あなたがZARDと出逢ったのはいつですかーー

音楽番組を観ていて。ラジオから流れてきて。CDショップで聴いて。友だちに勧められて。雑誌を読んでいて。お母さんが聴いていて。大好きなアニメの放送で。音楽の授業で歌って。

その出逢い方は様々。

出逢ってから毎日のように聴いている人。時々聴きたくなるんだ、という人。曲を耳にするとつい口ずさんじゃうんだよね、という人。「負けないで」は歌えるよ、という人。

その関わり方も様々です。

けれど、間違いなくZARDの楽曲と出逢い、好きでいてくれるあなたへ。

ZARDのデビュー25周年となる2016年、改めてZARD/坂井泉水が遺した作品に触れてみてください。

ZARDと、もう一度出逢う…初めてZARDと出逢ったあの時を思い出しながら。

出典 http://www.wezard.net

ZARDーー

その響きだけで誰もに安らぎと、小さな切なさをもたらす『ZARD』。ユニットの中心となる存在・坂井泉水さんは、6歳からピアノを始め、大学卒業後モデルエージェンシーに所属し活動を開始。その後、音楽プロデューサーと出会い、“アーティスト・坂井泉水”としての才能を見出されZARDの結成に至ります。

1991年2月10日、シングル「Good-bye My Loneliness」でデビューしたZARD。9作連続アルバムミリオン獲得(歴代1位)、アルバム1位獲得作品数11作(女性ボーカルグループ歴代2位)などの記録を保持し、現在までに45枚のシングルと20枚のアルバムを発表しています。ご自身の作詞活動以外にも、他アーティストへのミリオンセラーへと導いた作詞提供を行うことも。圧倒的な記録を誇るも、リスナーにとってはそれとは別次元の、ただ純粋に“心で生き続ける”楽曲として親しまれているのかもしれません。

“永遠のスタンダード・ナンバー”と、もう一度出逢う

2007年5月27日。坂井泉水さんが逝去されたこの日から約9年を越えてもなお、世代を問わず幅広いリスナーから、作品に励まされたとの感謝、詞・歌声・言葉に対する惜しみない賞讃が寄せられ、ZARDの楽曲は現代に確かに息づいています。

そして、デビュー日から丸25周年となる、2016年2月10日。このアニバーサリー・イヤーに“ずっと傍において、聴き、歌い継いで欲しい”という想いを込めたオールタイムベスト『ZARD Forever Best ~25th Anniversary~』がリリースとなりました。

今作は、坂井泉水最後のレコーディング曲「グロリアス マインド」、未発表であった「翼を広げて」等、坂井泉水逝去後に発表された楽曲も含め、ZARD全楽曲から選曲。

最新のデジタルリマスタリング、そして高品質Blu-spec CD2™によってさらに魅力的なサウンドになり輝きを増したZARDサウンド52曲を収めた、究極のオールタイムベストアルバムです。

出典 http://www.wezard.net

発売2週間を経ても、オリコンチャート1位を獲得。現在ロングセールスへ

CDという形で購入するだけが、音源を所持する術でなくなった現代。さらに本作は“究極のオールタイムベスト”であるがゆえ、CDセールス数は必ずしも世間からZARDへの関心の指標ではなかったはず。ですが、リリースから2週間が経っても、オリコンデイリーアルバムチャート1位(2/28付け)を獲得し、現在4週連続オリコン週間チャートTOP10入りを果たすなど、ロングセールスを更新し続ける事態に

この事実は私たちに、ZARDの色褪せるどころか輝きを増す存在感を再認識させてくれるとともに、25周年の今、改めてその魅力のわけを問いたい想いに駆らせてくれるのではないでしょうか。

さまざまなコンポーザーとアレンジャーによる、多彩なメロディとサウンド。大胆な冒険はないけれど、ポップでキャッチーな音世界によく耳をすませてみれば緻密で実験的な音作りがなされていることにも、改めて気づかされる。

人懐っこさと気品が共存し、その向こう側からは風格がそこはかとなく漂ってくる。決してマニアックにはなり過ぎない、絶妙なバランスで音を紡いでいる匠の技の数々。とりわけ幾つかの楽曲に織り込まれているバロックのエッセンスなどには、ハッとさせられるものがある。

出典 http://entertainmentstation.jp

そしてZARDといえばもちろん、坂井泉水が綴る詞の世界。難解な言葉やアブストラクトな表現を使わず、あえて日常の会話に溢れているようなシンプルで明瞭な言葉と表現で時に手紙のように、時に日記のように思いを綴り風景を描いている

伝える相手は、“君”もしくは“あなた”。常にたったひとりの誰かに向けて、歌っている。第三者的視点で遠くの光景をスケッチするのではなく、親しみやすい語りかけで聴き手との距離を作らない、いうならば、“対話型”のスタイル。

出典 http://entertainmentstation.jp

25周年・記念ベストアルバムが、現代を生きる人々にとって拠り所となり、ZARD、そして坂井泉水さんに想いを馳せずにはいられない…。日常にそっと溶け込むことを象徴するように、『東京カレンダー』のwebサイトでは、ZARDの楽曲を“何気ない人生の瞬間”に織り交ぜた特別小説が発表されたばかり。

収録された52曲もの楽曲がこれほどまでに愛されるのには、ZARDが元来秘めるこれらの魅力のほかにも、確固たる証が存在していました。

「流行り言葉」に逃げなかったからこそ、時を経ても“空白”なき楽曲へ

作詞家・坂井泉水の特色として、流行の言葉や外国語に逃げなかったことが挙げられる。もちろん時には英語のフレ-ズを使ったが、しかしそのことでワン・クッションを得て、さらに真意を伝わりやすくするための工夫でもあった。

出典 http://entertainmentstation.jp

彼女は粘って粘って、推敲しつつコトバを見つけていったと聞くが、それはつまり表現の普遍を見つける旅だったのだろう。残念ながら、実際にインタビュ-して作業の詳細を訊ねる機会には恵まれなかったが、「伝える」ことを第一義に考えていたことが、残された歌詞からビシビシと伝わる。

おそらく拘っていたのは、誰の心にも覚えがあり、しかし未だコトバに切り取られてない感情の可視(歌詞)化だったのではなかろうか。

出典 http://entertainmentstation.jp

新作はオールタイムベストと称されるほど、“永遠のスタンダード”として親しまれているナンバー。発表からたとえ四半世紀が経過していようとも、いわゆる“懐メロ”ではなく今触れたい楽曲として愛されているのは、どの時代でも通ずる“普遍的”な歌詞がメロディーに乗せられていたからでした。

流行りの言葉や今、キャッチーな外国語を用いているのではなく、どんな時代背景であれ変わることのない感情を言語化していた坂井泉水さん。誰の心にも覚えがある普遍的な感情であれど、未だに言葉として表現されていないもどかしい想いを紡いでこられていました。今回、ZARDを代表する楽曲の中から、ほんの一部をご紹介します。

ーー「マイ フレンド」

いつも輝いていたね 少年のまま 瞳はMy Friend
あなたがそばにいると 何故か素直になれた
この距離通り抜ける 風になりたい

出典「マイ フレンド」

ーー「揺れる想い」

揺れる想い体じゅう感じて
このままずっとそばにいたい
青く澄んだあの空のような
君と歩き続けたい in your dream

出典「揺れる想い」

ーー「負けないで」

負けないで もう少し
最後まで 走り抜けて
どんなに 離れてても
心は そばにいるわ
追いかけて 遥かな夢を

出典「負けないで」

こうして坂井泉水さんは「難しい言葉ではなく、親しみやすい言葉で心の機微を、印象的な風景を現しリスナーと共有する表現者」として刻まれていくことになります。普遍的でいつの時代も共感される人間の想い…。だからこそ、言葉という形で生み出し歌詞化することはどれほどひたむきな作業だったか、計り知ることができません。

現在、ある音楽プロデューサーが「負けないで」を例に挙げ、坂井泉水さんの歌詞が普遍的に愛されている理由を分析されています。この考察が掲載された記事は、つい先日、Yahoo!ニュースでトップ掲載されるまでに。

「歌詞のフレーズ一つひとつは親しみやすい単純な言葉に思えるかもしれませんが、その実、安易に格好をつけて英語のワードを加えたり、キャッチーな流行語を取り入れたりせずに、あくまで普遍的な表現やセンテンスで勝負しています。それでいて理屈っぽくならず、曲を聴く世代を超えた人たちの脳裏に自然な心象風景を浮かばせるのはなかなか難しい。

それに、言葉の配置や選び方も絶妙です。一例を挙げると、『負けないで もう少し 最後まで 走り抜けて♪』の部分については、『負けないで 最後まで 走り抜けて♪』でも意味は通用すると思いますが、そこに“もう少し”という1フレーズが加わることによって、応援する側のただがむしゃらにエールを送るだけではない、情緒的な部分が見事に引き出されている。それでいて短い1フレーズに集約することで、くどさを感じさせません。

出典 http://thepage.jp

合わせて、坂井泉水さんの、制作に対する真摯さを象徴するエピソードが存在していました。ZARDデビュー当初から制作に携わってこられたレコーディング・ディレクターの寺尾広氏。そして、坂井泉水さんのボーカル・レコーディングやマスタリング、ミックスなどZARDのスタジオ・ワークを長年に渡り担当されていた島田勝弘氏。25周年を迎えた今、お二人は、坂井泉水さんのひたむきな姿勢をこう振り返られています。

寺尾「歌詞にはいちばん拘っていまして。言いたいことがたくさんある人なんですよ。事実上最後のオリジナル・アルバムとなってしまったんですけれど、『君とのDistance』の制作のときに“歌詞を長戸プロデューサーと直接やりとりして詰めましょう”と彼女に伝えたら“わかりました”と大阪のスタジオまでひとりで来たんです。

そのときにキャリーバッグをふたつ持ってきたので、“あれ? 今回は撮影ないですから衣裳いらないですよね”って言ったら、“寺尾さんが歌詞を全部詰めるって言ってたので、ちょっと一部持ってきたんです”ってキャリーバッグ開けたら、これぐらい(指で5センチくらいの厚さを示す)のノートやレポート用紙が入ってました

で、いろいろ書いてあったんですけれど、歌詞の形になっているものは少なかったですね。1行ずつの言葉だったり2~3行のもの、3~4ページに渡って思いをただ綴っているだけのエッセイとか。でもそこにシャレた言葉がいっぱいあったりするんですよ」

出典 http://entertainmentstation.jp

“日本語をメロディに当てはめる天才”

寺尾「これは長戸プロデューサーがよく言ってたんですけれど、日本語をメロディに当てはめる天才じゃないかって。

作家のデモを聴いたときに“そのメロディがこういうふうに言ってる”とか言うこともありましたし、普段からメロディに対してこの言葉を乗せるといちばん説得力があるとかいうことをよく考えていました。特にサビの頭は。

『きっと忘れない』の“きいっと忘れない♪”の小さい“つ”で上に上がるのって歌いづらいと思うんですよ。でもそういうのが結果として非常に良かった。で、この『きっと忘れない』っていうのは不安定な要素を含んでいて。“きっと忘れない”という言葉は、主人公は“あなたという人とは別れてしまっても忘れない。でももしもっといい人が現れたら忘れたいな”っていう……

そういう女性の心、真実が書いてあるので女性の共感を得た。そして男性からすると“いやいや、俺は忘れはさせないよ”と思うような疑似恋愛ができるので、ZARDは人気があったんじゃないか

出典 http://entertainmentstation.jp

日常の会話に溢れている言葉と表現を綴った歌詞は、「時に手紙のようだった」とも語り継がれています。常にたったひとりの誰かに向けて歌う、“対話型”の届けかたは、男女問わず、疑似恋愛を想わせる言葉へと変貌していったのかもしれません。

時に手紙のように、たったひとりの誰かと心を通わせるイメージで言葉を紡いでいた坂井泉水さん。実際に、当時からファンの方ひとりひとりを大切に、心を寄せていたことが明かされています。

寺尾「(ファンの方に対して)それは強烈に、真撃に向かってましたね。すごく思いを大事にする人でした

島田「ファンレターもよく読んでいましたね

出典 http://entertainmentstation.jp

昨年12月31日に開催された、フィルムコンサート&ギャラリーイベント『ZARD 25th Anniversary Eve 〜Screen Harmony & Gallery〜』。そこでファンの皆さんから、まるで手紙のようなメッセージが寄せられていたことからも、坂井泉水さんがひとりひとりと対話をするように歌を届けられていたことが伺えてきました。

時には“対話”ではなく、社会に問うことも

寺尾「95年3月にリリースされた『forever you』に収録されている『I’m in love』では“環境破壊よ あなた自身の“って歌っているんですけれど、そのときの世の中の問題点を歌っている曲が実はいくつかあるんです。で、この曲はアフガニスタンなど各地の紛争の状況をテレビで観たことがきっかけで書かれたものでした。その後、彼女がFIELD OF VIEWに提供した『君がいたから』は、阪神淡路大震災やオウム真理教の事件の直後に書いた歌詞だったんです。

だから世の中に対する思いがちょっと詞に見え隠れしているんじゃないかな、ってすごく思いましたし、社会的な意識も高かったと思います」

出典 http://entertainmentstation.jp

普遍的で、“永遠のスタンダード”な楽曲を生み出す傍ら、社会問題や時勢に対して問いかけられることもあったといいます。「芯が強く、健気。それでいて純粋に物事を考える」と語り継がれる坂井泉水さんは、これらの想いを全面的に表現するのではなく、さりげなく歌に乗せるスタイルを守られていました。だからこそ、“主張”ではなく“メッセージ”として届けることを可能にしたのかもしれません。

厳冬の頃に、いつかのあの夏に想いを馳せる

ZARDの楽曲から、輝かしい響きが失われない理由をご紹介してきました。そしてもうひとつ、オールタイムベスト『ZARD Forever Best ~25th Anniversary~』には、隠された特別な佇まいが存在していたことを織り交ぜずにはいられません。

“永遠のスタンダード・ナンバー”が52曲収められているこの作品集、何より素晴らしい試みなのは、“早春”“初夏”“盛夏”“秋冬”という括りで4枚のCDにまとめられている点。

オールタイム・ベスト盤の場合、歳月が積み重ねてきたものが重視されるため時系列を軸にした流れで構成されることが多いのだけれど、こうして季節をひとつの大きなテーマとして打ち出したことで楽曲の背景もより明確に浮かび上がってくるし、前後の楽曲との相乗効果でまた新たな物語も生まれるし、その季節ごとの風、空気、温度、色彩、空の表情などをゆっくりじっくり体感できる

出典 http://entertainmentstation.jp

僅かに移りゆく季節にありながら、どの楽曲にも“自分”を投影できる。今回収録された52曲は、オールタイムかつオールシーズンを彩る、“永遠のスタンダード・ナンバー”として愛されていくのだと感じられます。

そして、ZARDデビューから25周年を記念した今、究極のナンバーに生で触れ合えることが発表になりました。

ファンと触れ合える機会が皆無だからこそ、“1枚のCD”が特別な存在だった

5月21日(土)に、大阪・オリックス劇場、5月26日(木)27日(金)は、東京・TOKYO DOME CITY HALLにて、ZARD25周年記念ライブ『What a beautiful memory ~25th Anniversary~』が決定。坂井泉水さんの歌声と生バンドでの演奏がシンクロするライブが、5年ぶりに開催されることとなります。

いつまでたっても、ライブの告知情報になかなか現実味が帯びてこないところはご愛嬌、といったところでしょうか。当時のZARDといえば、ライブ活動をほぼ行わないミステリアス・アーティスト。「ZARDは実在するのか」といった都市伝説もあったほどで、生身の坂井泉水さんに触れられる機会はファンにとって皆無に等しいことでした。

だからこそ、この度の新作アルバムがロングセールスとなっているように、いつの時代もZARDにとって“CD音源”というのは特別な存在なのかもしれません。1枚のCDに込められた詞・歌声・言葉…。楽曲を通して私たちは「今」のZARDに、そして坂井泉水さんの想いと心を寄せ合うことができていたのだと痛感させられます。

デビューから25年の時を経てーー

今、改めて、坂井泉水さんが「負けないで」ではなく「負けないで “もう少し”」と言葉を紡いだように、ZARDの楽曲はどんな瞬間でもただ静かに背中を押し、側に寄り添い続けてくれる存在だったのだと気付かされます。

色褪せない懐かしソングではなく、今、この瞬間こそ、隣にいてほしい詞・歌声・言葉が乗せられた楽曲が、坂井泉水さんを代表するZARDでした。

“永遠のスタンダード”であり、これからのオールタイム・オールシーズンをともに生きていきたいと切望させてくれるZARDという存在。25周年の今、もう一度出逢った楽曲たちは、心の拠り所として、私たちにそっとエールを届け、小さな切なさをもたらし続けてくれるのかもしれませんね。

参照:エンタメステーション

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