記事提供:東京都議会議員 おときた駿 公式サイト

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

本日は以前にバリアフリー探検隊に参加させていただいたミライロさんの紹介で、数々の社会事業を手掛ける日本財団の皆さまと、斉藤区議とともに会食をさせていただきました。

会合の目的は、日本財団さまが運営する聴覚障害者向けの「電話リレーサービス」についての意見交換です。

日本財団 電話リレーサービス

「耳が聴こえない人が、電話を使う」

ということは、ほとんどの人が想像できないと思います。仮に声を出すことが可能で意思を伝えることができる方であっても、音声だけの回答を理解することはできませんから、電話を使うことはできません。

このため聴覚障害者の多くは電話を利用することを諦め、代理の方に頼むか、メールやFAXなどの代替手段を利用してきました。

しかしこれでは、緊急時の連絡手段としては心もとない限りです。メールやFAXでは即座にレスポンスできるとは限りませんし、消防や救急が必要な緊急時に周りに人がいない可能性もあります。

確かに電話回線が細く、「テレビ電話」が非常に高価だった時代であれば、この問題解決は困難を極めたかもしれません。ですがこの点は、現代のIT技術があればほとんど解決可能です。

スカイプなどを利用して画面を映し出すことはほとんど無料でできますし、各種SNSなどのチャットを利用することも容易です。聴覚障害者と仲介者を画面やチャットでつなぎ、手話や文字情報を先方に対して伝えることができます。

この仕組をスマホアプリを通じて提供しているのが、まさにこの「日本財団電話リレーサービス」なのです。

ところがシステム的にはほぼクリアされているものの、我が国では最大の課題が残っています。そう、こちらのリレーサービスに対して公的な支援が一切ないという点です。

このリレーサービスは現在、日本財団が独自に自己負担で展開しているサービスで、聴覚障害者は無料で利用することができますが、コスト面からその利用者には限りがあります。(今年度の利用者募集は、残念ながらすでに停止)

海外に目を向けてみればアメリカやカナダ、ドイツや北欧三国などはもちろんのこと、アジアでもタイや韓国ですでに、政府や電話会社負担によって聴覚障害者対応の電話リレーサービスが社会インフラとして定着しています。

出典 http://trs-nippon.jp

(日本財団 提言資料より抜粋)

この分野において日本は、大きく立ち遅れていると言えるでしょう。

ここに応用できそうな制度として我が国の電気通信政策の中では、「ユニバーサルサービス制度」というものが存在します。

これは過疎地や僻地などにも電話サービスを行き渡らせるため、電話事業者たちが一定の金額を負担してNTT東・西日本に交付金を拠出し、NTT東・西日本が責任をもってすべてのエリアに電話通信網を届かせる制度です。

なお電話事業者たちはこの負担額を利用者に転嫁し、1電話あたり2円の金額を徴収しているそうです。

この制度を応用して、電話利用者たちがもう1円ずつでも負担を増やし、電話リレーサービスの運用に充てることができれば、すべての聴覚障害者たちが健常者と同じように電話を利用することができます。まさにユニバーサル・デザイン!

…ところがこの制度を所管する総務省は、「ユニバーサルサービス制度はあくまで、地域間の問題解決のための制度」として、これを障害者政策に応用することに極めて消極的なのが現状です。

4月からは障害者差別解消法も施行され、行政機関には障害者に対する「合理的配慮」が罰則付きで徹底されます。

いち民間事業団である日本財団がすべての負担を負っているこのサービスは、本来は社会インフラとして政府や通信業者が提供するべき類のものです。

採算が取れなくともすべての地域に電話サービスが行き渡っているように、聴覚障害者に対しても電話サービスの門戸を開放しなければなりません。

そのための技術的な問題は、すでにクリアされています。

こうした電話リレーサービス普及の気運が高まらないのは、聴覚障害当事者の中にも

「電話なんて、使えなくて当然。仕方ない」

という考えをお持ちの方が多いことも一つの理由のようです。それでも一度でもサービスを利用された方は、その重要性に気づかれる場合も多いとのこと。

政治行政・利用当事者双方に働きかけ、電話リレーサービスの重要性を認知していただく必要があります。

当事者の斉藤りえ区議とともに、私も微力ながら力を尽くす次第です。

長時間に渡りお話いただいた大野理事を始めとする日本財団の皆さま、そして今日の場をアレンジしてくださった垣内社長たちミライロの皆さま、本当にありがとうございました!

それでは、また明日。

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