みなさんは、イギリスのシーサイドというとどんな街を頭に浮かべますか?日本人に人気のイギリスのシーサイドといえばやっぱりブライトンではないでしょうか。ロンドンから電車で約30分という便利な距離にあるブライトンは、アーティストの街としても知られ短い夏のシーズンには各地から観光客が訪れます。

筆者が住むヨークシャー州ではシーサイドというとこちらもアートな町のウィットビーが人気。ブライトンよりもほんの少し小さな町ですが、可愛いシーサイドタウンとして知られています。

イギリスでは、昔からシーサイドといえばアーティストが好む場所として有名です。そして短い夏にはイギリス市民はこぞって各地のシーサイドへと出かけます。ほとんどがぺブル(小石)ビーチでゴツゴツしていて、サラサラのサンド(砂)ビーチは少ないイギリスですが、イギリス人にとって短い夏を満喫するのにビーチの質は全く関係ありません。

そして、観光客で賑わうビーチサイドタウンの住民にとってもホリデーシーズンは、稼ぎ時となるのです。

ところが、観光客ゼロのシーサイドタウンがあった

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イギリスで最も貧困で退廃的な町といえば、一昔前は、ブラックプールでした。ブラックプールもビーチサイドシティですがなんともいえない荒れた雰囲気でイメージは悪くなるばかり。ビーチに行きたいと思ってもブラックプールを選ぶ人はそうそういないといった状況です。

ところが、ここ5年ほどの間にブラックプールを抜いて悲しくもワースト1のビーチサイドタウンになってしまったのがジェイウィックです。ジェイウィックは、エセックス州にある人口約4,600人ほどの小さな町。ここが今、自治体の手が回らずに退廃化してしまっているのです。

ビーチはあるけれど…荒んだ雰囲気

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観光客がゼロというだけあって、世間がオンシーズンでも活気は全くありません。住民だけのシーサイドタウン、ジェイウィックでは古い家屋がそのまま残っていたり、次々とショップなどが閉店しているために今では荒んだ寂しい雰囲気を漂わせています。

海辺のゲームセンターも人気がなく…

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明るさというのが全くなくなってしまったこの町。今は失業者も多く貧困家庭で溢れているそう。ドラッグをする住民も多く、子供が安心して外で遊べないような治安になっているので一部の住民からは懸念する声も。

「昔はジャム工場でジャム作りが盛んだったんだよ。」

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ずっとこの町に暮らす男性は言います。「ジャム工場があった時は、窓からマーマレードとかのジャムの香りが入って来てね、いい町だったんだよ。」その頃の良き思い出がずっとこの男性の心には残っているのでしょう。

「一度引っ越したけどね、また戻ってきたよ。ここが好きだから。」退職者でもあるこの男性は今後もずっとこの町で住んでいくと語りました。

自治体がケアするべきでは?

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「イギリスで一番貧困な町」というレッテルを貼られて「不愉快」という住民も。この町で根付き、子育てをしてきたある女性は言います。「貧乏な町って言われてるけど、コミュニティはいいと思う。親切だしお互いヘルプし合ってるわ。」

ところが、肝心の自治体がこの町をケアしていないのが問題のよう。建っている家と同じく道路もボロボロ。雨が降れば水たまりもできて、パイプからは電気線が見えています。感電する可能性があるので非常に危ないにも関わらず、工事をするでもなく放ったらかし状態。

ビーチサイドとは思えない人通りの少なさ

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悲しいですが「廃れた」という言葉がまさにぴったりなジェイウィック。人通りの少ない町には、あちこちにゴミが散らばりビーチサイドタウンの象徴ともいえる「シーフードショップ」も、もう何年も閉まったまま。撤去されずに禿げかけた看板がいつまでも虚しく残っているだけ。

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このカフェが賑わっていたのはいつのことなのでしょうか…。

住んでいるのかいないのかわからないような家も…

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舗装されていない道路、廃屋のような家、使われなくなったショップなどの建物…なんだかこの町だけ時代に取り残された雰囲気です。ロンドンから割と近くのシーサイドタウンであるにも関わらず、賑やかなブライトンとこんなにも違うというのは衝撃的です。

真面目に細々と暮らす住民がいる一方で…

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貧困の町というのは、常に少なからずドラッグやアルコール依存の問題を抱えた人が多く、ジェイウィックにもドラッグ常習者が多いと聞きます。ある女性は、妊娠しているにも関わらず15年間続けて来たヘロインを止めることができず、大きなお腹でヘロインを吸い続けています。

子供は欲しいからなるべくクリーンな状態をキープしているという女性ですが、お腹の胎児がどうにも心配です。パートナーはアルコール依存症だとか。生まれてくる赤ちゃんにただただ、幸せになって欲しいと願わずにはいられません。

また、「お金があればタバコとタトゥーに使っちゃうわ。食べ物なんて二の次よ。」という女性も。何が幸せかは、人によってそれぞれ違うもの。でも退廃的な町で生きている住民はその煽りを受けて荒んだ生活をしている人が多いようです。

しかし、1人の少年はまだ希望を捨ててはいないかった

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年の離れた兄が失業中というシングルマザーの家庭で育った13歳の少年は、リポーターに将来は警察官になりたいと語りました。「子供が安心して外でも遊べるような町にしたいんです。」早く成長してこの町を出ていくことを考えるよりも、この町をなんとかして賑やかな町にしたい、という思いがあるのでしょう。

この町を守っていける人になりたいと話す少年の横顔からは、イギリス一貧しい町と言われながらもそこに暮らす人たちのように、まだ希望を捨てずに頑張ってここで生活したいという意欲や熱意が感じられました。

一つの町を立て直すことは決して容易ではありません。政府や自治体の協力があってこそ、コミュニティも力を合わせてできる町おこしなのです。今の段階ではこのジェイウィックがどうなっていくのかはわかりませんが、少なくともこの13歳の少年の夢が叶うことを願う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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