ニューヨークで酒ソムリエとして活躍する日本人女性

日本人女性、新川智慈子(にいかわちずこ)さんは、ニューヨークで唎酒師(ききざけし)の資格を持っている数少ない日本人女性酒ソムリエ。そして、新川さんの日本酒に魅せられて、ニューヨークまでやってきて唎酒師(ききざけし)をするまでに至った駆け引き無しの人生観が、大変面白く、またカッコいいのです。

出典 http://www.sakejourneys.com

photo by Hirokazu Takayama

幼き頃の夢、ファッションデザイナーへの道

新川さんは、約400年続く曹洞宗のお寺の長女として、米どころ秋田県で生まれ育ちました。しかし、秋田の地で骨を埋める気など毛頭なかった新川さんは、東京の大学に進学することを決めました。大学では経営学を学びましたが、幼き頃からの夢がファッションデザイナーになることであった新川さんは、大学に通いながらファッションの専門学校にも通い始めました。

そして、幼き頃の夢であったファッションデザイナーとして10年間働いたある日、実家のお父様が癌を患っていることを知り、その事をきっかけに東京を引き払い秋田の実家に戻りました。

故郷の素晴らしさ、日本の美しさを実感

都会が大好きだった新川さんでしたが、東京で忙しく働きた続けた結果、心身ともに疲労困憊状態になっていました。久々に帰った故郷の秋田は、自然に溢れた美しい場所でした。山、川、田んぼ、美味しいお米にお水、新鮮な野菜、そして美味しい日本酒、改めて自分の故郷の素晴らしさを実感しました。

故郷の美味しい日本酒のことを、もっと深く知りたい

故郷秋田のお米とお水で作られた、日本酒の美味しいことに感動した新川さんは、日本酒のことをもっと知るためにはどうすれば良いか考えました。調べているうちに、唎酒師(ききざけし)と言う資格が東京で取れることを知りました。そこから一気に日本酒の魅力に惹きこまれて行きました。

人生のリセットの為にニューヨークへ

日本酒の唎酒師(ききざけし)の資格も取れたある日、新川さんはこれからの人生をふと考えました。人生長いのだから、少しの休憩も必要、そう思った新川さんは、これといった当ても無く、大好きなニューヨークへふらりと、3ケ月短期留学することを決めました。

ニューヨークで運命の出会い

ニューヨークの語学学校に通ううちに、友人も沢山できました。学校が終わってからクラスメイトと一緒に居酒屋へ行くこともあり、外国人のクラスメイトは日本酒をトライしてみたいが、何を注文していいか分からない。そんな時、新川さんの唎酒師(ききざけし)
の知識が役立ち、友人たちの間で、新川さんと居酒屋へ行くと美味しい日本酒が飲めると言うことが評判になっていました。

新川さんは、秋田から持参した地酒を持って、友人に招かれたホームパーティーへ行った日のことです。そこにいた友人のルームメイトが「どうしてこんなに美味しいお酒を知っているの?」と訊ねてきました。そこで新川さんは、持参したお酒が、故郷秋田の自慢のお酒であることを説明、そして実は唎酒師(ききざけし)資格も持っていることを、伝えました。なんと偶然にも、友人のルームメイトは、ニューヨークで最も有名な日本酒を多く取り揃えている和食レストランに、勤務している人だったのです。そこで、友人のルームメイトは、自分の勤務しているレストランのマネージャーを紹介したいと言い出したのでした。

まさに、この日、新川さんと友人のルームメイトとの出会いは運命を変える出会いだったのです。

デザイナーから酒ソムリエとしての180度違う人生が、ニューヨークでスタート

酒ソムリエとしてNYで働くことが決まった新川さんは、一旦、日本に帰国し、再度ニューヨークに戻ることなりました。唎酒師(ききざけし)の資格は持っているものの、飲食店で働いた経験のない新川さんでしたが、和食レストランで働くやいなや、季節に合わせて料理、器、そして日本酒をコーディネイトすることは、ファッションの仕事と、似ていることに気づいたそうです。ファッション業界で培った経験があってこそ、唎酒師(ききざけし)また、酒ソムリエと言う仕事を、新川さんは天職だと感じることが出来たわけです。


酒ソムリエとしてレストランで数年勤務した後、その経験を活かし今では、サケディスカバリーズと言う会社を立ち上げ、日本酒に関するイベント、日本酒を扱っているレストランのコンサルティング業などで大忙しの新川さん。

ニューヨークの日本酒を扱っているレストランで、新川さんを知らない人はいないくらい、日本酒業界にとっては無くてはならない人になっていたのです。2012年には、アメリカで日本酒を、多くの人たちに広めた功績が認められ、酒サムライにも叙任されました。

「酒サムライ」の称号は、日本酒造青年協議会が叙任し、その叙任者の方々と同協議会が力を合わせ、日本酒や日本の食文化が世界に誇れる文化であることを、広く世界に発信しています。 

出典 http://www.sakeworld.co.jp

英語圏の飲食のプロを引率した酒蔵巡りツアーも実施

海外に暮らすことで、日本の素晴らしさを改めて痛感

海外に住んで、日本の素晴らしさを改めて実感する日本人は多いのですが、新川さんもその一人でした。日本の素晴らしい食文化を英語圏の人たちへ伝えたいと言う気持ち、新川さんの、酒ソムリエとしてのミッションはまだ始まったばかりです。


情熱をかけて、新たなチャレンジをする新川さんが凄い

新川さんは、自分がしたい事に向かって突き進んで来た事を「私みたいな勉強も好きじゃなかったし、運動だって得意じゃない、どこにでもいる普通の人間が、情熱だけで、ここまでやってこれたのだから、本気でやろうと思えば、必ず誰だって出来るんですよ」と淡々と明るく語ってくれました。

しかし、異国の地で、0からのスタートは簡単な事ではありません。見えないところで、努力をし、今までやったことの無い新しい仕事を異国の地で、チャレンジするところ、損得を考えない駆け引き無しの新川さんの人生観が、凄いのです。

心から好きなことを見つけて、この仕事が自分にあっていると分かっていても、しがらみや恐怖心から、新しいことを始める第一歩を踏み出せない、残念ながらそんな人たちが、多いのが現実です。

新川さんのように、自分の心に忠実な人生を全うし、成功する人と、何時も、自分は本当はこの仕事が好きではない、でも、今更職業なんて変えれないと思い、不満を抱えながら人生を生きる人の差は、一体なんなんでしょうか?

それはきっと自分を信じている人と、自分を信じていない人の差なのかな?と思うのです。

日本の食文化がブームになっているニューヨーク

最後に、20年前のニューヨークでは考えられないほど、日本の食文化はニューヨークの街に浸透しました。そして、2013年、和食が「ユネスコ無形文化遺産」に登録された影響もあり、ここ数年、日本酒は、さらに需要が高く、ニューヨークの食文化の中で無くてもならないものになってきています。新川さんのような、海外で日本の食文化のエキスパートとして活躍する人たちは、もっとこれから仕事の幅を増やして行くでしょう。

そして、淡々と新たなるミッションに向かって、ニューヨークだけではなく、世界で活躍するであろう新川さんの今後が楽しみでなりません。

この記事を書いたユーザー

アップル このユーザーの他の記事を見る

NY在住のブロガー兼ライターです。NYでこれから、絶対に注目されるであろう人物などをインタビューしてオリジナル記事に拘って書いています。

得意ジャンル
  • 音楽
  • エンタメ
  • 感動
  • キャリア
  • コラム

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス