以前勤めていた某百貨店の関係や地域性もあり…。勿論自分も大好きですが、「宝塚ファン」の方が比較的多く私の周りにいました。

その中でも、ほぼ半世紀近く宝塚ファンである、ヒロさん(仮名)は、私が不思議に思う宝塚に関することを質問すると、「それはね」と、なんでも即座にこたえてくれる生き字引的な存在です。

そこで、生き字引のヒロさんに、宝塚歌劇の普段、私がちょっと疑問に思っていることを聞いてみました。


「男役10年の本当の意味…」

現在、男役10年の意味は、「初舞台から、一人前の男役になるには10年が必要」と言う意味で使われますが。実は、本当の意味はすこし違っていたんです。

では、本当の意味はどういう意味なのかヒロさんに聞いてみましたところ・・。

宝塚の男役10年は、初舞台からスタートして育てられ、5年後には組のトップスターになり。

後の5年間で完全な男役を極めて、30歳までには退団していくのが、本来の『宝塚男役10年』の意味なのだそうです

「これは、寿美花代さん(元星組トップスター・1948年入団、1963年退団)が、事あるごとによく言われていたことで、どうやら、男役10年のところだけが切り取られて一人歩きしてしまったようですね。」とは、ヒロさん談。

なるほど、人の口から口に伝えられていくうちに、少しずつ内容が変化していったり。
強烈に残る一つのキーワード的言葉が、いつの間にか一人歩きしてしまい。本来の意味とは、違って使われていたりすることはよくあることだと思います。

かく言う私も、男役10年の意味を「一人前の男役になるには10年かかる」と、したり顔で使っていました。
ヒロさんに正しい意味を教えて貰ったときは、「えっ!そうなんですか!」と、目から鱗の恥ずかしい出来事でした。



「音楽学校の定員は・・・」

今、宝塚音楽学校の定員は40人。
毎年1,000人以上の応募者に26倍ちかい倍率で選ばれた。とニュースで流れる場面は昔からそうだったのかな?と、思いましたが、意外にも・・。 
                         
そうでは無くて、昔、宝塚音楽学校の定員は、あってないようなものだったのだそうです。

昔、宝塚は普通60人、50人と音楽学校に入学させるのが普通だったようです。
勿論、ダメな人はダメで落とされますけれども。才能があって、この人は見込みがあるという場合は、定員の数は関係なしに選んでいたらしいのです。

その選ぶ基準としては、何か一つ秀でた才能がある。

例えば、ダンスやタップをやっていなくても非常に運動能力が秀でているとか。
或いは、声が素晴らしく良いとか。クラシックバレエを踊らせたらスゴいとか…。
極端な話し、歌えなくても、そういう人なら音楽学校に入学させる傾向にあったのだそうです。(ヒロさん談)

つまり、先の話である。本当の意味での「宝塚の男役は10年」と合わせて考えると。
将来性をかい、キラリと光る秀でた才能(スター)を大切に育てていくことに繫がるは、ズバリ「男役10年」とは、トップスターを指して言われた言葉であったのです。

これは、言い換えれば、トップスターと、その他の二番手以下の人たちとは、はっきとした棲み分けがなされていたということです。

「今では考えられないことですけどね」とは、ヒロさん談。


ですから、今、言われている「男役10年」の意味とは、確かに意味が違ってくるのです。


因みに、それまでにも宝塚音楽学校への入学倍率は高かったのですが、これほどの倍率…現在の様な26倍近くになったのは、『ベルサイユのばら』が上演されたことで一気に受験生の数が増えて今に至るとのことです。(ヒロさん談)


※「ベルサイユのばら」・漫画家、池田理代子さん原作。1974年に初演以来再演を繰り返している宝塚歌劇団最大のヒット作。



「舞台撮影が・・、」

「ベルサイユのばら」が始まる以前は、舞台撮影も殆どフリーで撮ることが出来ていたそうです。(これには正直ちょっと驚き。今では考えられないことです。)

大学生時代のヒロさんは、宝塚ファミーランドで行われた撮影会で賞を取り。それが切っ掛けで声を掛けて貰い、宝塚の舞台撮影をされたそうです。

途中からは、「ザ・宝塚」というテレビ番組の撮影をして、雑誌に載せて貰う仕事をされたのだそうです。

そして、ヒロさんのお話ですと、「ベルサイユのばら」以前は、当日でも前列10列目、13列目の席が取れたことや。舞台撮影がフリーで出来たことなどを考えると…。

なんだか、今とは違い。とっても宝塚の舞台が身近でほのぼのとした時代があったんですね。

しかし、「ベルサイユのばら」略して「ベルばら」って、スゴい人気があったんですね。



「トップ・オブ・トップ…、って?」

ずばり、「トップ・オブ・トップ」とは、花組のトップスターのことを言うのだそうです。それは、なぜ?

それは花組が「宝塚でもっとも古い組み」とされていることから、5組筆頭の組だからなのだそうです。

つまりは、花組のトップスターになることは、宝塚トップスターの中のトップスター=トップ・オブ・トップになるということなのです。

「でもね、それを自分で言ってはいけないのですよ。それは、人が言ってくれて初めて光るものだから・・」とは、ヒロさん談。


確かに、そうですね。素晴らしければ自分の口で言わなくても、人が褒めてくれます。「清く、正しく、美しく」の宝塚。
トップスターの品格としての謙虚さが、ファンを魅了する要素の一つなのだろうとヒロさんの言葉に思うのでした。



「宝塚、それは夢の世界だから・・」

宝塚の魅力ってなんだろう。豪華な衣装。日々のお稽古で鍛え抜かれた団員さん達のお芝居に踊り。美しい歌声。どれもこれも魅力的ですが・・。

私が、「これだな…」と、思ったのは某百貨店時代に後輩の子が、宝塚のあるスターさんのファンでした。

その彼女が、「先輩、今日の早番、きっかりの時間に終わって帰ってもいいですか」と真剣な顔で聞いてきました。

夜7時閉店のときには、早番で来た者は午後6時20分に帰れましたが、まだお店は営業をしていますので、お客様がいらっしゃいます。
ですので、なかなか時間きっかりに帰れることは難しかったのです。

でも、彼女は何か急ぎの用がある様子。「いいよ」とこたえると、彼女は「じゃあ、担当商品の整理を今からします」と必死になってやり出したのです。
時間は、午後3時40分。早帰りまでには、まだ3時間弱近くあります。

いくら今から店頭商品をきれいに整理しても、お客さんが来たら商品を広げるわけで、また一からたたみ直しのやり直しですから。もう少し後の時間からでも間に合うのではと思ったのですが…。

一心不乱に商品をたたむ彼女に、私は、一体全体、どんな大事な用があるのか興味がわいてしまい。思わず彼女に聞いてしまいました。
すると・・・、

「〇〇さん(宝塚スターさん)のお見送りに岡山に行くんです。新幹線の時間があるのできっちりの時間に出ないと、岡山のホームでのお見送りに間に合わないんです。そのあと、ホームを変えて違う新幹線に乗って大阪に戻るんです。そこから、大急ぎで〇〇さんが乗った新幹線を新大阪のホームで待って、お見送りしないといけないんです」と、こたえてくれた彼女。

「えっ・・、そこまでするの・・」と驚く私。

「はい」と真剣な顔の彼女。

「いや…、でも…、男役さんとはいえ、相手さんは女性ですよね・・」と言った私に彼女は向き直り。ひと言。

先輩、この世に、あんなにきれいな男の人がいますか?」と、反対に問われてしまい。

いえ、いません」と、私は正直にこたえてしまいました。

そう、宝塚の男役さんは、女性にとって姿形、その動きのすべてが理想の男性
加えて、舞台の上でのお話の中では、たった一人の女性を愛する誠実な男性…。

現実を忘れさせてくれる。心地良い『夢の世界』を見せてくれる美しき存在なんです。

だから、宝塚の男役さんは魅力的なんですね…と腑に落ちた瞬間でした。





そして、私がヒロさんや、他の宝塚ファンの人とお話するのが好きなのは、皆さん、とても宝塚の舞台を楽しんでおられることです。ですから、ときには厳しい意見も出ますが、逆に素晴らしい舞台だと手放しで褒めます。

それって大事なことではないでしょうか。

映画にしろ、観劇にしろ、テレビドラマにしろ、見終わったあとで意見交換や、感動を分かち合えるというのは、それだけ大きく心を動かした。動かされたということ。
そして、それはとても楽しいことです。

観る人に感動を与える。そして感動をもらえる宝塚の舞台は、観る人に観ずにはいられない魅力を与えてくれているのだと思います。

この記事を書いたユーザー

しーちゃん このユーザーの他の記事を見る

知らないことが知りたくて、メンタル、カルマ、礼法に漢方スクール…etc.とお勉強。で、ですね、人を動かしているのは無意識、でも、この無意識を味方につけるとスゴいんだ~と気づいたら…、なぜか、「えっ?!そうくるかぁ~」と、色んな場面に遭遇しれしまう…という面白いことが起こりだすのでした。

得意ジャンル
  • 社会問題
  • 国内旅行
  • グルメ
  • 暮らし
  • 感動
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス