みなさんは認知症にはどういう症状があるかご存知でしょうか?

認知症の方に必ず現れる、物忘れなどの記憶障害、判断力の低下や時間・場所がわからなく見当識障害などの中核症状があげられます。人によっては暴力、幻覚、妄想、帰宅願望、徘徊などの周辺症状が現れる事があります。

今回ご紹介するのは帰宅願望が出る方に対してドイツの介護施設が行った「ある対応」をご紹介したいと思います。

認知症の方の帰宅願望や徘徊行動

在宅で認知症のご家族を介護する方は、身体介護、精神的ケアでご苦労なさってる方も多いと思います。

冒頭でも申し上げましたが、認知症の方は様々な症状が出現します。精神的に不安定でも体はまだ元気な方は暴力的な行動や徘徊行動などが現れる事もあります。認証患者の徘徊によって起きた列車の人身事故の賠償責任のニュースは記憶に新しい所でしょう。

徘徊の原因の一つとして帰宅願望があげられます。施設で暮らす方はもちろん、見当識障害によって、家にいながら帰宅願望が現れる方もいらっしゃいます。

特に施設で暮らす方々は、慣れない集団生活や、見慣れない職員が関わる事によって帰宅願望は大きくなり、職員さんは対応に頭を悩ませる事が多いのです。

そんな帰宅願望を解消する為にドイツの介護施設ではある対応をとっているそうです。

帰宅願望を解消する為の「嘘」

基本的に施設で暮らす認知症患者の方の帰宅願望を解消するには、そこでの生活や環境に慣れてしまう事や、ご家族の面会、気分転換、そして職員による声掛けによる対応しかありません。

実際に一度帰って頂く、なんて事は外出・外泊が出来る方を除いては殆ど稀だと思います。

職員の声掛けによる対応は事実を受け止められる方に対しては、ここで暮らしているという真実を伝える事もありますが、現状を認識されていない方や、否定する事によって不安定になる方には「今日は天気が悪いので...」「明日帰れます」「この後ご家族が迎えに来ます」など、ケースによっては方便...つまり嘘を付く事で利用者さんが納得される事もあります。

それでも帰宅願望が強い方は納得されません。

その強い思いが、徘徊やストレスによる暴力や暴言などの精神的不安定な状態や、食欲低下や不眠による昼夜逆転などの身体能力の低下に繋がったりする事もあります。

それはそうです、自分の家じゃないんですし、ましてや顔みしりだとしても赤の他人にそんな事言われる筋合いはないのですから。

しかしドイツのある介護施設ではある物を設置する事でそれが帰宅願望の解消に繋がっているそうです。

帰宅願望を解消する為に設置された「偽のバス停」

「帰宅願望」は日本のみならず、世界共通でケアの現場で頭を悩ませる問題となっています。そこでドイツのデュッセルドルフにある介護施設ではその問題を解決する為に「あるもの」を設置しました。

それは「バス停」です。

なぜバス停なのかそれには大きな理由があるようです。

バスが来ない、見慣れたバス停

なぜバス停が設置されたのか?

それは帰宅願望を口にする多くの利用者がバスに乗って帰る事を口にしたからです。

日本も同様ですが、お若い時に車を用いて移動手段にしていた人は少なく「バスに乗って帰る」「バスの時間だ」などのように公共の移動手段で帰ろうとする方が多かったようで、それに着目した施設は施設の中、もしくは施設の前にバス停を設置したのです。

バスの停留所にある看板は昔から変わらぬ、昔から地元で生活する方にとっては緑と黄色看板は馴染み深いもの。

しかしそこに時刻表通りのバスはやってきません。ではなぜ帰宅願望がある方が、バスの来ないこのバス停で帰宅願望が解消されるのでしょうか?

行動する事に意味がある

実際に施設の前、もしくは施設内に設置されたバス停に帰宅願望が強い方がバスを待つ事によって施設では問題行動とされる、徘徊行動や帰宅願望が減ったようです。

それはなぜなのか?

なぜなら帰れると思いバスを待っている間に認知症状によって、なぜ自分がここにいるのか、何を待っているかわからなくなってしまい、来ないバスを待っている間に職員から「遅れているので中で待ちませんか?」「待っている間、中でお茶でも飲みませんか?」「バスが運休になったので明日のバスにしませんか?」と言うように、施設内に戻って頂くよう誘導しやすくなったからです。

実際に帰るまでの一過程をした事で利用者は納得したのかもしれません。

これからの現実

このドイツの介護施設の「嘘のバス停」は他の施設でも実践され成功例を収めている事が多いそうです。

でも世間では、このような対応には「非道だ」「残酷だ」などの声も上がっているそうです。

しかしこのような嘘を付く事で気持ちを落ち着かせる事が出来るのなら納得できる結果だと思います。(準備やバス停までを歩く事が身心の状態の向上にもつながります。もちろん「バスが来るまで待つ」「来ないなら別の手段で帰る」のようなケースも出てきそうですが)

近年、介護職員による虐待がクローズアップされがちですが、このような帰宅願望や徘徊への対応のみならず、利用者の認知症状による暴言や暴力などの問題行動に介護職員が耐え忍んでいる事は大々的には表面化されないが、どの施設でも起こっている事実です。

今回紹介したような事で問題行動が解消される事は双方にとってメリットが大きいと思います。

しかし時代は流れています。

一人一台が当たり前になった車社会や、誰もが持つ携帯やスマホ・PCによる通信手段を用いた帰宅願望による対応は在宅で介護するご家族や、介護職員には新たな問題としてのしかかっていく事でしょう。

この記事を書いたユーザー

ハイエナさん このユーザーの他の記事を見る

動物、自然、三面記事。世界のあっと驚く事や感動的な事などをテーマに取り上げてます。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス