人が犯罪を犯す瞬間は、恐らく当時者でないと計り知れない何かがあるのではないかと思います。誰かに恨みを持っていてそれが犯罪へと繋がる場合や、ふと魔がさした時にしてしまった犯罪など、「なぜ」「どうして」というのは犯罪後の裁判でしか明らかになってこないこと。

でも、どんな犯罪にしても一度犯してしまえばそれは一生消えない罪となるのです。今、イギリスである一人の有名なサッカー選手の事件が話題になっていますが、彼のしたことは、今後の彼の人生に深く影響するだけでなく生まれたばかりの彼の子供の未来にも影響するものなのです。

イングランドチーム代表選手、アダム・ジョンソン

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ベッカムほどの世界的知名度はないにしても、アダム・ジョンソン(28歳)といえばイギリスでは誰もが知るイングランドチーム代表の優秀なサッカー選手でした。

英国内ではサンダーランドチームのメンバーとして華々しい活躍をしていた彼でしたが、去年15歳の少女への淫行行為の為逮捕、今年2月の公判で本人がそれを認めたためにチームを解雇されました。

これまで積み上げてきた全てを失った

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元々、熱狂的なジョンソンのファンだという15歳の少女がサイン入りのTシャツをもらったことで「お返しに」車中でキスを求められ、更にはそれ以上の行為に及ぼうとしていたことが判明。

少女の両親により警察に通報されたのですが、実はこの背景には複雑な「グレーゾーン」が見え隠れしているのです。

英国では16歳未満の性行為は法律で禁止

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日本でもそうですが、法律が禁止していたところで例えば若いカップルが性行為に及ぶということは公にならなくてもあることでしょう。でももし相手が16歳と15歳であった場合、そして何らかの形で公になった場合は16歳の人物は「15歳の人物をレイプした」として逮捕されてしまうのです。

本人が同意の上であったとしても、法律は法律。16歳以下の「子供」とみなされている者に手を出すと「少年性犯罪」となるのです。そして今回ジョンソンもこの性犯罪者として逮捕されてしまったのです。

ただ、この15歳というのは一般的に非常に微妙な「グレーゾーン」だと言われています。ジョンソンのケースもどうやら15歳の少女は「レイプ」ではなく自分から「憧れのサッカー選手」に近付き、キスを強請られても拒否もせず、それ以上の行為に及ぼうとした時には「また今度ね」と返しているのです。

それでも裁判では「自分が有名なサッカー選手という立場であるとわかった上で、自分の熱烈なファンだという15歳の子供を利用した。そうなることがわかった上での行為。」とし、あくまでもジョンソン被告に「自覚があった」と指摘しました。

15歳の恐らく成熟している少女からすれば、憧れのサッカー選手とどうにかなるというのは夢のまた夢のように思っていたでしょう。それがキスされて舞い上がってしまい、事態がとんでもないことになるとは考えも及んでいなかったのだと推測します。

いわば、ちょっとその気を見せてしまった15歳の少女にも非はあるはず。ところがやはり法律は法律。ジョンソンは「性犯罪者」として逮捕され、チームを解雇、その後の裁判では実刑判決がでるだろうと言われています。

もちろんジョンソンはそれなりの罰を受けるべきだが

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違法だと自覚していながら16歳未満の少女といかがわしい行為に及んだジョンソンは、まず大人としての自覚に欠け、100%非があるのは当然。でも少女の非は0%ではないと筆者は思うのです。

嫌がるのに無理やり…という状況ではなかったにも関わらず、事が公になったことで15歳の少女はすっかり被害者に。そしてジョンソンはこれまで築いてきた全てを失う事に。自業自得と言えばそれまでですが、少女も自覚していたのであればジョンソンだけが全てを失うのは、不公平ではないでしょうか。

ジョンソンにはパートナーとの間に子供が生まれたばかり。にも関わらず15歳の少女とどうこうなんていうのは言語道断ですが、今後、ジョンソンは「性犯罪者」として一生レッテルを貼られて生きて行かなければなりません。

レイプの加害者、児童虐待&性犯罪者など、世の中にはもっと残酷な犯罪を犯し「性犯罪者」と呼ばれる者が多い中で、自分の「魔がさしたのであろう」軽々しい愚かな行為と、15歳少女の無知によりジョンソンもその「性犯罪者」の仲間としてブラックリストにその名が永遠に刻まれるのです。

今回、彼の犯した事件を見ていると、人はほんの些細なことで人生を台無しにしてしまう可能性があるということを再認識せずにはいられません。もちろん、法律に反することは犯罪です。28歳の地位も名声も全て持っている男性が、それを知っていないはずはなかったでしょう。

それでもほんのちょっと「魔がさす」という瞬間が、その人の人生だけでなく、周りの人の人生も大きく狂わせてしまうのです。「魔」というのもはひょっとしたことにつけ込んでその人の中に入り込んできます。私たちは普段の生活においても、この「魔がさす」ということに十分過ぎるほど気を付けていなければいけないということなのでしょう。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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