記事提供:カラパイア

アメリカではここ数年、「ペットフードパントリー」と呼ばれるペット用のフードバンクが各地に開設されている。

これは、経済的に困窮する犬や猫の飼い主に、一時的または継続的にペットフードを無料で提供するサービスで、飼い主にとっては大切な家族の一員であるペットを経済的な理由から手放さなくて済む。

同時に、支援する側からしても、飽和状態にある動物保護シェルターに安易に持ち込ませないための試みとなっている。

ニューヨーク市内で複数の動物シェルターを運営する非営利団体「アニマル・ケア・センターズ・オブ・NYC」は、2015年12月、ブロンクスに新たにペットフードパントリーをオープンした。

開設から1カ月で、71匹の犬と50匹の猫に合わせて約9,000kgのフードを提供したという。

支給対象には、低所得者のほか、失業中の人や年金暮らしのお年寄り、障害者、退役軍人なども含まれる。

ミサエル・ロペスさんと飼い犬のピットブルのクッキー。

2児の父親でもある31歳のロペスさんは、道端で途方に暮れていた2匹のピットブルを保護したが、時給1000円で働く身ではドッグフード代まで賄えず、ペットフードパントリーを利用している。

現在、ニューヨークでは複数のペットフードパントリーが活動を続けている。

同州ホワイト・プレインズに2010年に開設された「ハドソン・ヴァレー・ペットフードパントリー」では、定期的に約775匹の犬猫にフードを提供。

年間約1,100万円にのぼる経費は、助成金や寄付で賄っている。

また、2012年のハリケーン・サンディで大きな被害を受けたスタテン島に2014年に開設されたペットフードパントリーでは、「サイエンス・ダイエット」で知られるヒルズ社からフードの寄付を受け、毎週100人近い飼い主にペットフードを提供しているという。

「アニマル・ケア・センターズ・オブ・NYC」が運営するブロンクスのペットフードパントリー。ペットフードを運搬する職員のフェルナンド・クルスさん。

「アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)」のエミリー・ワイス博士は、「ペットは家族であるべきです。その人がたまたま食料を買えないなど、ある一部のケアができないからといって、家族と離れ離れにならなければいけない理由はないはずです」と話す。

ASPCAは2010年以降、ペットフードの無償提供を目的に、全米121の団体に40万ドル(約4,500万円)の助成金を支給している。

一方で、ペット用フードバンクには批判もある。飢餓のないアメリカを目指す非営利団体「ハンガー・フリー・アメリカ」事務局長のジョエル・バーグ氏は、現在多くの人間が満足に食べられない状況にあるなかで、諸手を挙げてペット用フードバンクを支持することはできないという。

自身も猫を飼っていたというバーグ氏は、「重要な試みであることはわかるが、たとえばニューヨークの人間用フードパントリーの半数が十分な在庫を確保できていない。ペットフードの前に、まず人間の食品の在庫を満たすべきだ」と主張する。

ブロンクスのフォーダム地区にある「アニマル・ケア・センターズ・オブ・NYC」のペットフードパントリー。

こうした意見に対して、ペットフードパントリーの支持者たちは「ペットを助けることは、結果的にその飼い主である人間も助けることにつながる」と反論する。

ペットの存在は人に癒しをもたらすのはもちろん、ストレス値や血圧を下げてくれるという研究結果もあるぐらいだ。

支給されたドッグフードを抱えて、愛犬クッキーとともにパントリーを後にするロペスさん。

そもそも、ペットを家族のように大切にしている人は、自分の食事を我慢してでもペットに食べさせてあげようとするだろう。

そういう時に頼れるセーフティネットがあることは、どれほど心強いことか。

そしてまた、ペットフードパントリーの援助を受けた人のうち、経済的に立て直すことができた人は、パントリーに寄付をして恩返しをするケースが多いという。

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