記事提供:カラパイア

1260年代に制作された詩編の世界地図は、中世の優れた世界地図のひとつと考えられているが、今日の常識からしたらかなり変わっている。

まず、地図の上が北ではなく東になっていて、太陽や月が森林で覆われていて、ドラゴンが下で地球を支えている。そして、さらに奇妙なものが、この地図の中には描かれている。

頭をちょっと左に傾けて、右のほうに近づいてみると、それは見える。

右側のアフリカの近くに、奇妙な男たちがずらりと並んでいる。よく見ると、そのうちのふたりには頭がなく、胸に顔がある。

この異形のものは、紀元77年に大プリニウスによって書かれた『博物誌』にも出てくる。プリニウスは、頭部がなく、口や目が胸にあるという北アフリカの部族だとしている。

ハルトマン・シューデルによる『ニュルンベルグ年代記』(15世紀)に描かれた、頭部のないブレムミュアエ。

それから1500年以上たってもなお、大御所作家たちが胸に顔のあるこの生き物についてつづっている。

シェークスピアは『オセロ』の中で、肩より下に顔がある共食いする食人族のことを書いている。

詩編の世界地図に描かれている頭部のない生き物が、数ある神の創造物のひとつなのか、地図の端に置かれて、神の世界から追いやられたことを象徴しているのかは、議論が続いている。

中世イングランドのキリスト教徒にとって、頭部のない者たちは、自分たちの倫理と信じやすさをはかるという意味で特に興味深い対象だった。

詩編の世界地図が所蔵されている英国図書館の中世史学者アレクシー・ボヴェイによると、この怪物はモラルと罪、調和と不調和の間の境界をはっきりさせ、その違いを明らかにするためによく引き合いに出されたという。

この異形のものたちは、恐怖を呼び覚ますために使われたようにみえるかもしれないが、西洋の人たちは彼らとはまったくかけ離れた場所に住んでいた。

ボヴェイは、こうした怪物は、珍しくて刺激的だが、この地図にあるように、わかっている世界の端に住んでいると考えられていたため、中世の人たちをそれほど不安にはさせなかったのではないだろうかと書いている。

出典:atlasobscura

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