先天性・後天性を問わずなんらかの障害を持っている方が、どんなことで悩んでいるのか、困っているのかについては、当事者でなければ分からないことも多いです。

しかし、そういった障害をポジティブに捉え、活躍の場を広げている男性がいました。

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彼は、沼田尚志さん。大手通信関連企業で働いています。小学校2年生から野球を始め、将来はプロ野球の選手を目指していた少年の身に異変が起きたのは、中学校3年生の冬のことでした。

中学3年の冬、野球の練習中に原因不明の脳卒中を患い、僕は突然倒れました。

脳を血栓が埋め尽くし、一命こそ取り留めたものの、その日から意識がない日々を過ごしました。意識が戻った後も首から下は思うように動かず、運動機能や思考力も著しく低下していました。

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倒れてから約3年もの間、意識がない状態だったというのですから、いかに病状が深刻だったかが想像できます…。

懸命なリハビリの結果、左半身は回復してきたものの前と同じようには動けず、野球はおろか日常生活すらもままならない状態だったため、沼田さんは死にたいと思いながら毎日を過ごしていたそうです。

幸い自ら死を選択することはありませんでしたが、沼田さんは将来に不安を感じていました。

将来への不安が高校進学のきっかけに…

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倒れてから約3年…沼田さんは自身が障害を持っていること、高校に通っていない状況から将来に対して漠然とした不安を抱くようになったのです。意識が戻った当時は18歳、周囲の同級生は高校3年生ですから、焦りや不安の気持ちを抱くことは無理もありません…。

「これではいけない」と沼田さんは、通信制の高校へ進学することにしました。しかし、体育の時間では全ての動作が思うようにできず、毎回精神的に辛い思いをしていたそうです。

当時沼田さんは、周囲ともコミュニケーションを取らずに学校生活を送っていたため、ある日見かねた担任の先生が声をかけてきました。

何を言われたのかというと…

「あきらめたほうがいいよ」

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「沼田くんはもっとあきらめたほうがいいよ」という言葉をもらったんです。

聞いた時は耳を疑いました。本当にひどいことを言う人だと思いました。体育の授業や運動会の準備で僕が苦しんでることを知っている筈なのに、なぜそんなことを言うんだろうと。

でも話をよく聞くと、とても深い意味がありました。

「今、あきらめるという言葉は、物事を断念するというニュアンスで使われることが非常に多いよね。でも昔は違ったんだ。昔は物事を明るみにして、出来る事と出来ない事を瞬時に判断するという意味で使われていた。漢字にすると”明らめる”だ。もちろん僕が沼田君に言っているのは昔の”あきらめる”だよ」と。

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出来ることと出来ないことを精査した上で、「自分が出来ることだけに注力すれば良い」と先生は伝えたかったのです。

この先生の言葉は沼田さんにとって大きな救いになったようで、以後悩むことは少なくなったとも仰っています。

さて、「自分のフィールドの中で得意分野を伸ばす」という方向性にシフトチェンジした沼田さんですが、社会人になると自身の障害を“活用”した経験を次のように紹介していました。

「武器にしてしまおうと思いました」

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沼田さんは入社当時、営業に配属されました。車椅子に乗っているわけではありませんが、右半身が動かないため足を引きずることや、右手が動かないことで障害に気付かれていたそうです。

お客様から遠慮がちに「どうしたの?」って聞かれるわけです。僕はそれを聞いて「チャンスがきた!」って思うんですよね。障害の話をすると、みんな興味を持って聞いてくれます。3年寝たきりだった男が奇跡的に意識を取り戻して自分のもとに営業しにきてるって、どう考えても面白いじゃないですか。

障害を持ってる人に、世間の人はすごく優しいんです。「障害を持っている人は、だいたいみんないい人だ」っていう勝手な思い込みがある。逆差別だって傷つく人もいるかもしれないけど、僕はそれすらも武器にしてしまおうと思いました。

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3年間意識を失い、右半身不随になってしまったことを武器にしてしまおう、と沼田さんは考えたのです。

障害を弱点と考える人が多い中、武器に変えてしまうというのはとてもポジティブに思えますね。

しかしながら、こういった障害者の方の話題について時に「不謹慎」と仰る方も少なくありません。

また、障害の種類も多岐に渡るため、問題点も一人一人異なります。つまり一括りにできないのです。

そのため沼田さん自身は、自分と異なる障害を持つ人については何も言えない」と仰っています。

ところが障害者、又はその家族である“当事者”以外が「不謹慎」を唱えることについて、次のように話していました。

「健常者の語る『不謹慎だ』に違和感」

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ことに強者と弱者、みたいな話でいうと、自分の身内が障害者であったり自分が当事者ならまだしも健常者がそうやって「不謹慎だ」って言うのはすごく違和感があります。

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そのエネルギーをもっと自分のことに使えばいいのにって。どんな人でも、自分を最大化して世の中に価値を提供しなきゃいけないのは一緒ですからね。ある意味、わかりやすい障害を抱えた僕や欠損女子の皆さんの方が、世間にリーチしやすい。

「不謹慎だ」と言ってくる方に関しては、余計なお世話かも知れませんが、もっと自己の最大化に注力したほうが良いと思います。

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障害について触れるのであれば、当事者自身が発信する方がわかりやすい。だからこそ当事者でないのであれば、自分自身を最大化することに注力した方が良いのでは?と語っていました。

※欠損女子とは、体の一部を失い義手・義足で生活をしている女性が“自称”している言葉です。詳しくは下のリンクをご覧下さい。

沼田さんの「自分を最大化して世の中に価値を提供しなきゃいけないのは一緒」という言葉は、障害の有無は関係ないというアンサーにも思えます。

苦手なこと、不得手なことがあったとしても、自分の得意なことを磨いていけば道が開けるのではないでしょうか。

沼田さんのこれからの活躍に期待したいと思います。

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