記事提供:Doctors Me

医師が解説する医療・健康サイト「Doctors Me」編集部です。
広島県北広島町の芸北国際スキー場で、悲しい事故が起こりました。
なくなった小学6年生の女の子の死因は外傷性大動脈解離による『心タンポナーデ』とのことです。

聞きなれない病名について、医師にどんな病気か聞きました。

Q1. 外傷性大動脈解離による『心タンポナーデ』ってどういうこと?

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大動脈は心臓から全身へ血液を送り出す通り道です。大動脈解離は、この血液の通り道の壁が裂けてしまう状態を指します。

大動脈は、たくさんの血液が勢いよく流れています。
血液の勢いに耐えられるように大動脈の壁は厚く、いくつかの層からできています。その内層が裂けてしまうと、その裂け目に心臓からの血液が一気に流れ込んでくるため、層が引きはがれてしまい、壁の解離が起こります。

大動脈解離の多くは高血圧などによって、動脈の壁がもろくなってしまうことで起こります。一方で事故などの衝撃によって大動脈の壁に傷がつき、そこから大動脈の壁の解離が起こることもあります。これが今回起こった外傷性大動脈解離です。

大動脈解離が起こると、血液が全身に送り出すことが困難となるため、致死率の高い状態になります。
さらに、大動脈の解離が心臓まで及び、血液を送り出せずに心臓のまわりにある心膜の間に血液などが大量にたまってしまいます。これが『心タンポナーデ』という状態です。

『心タンポナーデ』を起こすと、血液などが心臓のまわりに溜まり、心臓が圧迫されてしまいます。
心臓は収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。心膜の間に溜まった血液で心臓が圧迫されてしまうことで、心臓は正常に拡張できなくなります。ポンプが働かなくなり、全身へ血液が送り出せなくなってしまいます。そして循環不全を引き起こし、ショック状態から急速に死に至ることもあります。

Q2. 心タンポナーデは死に至らずに済む場合もあるの?

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一般的に、心タンポナーデを起こした原因や治療の迅速さで救命率は変わってきます。
一刻も早く、心嚢穿刺という処置を行うことが大切です。これは、細くて長い針を心嚢(心臓を覆う袋状の膜)に刺して、心臓を圧迫している血液や心嚢液を排出する処置です。

また、外傷など貫通傷による心臓からの出血がある場合は、その傷を手術によって閉じます。ショック状態で循環不全となっている全身へ、輸血なども行う必要もあり、非常に難しい治療となります。

Q3. ほかにもゲレンデで気をつけるケガって?

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スキー場で多いケガは、スキーによる下腿骨骨折や膝の靱帯損傷、半月板損傷やスノーボードによる上肢の骨折などです。

これらを防ぐために、用具は自分にしっかり合ったものを使うようにしましょう。また、スキーやスノーボードを楽しむ前に転ぶ時の受け身の方法をしっかり覚えてから滑ることも大切です。

そして何より、無理をしないことを念頭に置きましょう。

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【医師からのアドバイス】

スキー場で多い衝突事故を防ぐために、過信は禁物です。
混雑しているコースでは、いくら腕に自信があっても、高速で滑走は行うのは避けることが大切です。また、近くを滑る人と滑るタイミングをずらすなどの工夫をすること、コースなどを外れてしまった場合にも衝突しないようにすることが大切です。

また、悪天候の際は滑走を避けましょう。
視界が悪いときやアイスバーンのときには、滑ることを控えることも必要です。カッコつけることよりも、安全に楽しむことを優先したいですね。

ウインタースポーツを楽しむためにも、安全にはしっかり気をつけたいものです。休憩を取りながら安全第一で楽しみましょう。

(監修:Doctors Me 医師)

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