出典 https://www.facebook.com

「キセキ」のヒット曲で知られる音楽グループ・GReeeeN。メンバー全員が歯科医師の資格を持っていることでも有名です。音楽活動と歯科医師としての活動の両立をしているため、顔出しはせずにメディアのインタビューを受けることもこれまではありませんでした。

しかし、3月3日に放送されたTBSのNEWS23のインタビューに、顔出しはしていませんがリーダーのHIDEさんが応じたのです。

これまでインタビューを受けなかった彼らですが、そこにはHIDEさんの特別な思いがありました。

「東日本大震災を考えるきっかけにして欲しい」

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GReeeeNのメンバーは、全員福島県内にある大学の歯学部出身であり、震災当時福島にいました。

震災からもうすぐ5年が経とうとしていますが、風化されつつある現状を危惧すると共に、当時何があったのかを話すことで皆が震災について考えるきっかけにして欲しいとのことで、今回インタビューを受けることにしたそうです。

実はHIDEさんは、身元不明の遺体をご家族の元に帰すために、歯科医師として検死作業に参加していました。

HIDEさんが現場で経験したこととは…

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なぜ検死作業に参加したのか、その経緯から現場がどんなものだったのかまで、HIDEさんは赤裸々に語っています。

放射性物質のせいで近付けない所のご遺体の収容がある、それに従事する歯科医師の数が足りませんという貼り紙があって、「じゃ、自分行きます」と。

出典TBS番組「NEWS23」より

HIDEさんはこの貼り紙を見て、自ら検死に参加することを決めたのです。混乱を極めていたであろう当時、少しでも力になろうとしていたHIDEさんの気持ちが伝わります…。

原発から数キロのところに入って、ご遺体を収容してきた方々がいるわけじゃないですか。全国の消防、警察、自衛隊の方が集まってみんなで必死にご遺体を探していました。

1週間、2週間、3週間…多い方で1ヶ月以上(遺体が)そのままになっている状態…それはいかんだろうという気持ちがすごく強かった。多分みんな同じ気持ちで(検死を)やっていた。必死に「この方を早く家族に会わせるんだ」と。

出典TBS番組「NEWS23」より

生死すら分からず、家族を捜していた方の気持ちを考えると、せめて発見された遺体の身元を少しでも早く特定し、家族に会わせてあげたいと考えるのは、人として当然のことです。

現場にいた全員が同じ気持ちだったのでしょう…。

運ばれた遺体は、施設の入口で放射線量を計測され、その後警察が高圧洗浄機で泥や放射線物質を洗い流します。この時、身に付けていた衣服なども丁寧に水洗いで除染。

その後、再度放射線量を計測して一定の数値まで下がったところで警察の確認が入り、そこから歯科医師による検死が行われていました。

当然検死を行う歯科医師も防護服を着て作業をしていましたが、日々遺体となって運ばれてくる方、対面を待つご遺族の方を目にしていたHIDEさんは、いつしか放射線に対する恐怖はなくなったそうです。

実際の検死の手順についてもHIDEさんは話しています。

「波にのまれて亡くなった方が多かった」

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波にのまれて亡くなった方が多かったので…口の中にいっぱい土とか飲み込んじゃってる状態だったんで、まずそういうのをしっかり取らせていただいて、中の状況を確認していく。

出典TBS番組「NEWS23」より

歯科医師による検死作業は、歯並びや治療痕などからの身元特定です。

そのため、飲み込んでしまっている土などをきれいにしてから、歯の部分を確認していくことになります。

この歯科医師による検死作業が大きく取り上げられたのは、1985年に起きた日航機墜落事故が最初でした。この時も多くの歯科医師が身元特定に尽力し、その時のノウハウが現在の「福島方式デンタルチャート」と呼ばれる歯の記録用紙に生かされています。

多くの遺体と接する内に、HIDEさんは亡くなった方に声がけをするようになりました。

「“大切な人”がいらっしゃる人を見させていただいている」

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「お口の中を見させていただきます」「お疲れ様でした」「お口の中を見させていただきました」

一人一人がちゃんと大事な人間がいらっしゃる人なんだということを心に留めながら、見させていただいていた。

出典TBS番組「NEWS23」より

亡くなられているとはいえ、その帰りを待つ大事な人がいる方なんだ…そう感じたからこそ、HIDEさんはより一層敬意を持って検死に取り組んだのです。

そして、「歯科医師として役に立てた」と実感する瞬間にもHIDEさんは立会いました。

「やっと娘に会えました」

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HIDEさんは、10代と思しき女の子の検死を担当していました。すると、その方のお父さんが「うちの娘ではないか?」と声をかけてきたそうです。たしかに口の状態も酷似しており、遺留品などからも娘さんであることが分かりました。

この時、お父さんからHIDEさんはこんな言葉をかけられたそうです。

「今日やっと娘に会えました」と仰られて…何もやっぱり言えなかったですよね。ただ、あの時に歯科医師として何か少しお手伝いができたのは、すごく良かったなと思ってます。

出典TBS番組「NEWS23」より

HIDEさんの言葉が全てでしょうね…。

今回のHIDEさんのインタビューは、多くの人に響いたようでTwitterでも大きな反響がありました。

Twitterの声

聞いていて辛くなる内容もありましたが、あれが現実なんだと思うと受け止めなければならないとも思えます。

現場で見たこと、感じたことというのはきっとHIDEさんの人生にも影響を与えているのではないでしょうか。

誰かが動かなければ何も始まらない、とも言えます。

HIDEさんの気持ちは、きっと対面した遺族の方にも伝わったでしょう。

今回、声だけでの出演ではありますが、インタビューに応じたHIDEさんの気持ちを考えると、その覚悟が並々ならぬものだったと感じます。

もうすぐ5年が経ちますが、これからも忘れることなく被災地の方に心を寄せたいですね。

最後に震災で亡くなられた方のご冥福と、今も大変な生活をされている被災地の方の暮らしが改善されるようお祈り申し上げます。

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