2010年、ニューヨークの東玄関口、ジョン・F・ケネディ空港に仕事で行った際に、私たち夫婦が空港近くのマクドナルドで軽食をとった時に、実際に体験したオリエンタル(東洋人)に対しての人種差別にまつわる話である。

エピソード1:アメリカ人が胸の前で両手をあわせておじぎしてきた

ちなみに夫は日本人であり、私は事情あって米国籍に変更した元日本人である。つまり私たち夫婦は、どこからどう見てもオリエンタル(東洋人)なのだ。

夫と私が注文をしようとマックのレジカウンターに並んでいた時のこと、 前にいたアフリカ系アメリカ人の若い男性が振り返って、「ハロー!」と挨拶して夫に握手を求めてきた。もちろん、その人は初対面である。夫はその握手に迷うことなく答えた。

するとその男性は、胸の前で両手をあわせておじぎしたのだ。これ、けっしてめずらしいことではない。アメリカでは、東洋人は、そういう挨拶の仕方をすると認識されているのだ。映画でも、そういうシーンがあったりする。というか、映画でそういうシーンをよく使うので、そのせいで東洋人は皆、そういう風に挨拶するのだと思われているのだろう。

けれど、実際は、そんな挨拶なんて日本人はしない。韓国人だってしないし、中国人だってしないだろう。。けれど、東洋人を殆ど知らないアメリカ人たちにとっては、”東洋人=両手を胸の前であわせて挨拶する”となるのだ。 特にめずらしいことでもなければ、今さら驚くことでもない。

店の中で一番目立つ席に座ってしまったのが運のツキ!

夫と私は朝食セットを買って、その店の出入り口付近のテーブルに座った。そのテーブルは、マックに入ってくる人々からよく見える席だったのだ。というか、このマックに入ってくる人たちと必ずといっていいくらい、 目があってしまうような、そういう席に私たち2人は何も考えずに座ってしまったのだ。

エピソード2:中国人と間違われ、”ニーハオ”と挨拶された

このマックには、アフリカ系アメリカ人の客たちしかいなかった。JFK空港の近くは、そういう町がたくさんある。そんな中で、東洋人の私たち2人はかなり浮いていたのだろう。

食事していると、アフリカ系アメリカ人の母子が入ってきた。2人は私たちと目が合うと、立ち止まり、その母親は娘(5歳くらい)に対して、「なんて挨拶するの?」と言った。

娘は、見ず知らずの私たちに対して、しかもあまり見たこともない東洋人に対して、いきなり挨拶しろといわれて、母親の後ろに隠れた。すると母親は言った。「”ニ~ハオ”と挨拶するんでしょ!」

これもめずらしいことではない。東洋人をあまり知らないアメリカ人にとっては、東洋人はみなチャイニーズ(中国人)なのだ。そんな彼らに日本人だといっても始まらない。その違いは彼らには理解できないし、彼らにとっては関係ないのだ。

かつての日本人たちも日本で外国人を見ると、”外人、外人”と言っていた。彼らの国籍などは特に興味はなかった。というより、そこまでの海外に対する知識も殆どなかった。それと同じことだ。

エピソード3:”イエローピープルがいる!”と笑われた

やがて、女子高生たち3人組がマックに入ってきた。彼女たちもアフリカ系アメリカ人であった。彼女たちは、店に入ってくる前から、かなりもり上っていた。箸がころげてもおかしい年頃である。

そんな彼女たちの一人が、チラッと私たちを見て、こっちを見向きもせずに(正確には気がつかなかったというべき)先に通り過ぎて行った2人組みに言った。「イエロー・ピープルズ(黄色い人たち)がいる!」と。。

すると、先に通り過ぎたうちの一人が、戻ってきて、さりげなく私たちの方をチラッとみると、「本当だ!」と笑いながら仲間の方へ走っていった。

まぁ、彼女たち3人とも、最初から笑い転げながら、店に入ってきたのだが、さすがに彼女たちのこの発言と行動には、かなりショックをうけた。

そして、3番目の子が、私たちの席までやってきて唐突に「BB5と関係ある?」と意味不明の質問をしてきた。「知らない!」と答えると「そう。。」と去って行った。

知らないうちに差別している

イエロー・ピープル(黄色い人)と言われて、その場では大変ショックだったけど、 考えてみれば、日本人だって彼女たちのことを「黒人」という時があるのはないだろうか? まったくそういう言葉をこれまでに使っていないかったと言えば、それは嘘であろう。

特に意味もなく、意識することもなく、悪気もなく、人間というものは、自分たちとは異なるタイプの人種をそういう表現で現してしまう。 肌の色で、ついひとまとめで呼ぶ時があるではないか?それと何も変わらないのだ。

そう思ったら、彼女たちからイエローと言われても、怒れない。確かに私たち東洋人は”黄色人種”として分類されていた。肌の色が黄色ではなくても、黄色い人種と分類されてきたのだ。

自分がその立場にならなければ、それがどういうことかを実感できないなんて、自分が恥ずかしいだけなのだ。彼女たちに悪気はけっしてなかっただろう。 日本人だって彼女たちのことを肌の色で語ったとしても、けっして悪気があってそう言ってしまうわけではないだろう。でも、そういうことなんだ。結局、言われた相手にとっては、差別された気持ちになるのだから。。今回、自分がそういう立場になって、ようやくそれがどういうことなのかが本当の意味で理解できた。

この地区では珍しかったオリエンタルに彼らは興奮しただけなのだ

最後に、この日、私たちは彼らによってけして偏見的な人種差別を受けたわけではないことを明記しておく。

東洋系移民がたくさん住んでいるニューヨークで、東洋人が殆ど住んでいない地区が実際まだ存在していたことに対して私は驚いた。

そんな地区で東洋人をめったに実際に見たことのない人たちが、単に興奮して、更に私たちに話しかけてきた人たちはそんな東洋人に会えてとても嬉しかったのだ。

世界一、人種のるつぼであるニューヨークで、こういう体験はめったに味わえないと思う。それによって、人種差別について改めて考えさせられたのは事実であった。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
日本生まれですが、米国に30年間住んでいた米国籍のライターです。2014年に家族で日本に移住してきました。どうぞよろしくお願いします。

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