読」の状態で映画を見てきました。ご了承ください。※(記事中の敬称略)

標高8,848M、氷点下50℃、極限の世界に挑む!
連載開始から20年以上!その間、国内外で映画化オファーが殺到しながらもスケールの­壮大さから成立に至らず、“映像化不可能な小説NO1”と言われ続けてきた夢枕獏の世­界的大ベストセラー「神々の山嶺」が遂に奇跡の映画化!

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主人公の山岳カメラマン・深町(岡田准一)は、ネパールのカトマンドゥで山岳史上最大の謎と可能性を秘めた古いカメラを発見します。そのカメラは現地の男達によって持ち去られてしまいますが、その男こそ死んだと思われていた伝説の天才クライマー・羽生(はぶ/阿部寛)だと気づきました。

深町は羽生の生存に驚きながら、当初は特ダネ目的でその孤高の背中を追い始めます。そのうちに壮絶なまでの羽生と「山」の世界観に引き込まれ、飲み込まれていき、やがてその背中を追いながら極限のエヴェレストに挑むことになります。

エヴェレスト南西壁 冬季 無酸素 単独登頂

出典映画より

実際に山を知っている方々からすると、この目標はどれだけ無茶なことなのでしょう?山の知識ゼロで映画を見ていた筆者でも、これが相当人間離れした目標であることが伝わってきました。

映画本編は重厚で、大自然のド迫力に「人間じゃかなわない」を通り越えてまさに「」を感じさせるレベルでした。実際、波のように訪れるクライマックス、このへんで終わりかなと思いきやズシンとした濃厚な展開が待ち構えていたり、中盤あたりから拳を握りしめて震えるほどにスクリーンに引き込まれていきました。

俳優陣が豪華かつベストな配役

深町誠(山岳カメラマン):岡田准一
羽生丈二(孤高のクライマー):阿部寛
岸涼子(羽生の以前の登山パートナーの妹):尾野真千子
長谷渉(羽生の以前のライバル):佐々木蔵之介
アン・ツェリン(ネパールの民族の男):テインレィ・ロンドゥップ
宮川(雑誌編集者):ピエール瀧
山中崇、甲本雅裕、風間俊介…

誰が欠けても、誰が代わりでもこの映画はなかったのではと思える配役でした。「ゴーグルにマスクでフル装備だし、スタントマンじゃ…?」という心配は無用。撮影のために体作りをした俳優陣がリアルに演じているんです!主役の男性二人はその役になりきっている厚みのある演技でしたし、女優も確かな存在感でありながら主張しすぎず、物語に溶け込んでいます。

日本映画史上初!標高5200m級での撮影

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現地(エヴェレスト)にて行われた撮影は、山岳部の協力を得て撮影班(キャスト含む)が実際に標高5200m級まで登って行われました。この撮影に備え、キャストは低酸素状態に体を慣らす訓練や登山を始めたり、ボルダリングをしたりして体作りをスタート。生半可な気持ちでは行けない現場だったのです。

世界最高峰の地ネパール・エヴェレストに実際に登り、邦画初となる標高5,200M級­での撮影に命懸けで挑んだ。「この作品のために、これまでの人生があった」キャスト自­身が語るほど、エヴェレストの神秘さに触れながらのリアルな演技は、まさに必見!

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標高8848m、氷点下50℃、最大風速50m以上。「空気の壁」ができ、酸素が極めて薄いため呼吸が困難で通常の歩行すら難しく、起きている時はもちろん眠っている時すらつらい(無意識になるため呼吸調整ができず、酸欠で頭痛を起こす)…想像を絶する現場です。

メイキング&インタビュー映像

出典 YouTube

良い意味でズッシリとしたもの感じさせてくれる映画です。これって山岳ドキュメンタリー?というくらいの「男!」「山!」「神々・大自然」を感じる映画なので、うっかりファンタジーや恋愛要素を期待して見に行かないように…。大人向けの映画です。

「山に行く男とそれを見守る女」というよくありそうな構図ですが、薄っぺらなヒューマンドラマやお約束じみた奇跡は起きません(超人じみた奇跡は起きてますが)。だからこそ面白い!何でもかんでも「明確な答え」を求めている人には「めんどくさい、よくわからない」と思えてしまうかもしれませんが、「感じること」「わからないものを受け入れること」に感覚を持っていける気がしました。

奇跡というには重い、しかし確かに奇跡だった

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映画を見終わって感動のあまり即買いしたパンフレットによると、現地へ行った撮影クルーが誰一人欠けることなく(そして重症や重病になることなく)帰国できたのは奇跡だそうです。実際にエヴェレストでは登山家だけでなく観光ツアーでさえ大勢の死者を出しており、重装備で何日間も撮影をし続けた彼らが無事に戻ったのはまさに奇跡なんですね。神に守られていたのではと感じました。

主題歌「喜びのシンフォニー」/イル・ディーヴォ

ちょっとした小ネタ(ネタバレではありません)

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最後に、知っておくと入り込み具合が変わり、見た後に知ると「えっ!もう一回見たい」と思えるちょっとした小ネタを…。

・スタントマンではなく実際に俳優が登っています。(撮影なので命綱やネットはありましたが、それはあとからCG処理したそうです)
Canonのカメラが出てくるので、カメラ好きさんはぜひチェック!
・字幕が出ないのであらかじめ知っておくとよい専門用語…「やまや=山屋」、「おにすら=鬼スラ(スラブ=一枚岩)」
・ラスト付近での阿部寛さんのあのお姿は、人形ではなくなんとご本人です!!

大自然の圧倒的な迫力、ぜひ映画館で!

日本映画史上に名を残すであろう傑作【エヴェレスト 神々の山嶺】。骨太で重厚で、それでいて力強い希望のある映画でした。酷評する人もいるようですが、ガツンと熱いなにかを真正面からぶつけられたい人、男と男の友情を超えた何かを感じたい人、チャラくなくてズシッとくるけど前向きになれる映画が見たい人、本気でスケールの大きな邦画を待っていた人、キャストのファン、山好き、カメラ好き、何となく…などなどたくさんの人にぜひ見てほしいと思います。あの迫力は、ぜひ映画館で!!

ー追記ー

他所で指摘されていた点に関するポジティブな解釈

・登場人物が少ない、省かれたエピソードがある→物語の重要人物だけをギュッと絞って、よく2時間にまとめられていると思います。

・「mont-bell」(モンベル)の服が目立ちすぎ→はるか昔は乗馬服で登ってた人もいたようですし、いいじゃないですか。可愛い登山服もあるんだなって興味を持つ人が出れば、それはそれでOKだと思います。

・CGで萎える→CGなんて気づこうとしなければ気づきません。心の目で見ましょう。

・・・・・
この記事を書いた後、原作を読みました。その上で、本当に素晴らしい映画だったと思います。2度目を見に映画館へ行きましたが、よりまっすぐに、より熱を持って、羽生の手帳の言葉が胸に響きます。ぜひ映画館へ!

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