事件詳細

2010年5月21日、マーティンさん(男性)は娘さんの21歳の誕生日を祝うために、ニュージャージー州アトランティックシティのカジノホテルの1つトランプ・タジマハールへ家族3人で訪れた。父親であるマーティンさんは、ホテルの入り口で娘さんと奥さんを降ろした後、一人で車を駐車場に停めようと向かった後、行方不明となってしまった。

遺体で発見

その後、マーティンさんが乗っていた2009年式のリンカーン車が燃やされた状態で発見され、ATMでマーティンさんの口座から$300(約3万円ちょっと)がおろされていたことが判明した。そして事件発生から10日後に、アトランティックシティのある農場付近でマーティンさんは遺体で発見された。

捜査の結果、マーティンさんが、カジノホテルの駐車場で1組の男女のカップルに銃で脅され、車ごと誘拐される現場が監視カメラに写っていた。その映像を元に容疑者のカップルが逮捕された。

逮捕されたのは、同州に住む男44歳と女24歳であった。

私もこの場所は何度か訪れているが、海沿いにカジノホテルがズラリと立ち並ぶとてもにぎやかな場所。だけど、一旦、カジノホテル通りをはずれると、当時は治安がいい街ではなかった。人通りも極端に少なくなり、その落差がとても激しい場所である。この男性が行方不明となったトランプ・タジマハール・ホテルは海沿いではなく、ちょっと奥まった場所にあった。ホテルの駐車場には、殆ど人がいない。

事件が起きたのは、週末の夜で、カジノも一番賑わう時間帯だった。そんな時間帯でも、駐車場には、本当に人はおらず、監視カメラはあっても死角は必ずあるし、駐車場は自動改札だから管理人すらいない場所。そこを犯人たちは狙ったんだろうと思われる。カジノ・ホテルに来る客はたくさんの現金を持っている確率が非常に高い。大の男でも、ひとけのない駐車場に1人で行くのはかなりの危険が伴う。 銃を突き付けられたら、何人いても同じだろうが、たぶん1人で来る客を狙っていたのではないだろうか。

もしも、マーティンさんが、家族3人でこの駐車場に行っていたとしたら、狙われてはいなかったかもしれない。特に複数の女性が一緒だと、咄嗟に悲鳴をあげられてしまうので、あえてそのようなリスクはおかさなかったのではなかろうか。

あくまでもこれは推測なのだが、マーティンさんがとても優しい父親そして夫であったことが仇となり、妻と娘のことを思い、先にホテルの入り口で2人を降ろしてしまって一人になったことでターゲットになってしまったのではないだろうか。

わずかなお金と引き換えにされた命

犯人たちは、被害者の車はすぐに燃やしてる。マーティンさんの車はリンカーンという高級車で、しかも2009年式の新車だった。カージャックでも、この事件は車が目的ではなく、 現金だけが目的だったということになる。 被害者から奪ったキャッシュカードで約$300をATMでおろしている。

当時はATMでおろせるのはたいていが$1,000までだったので、すでにカジノに向かうためマーティンさんが現金をいくらかおろしていたので、たぶんそれだけしかおろせなかったということではなかろうか。

マーティンさんは一般の生活をしていた人なので、何万ドルという現金を持っていたとは考えられないので、持っていたとしても数百ドル。ATMで現金を犯人が後でおろしたのが$300ちょっと。これらを推測すると、犯人たちはおよそ$1,000(約10万円ちょっと)を奪ったであろうと思われる。

その$1,000のために、人の命を簡単に奪ってしまうというありえない発想である。だが、これが現実だ。犯人たちはわずか10万円ちょっとのために見ず知らずの男性の命までもを一瞬で奪ってしまったのだ。

家族の大切な記念日が悪夢へと変わった

マーティンさんが行方不明になった場所が場所だけに、家族はいつまでたっても駐車場から戻ってこないマーティンさんに対して、すでにカジノで一人で遊んでいるんだろうと思ったという。

カジノは、とても広い。人も多い。その中で、人探しをするのは、極めて困難だと言える。それによって、家族のマーティンさん行方不明との通報も遅れてしまったのだ。

本当なら、娘さんの21歳の誕生日を祝う家族3人での楽しい一夜となるはずであった。それが悪夢へと変わったのである。待てど暮らせど姿を見せない夫に対して、妻と娘はどれだけ不安な時間を過ごしたことだろう。

娘さんの誕生日を祝うために訪れたカジノで、こんなことになってしまい、 被害者となったマーティンさんの無念な気持ちと、残されたご家族のことを考えて、当時のニュースを聞いて胸が締め付けられ涙が出たことを私は記憶している。当時、この行方不明事件は、アメリカで人々の関心を集め、連日報道された。そして、家族思いの優しい夫かつ父親であるマーティンさんが無事で発見されることを多くの人たちが願っていたのだが、最悪の結末となってしまった。

金のために、他人の人生を一瞬で奪う事件は後を絶たない

せめてもの救いは、犯人たちがわりと早い時期に逮捕されたことと、マーティンさんの遺体が発見されたこと。

最悪の結果にはなってしまったが、犯人も捕まらない、父親や夫が行方不明のままどこでどうしているのかもわからない、 事件なのか事故なのかすらわからないというのでは、残され家族は、いったい何が起きたのかすらわからないままで長い間苦しむことになる。

それにしても、ひどすぎる事件だった。他人の貴重な人生をわずかなお金のためだけに突然奪ってしまう事件は多発している。被害者は殺害された人だけではなく、そのことで、家族を含めた多くの人たちの人生にも影響してしまう。そういうこともわからず、何も考えることもなく、ただ、お金のために簡単に他人を殺害してしまう人たちはこの世の中にたくさん存在しているのが悲しい現実社会なのだ。

人として守るべき道を子供たちに教えることが大切

”何があっても、けっして他人を絶対に傷つけてはいけない” ”自分がされていやなことは他人にもしてはいけない”という倫理的な教育(人として守るべき道、道徳、モラル)がちゃんとされていないから、犯罪者になってしまうのではなかろうか。親があるいは大人たちが、子供たちに善悪の良し悪し、そしてお金よりも大切なものがあるということを、しっかりと教育しなきゃならない。

貧しいから犯罪を犯すのではなく、人としての倫理的な教育がちゃんとされないから犯罪を犯してしまうのだと、私は思うんだ。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
日本生まれですが、米国に30年間住んでいた米国籍のライターです。2014年に家族で日本に移住してきました。どうぞよろしくお願いします。

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