イギリスに住んでかれこれ20数年。この土地で子供を育てイギリスの医療問題にも度々直面して来た筆者。数年前から問題となっていた「髄膜炎」の予防接種が、世界で初めてついに可能となったイギリスですが受けられるのは1歳未満の子供のみ。

生まれたばかりの子供を持つ親は、早速予防接種を受けさせることができ、幾分かは安心ですが、実は今でもイギリス国内では年間30人もの子供が髄膜炎により死亡しているのです。

髄膜炎とは?

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何回か記事にさせて頂いたのですが、再度おさらいという形でご説明させて頂きましょう。子供をお持ちの方はご存知かと思いますが、髄膜炎はウイルス性と細菌性に分かれており細菌性の髄膜炎が最も厄介だといわれています。

ウイルスや細菌などの微生物感染により起こる病気

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普通の風邪のような症状から始まるので、つい見逃してしまうことが多く、気付けば手遅れということにもなりかねないのが髄膜炎です。ウイルスや細菌により感染症を起こし、脳や脊髄などの髄膜に炎症が起こると命に関わる恐ろしい病気です。

英語ではmeningitisと呼ばれる

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今後渡英予定のある方は、子供がかかりやすい病気や医療用語などを英語で予め調べておいた方がいいでしょう。実際に子供が病気になってしまうと、住み慣れていない土地での不安も重なってパニックになりがち。

普段からこうした医療用語を頭に入れておくことで、少なからずともきちんとドクターの聞き取りができるというメリットがあります。英語では髄膜炎はmeningitis(メニジャイタス)と呼ばれます。

髄膜炎の症状って?

出典 http://www.mirror.co.uk

イギリスでは頻繁に、というわけではないですが子供がなる重篤な病気としては決して珍しくはないのがこの髄膜炎です。普段からその症状を頭に入れておくことで普段の風邪ではない異変に気付いた時にも素早く対応できるかと思います。

症状は発熱、嘔吐、頭痛など一般的な風邪の症状から始まるのですが、髄膜炎の決定的な症状は紫色の斑点が体中に出ること。イギリスでもし子供にこの斑点が見られれば、かかりつけのGP(クリニック)ではなくすぐに緊急外来(A&E)に行くようにしましょう。

首の後ろが硬直するというのも髄膜炎の典型的な症状です。眠気が続き手足が冷たくなるのも特徴。呼吸が荒くなり、呼びかけても返事をしなかったり、痙攣を起こすという症状もあります。

イギリスに住む筆者は、小さい頃から息子が熱を出すたびに日本よりもイギリスで起こる確率が多い「髄膜炎」を恐れて息子の病状を注意深く監視しています。日本でももちろん髄膜炎になる可能性はありますが、イギリスでは比較的その確率が高いということで、今回世界初の「髄膜炎予防接種」ができたのですが…。

11歳以下の子供が髄膜炎で死亡している割合が高い

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予防接種は1歳未満の赤ちゃんと幼児だけが可能ということで、今、イギリス国内では11歳未満の子供全てに予防接種が可能になるよう政府への署名活動が行われています。既に58万人の署名が集まりました。

イギリスはNHSという政府の予算で賄われている病院にかかることが可能です。患者は、予防接種代が無料となりますが実際は政府がその費用を捻出しているだけで、例えば髄膜炎のワクチン1本は20ポンド(約3,200円)と言われています。

これはあくまでもNHSにかかっている費用なので、実際に患者個人がプライベートの病院で予防接種を受けようとすると必要な3回の予防接種代はなんと450ポンド(約7,2000円)にも上るというのです。これではいくら必要だとわかってもほとんどの子供が受けることなどできないでしょう。

イギリスでは毎年1,870人もの子供がこの髄膜炎にかかっていると調査で明らかになっています。その半数は5歳以下の子供たち。気付いた時には手遅れというケースが多いために年間30人もの子供が命を落としているという事実です。

もし、我が子が髄膜炎になってしまったら…手遅れになることを恐れた1歳未満の子供を持つ両親が、我が子に予防接種を受けさせようとパニックになると同時に、あまりの患者数に病院側のワクチンが在庫切れという事態にも陥っているイギリス。

最悪の場合、今年の7月まで在庫が届かないという恐れもあるために、小さい子供を持つ親は不安でたまらない様子。最近、度々髄膜炎で亡くなる子供たちの姿がメディアで取り上げられているだけに小さい子を持つ親が不安に思うのも当然と言えるでしょう。

署名活動が実を結びますように

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もし、ワクチンの在庫が入ってきたとしても未だ1歳未満の子供のみ予防接種が可能な状態なので、どうしても親が子供に受けさせたければ多額の費用を払ってプライベートで受けることは可能です。

子供たちを救えるワクチンが存在するにも関わらず、それを受けられない1歳以上の子供たちが命を落とすというのは不憫でなりません。筆者も5歳の息子をもつ身。ですが、7万円以上もする予防接種代を払う余裕はとてもありません。

今行われている署名活動が実を結び、近いうちに11歳未満の子供が髄膜炎の予防接種を受けられるようになればと祈るばかりです。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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