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日中が受注合戦を繰り広げていたジャカルタ―バンドン間の高速鉄道建設で、土壇場になって日本を蹴り中国案を選択したインドネシア。

ところがここに来て中国側の準備不足が深刻化、着工の目処も立っていない状況であることが明らかになりました。

メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、これまでも中国が引き起こしてきた同様の事例を挙げつつ、「政治的な駆け引きで中国案を採用したインドネシア政府は高い代償を支払うことになる」と指摘しています。

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中国に騙された!ずさんすぎる高速鉄道計画に大きな後悔―インドネシア

去年9月、日中が激しい受注争いを繰り広げ、中国が勝利したインドネシアの高速鉄道ですが、2015年に着工できずに予定が大幅に遅れる可能性が囁かれてきましたが、その詳細な進捗具合が明らかになってきました。

1月21日に起工式は何とか行われましたが、それでもまだ工事がさっぱり着工されないとのことです。

地元メディアでは、中国側の書類不備により審査が進まず、工事許可を得たのは未だにたった5キロだけ。着工されないばかりか、工事許可も下りていないのが現状だというのです。

計画では、2019年にジャカルタとバンドン間の約140キロの高速鉄道が開業予定となっていますが、予定通りに工事が進む可能性は限りなく低いと一部メディアで報じられています。

さらに、インドネシア政府は、工事期間中にトラブルが生じた場合の責任を中国が持つこと、そして中国が途中で工事を放棄した場合、現状回復の責任を持つことを誓約書に追加して欲しいと迫ったとも言われています。

その背景には、フィリピンのマニラ郊外での鉄道建設を中国が途中で放棄し、結局、日本のODAで工事を続行することになった事例があるというのが、識者の見解です。

中国は工事の延期を繰り返した挙句に、現地業者への支払いをしないまま鉄道建設を途中で投げ出したのです。南沙諸島における中国の主張を、フィリピンが受け入れなかったことへの嫌がらせだという説もあります。

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死刑囚を労働者として世界に派遣する中国

中国はその他にも、各国で応札工事でのトラブルを起こしています。

ミャンマーでは環境破壊を懸念する地域住民からの反対でミッソンダムの建設が止まっていますし、ニカラグアで進めている大運河の建設でも、同じく環境破壊の問題で大規模な反対デモが頻発しています。

また、中国の経済減速につれて、イギリスをはじめ、中東、イランなどに対して、中国は兆円単位の巨額資金援助を乱発するようになりましたが、こうしたものにも様々な条件が付帯されているともされています。

昨年の習近平の訪米時、中国はアメリカのボーイング社から300機を購入する契約を結びましたが、組み立ては中国国内で行うなど、細かいところまで双方の条件が合わないと契約は破棄されるということにしているともされています。

ボーイング機300機購入へ=習主席の訪米で大型契約-中国

イギリスに対する経済支援にしても、どこまで本当に実行されるかわかっていません。実際には支払う資金がないため、最初に大きくぶちあげておいて、あとでいろいろと注文をつけて減額や中止に持ち込む手だとも噂されています。

かつて毛沢東の時代から20世紀にかけて、中国と台湾がアフリカの援助競争を繰り広げたことがありました。

中国側は主に鉄道建設、台湾は農業指導でしたが、その競争の裏では、相手国の承認を得るために必ず金銭外交がつきまとっていたため、台湾側はバカバカしくなって、競争をやめてしまいました。

しかも、中国側は海外での工事に中国国内の死刑囚を労働者として送り込んでいるともされています。中国で死刑囚を収容できる牢屋は400万人分しかないため、入りきらない死刑囚をアフリカなどに送り、タダ同然で労働に従事させているというのです。

だからこそ、他国が追随できないほどの安い入札が可能になっている、というわけです。しかし、それでも採算が合わずに、途中で工事を放棄するケースが増えているといいます。

たとえば私がポーランドで聞いた話では、ワルシャワと各地方を結ぶ高速道路の建設を中国企業が欧州企業の6分の1という破格の費用で受注したものの、やはり採算があわずに途中で引き揚げてしまったということです。

しかもその企業は、ポーランド政府の契約違反を訴えて、逃げるための時間稼ぎをしているそうです。

日本版の全パクり?中国がインドネシアに提示した計画書の怪

インドネシアで中国の高速鉄道が選ばれた理由は、ほとんどタダ同然で工事を受注するという破格の条件でした。それだけに、このポーランドの高速道路と同じ結果になる可能性すらあります。

しかも、中国側がインドネシアに提示した計画書は、ルートも駅の位置も日本が提示したものとまったく同じで、違うのは提示金額だけだったとされています。

日本側が1年以上かけて行ってきた地質調査データやルート策定などが、インドネシアの親中派の関係者を通じて中国側に渡り、それがそのままパクられた疑惑が囁かれています。

中国が2015年3月に参入を表明してから提案書提出まで5か月しか無く、ボーリング調査を実施した形跡もないそうです。

中国鉄道案、波乱含み、用地取得や利子重荷

これに対して、当然、中国側は憶測で中国に不利な報道をするなと反論しています。計画において多少の遅れはあるが、そんなものいくらでも挽回できる。まだ本気を出していないだけだ、といった内容の反論をしています。

インドネシア高速鉄道計画の報道を推測で行わないよう中国は要求

こうなると、インドネシア政府がどこまで中国の面子を重視するかの問題です。もちろん、傷は浅いうちがいいことは承知で、中国のやり方を静観しているのでしょう。

インドの鉄道受注競争では日本が勝利しただけに、インドネシアもおいそれと中国を拒否することはできないはずです。

そもそも、計画、調査、工事、実行力に関しては明らかに日本のほうが優れていることを分かっていながら、費用を中国が負担するとの提案に乗せられて中国を選んだのはインドネシア政府です。

まだ多少の遅れが出ているだけの状況で、「やっぱりやめた」とは言えません。とはいえ、かなりの不安を抱えているのは確かでしょう。だから中国に対して保証条項の追加を求めたのだと思います。

もちろん中国にとって、インドネシアの鉄道を受注したことの意味は大きいのです。

得意分野でもない鉄道事業を東南アジアに売り込んでいる中国の真意は、鉄道というハードを得ることで、鉄道で運ばれるヒトとモノ、つまり物流と人流をも手中に収めることです。

それを得ることができれば、大中華帝国主義の「一帯一路」への道筋ができるのです。その足がかりとしてインドネシアの高速鉄道なのです。

あきれた中国の「安全神話捏造」

しかし、2011年に中国浙江省温州で起こった鉄道事故を思い出せばわかるように、中国では人命よりも車輌撤去と運行再開が優先され、被害者の実態はうやむやにされてしまいました。

そして現在では、「中国では高速鉄道での死亡事故は起こっていない」とされています。「あれは特別快速列車であり、高速鉄道ではない」という理由だそうですが、これは屁理屈でしかありません。

安全神話も「捏造中」…中国新幹線、死亡事故「いまだなし」と報じるメディアの屁理屈

中国側は否定していますが、日本の計画書を中国がコピーしていた場合、事態は深刻です。日本は自国の技術力を考慮のうえで、さまざまな調査を行い、ルートを確定させたはずです。

しかし、中国が日本ほどの建築技術力を持っていないとすれば、日本と同じルートで建設することは無謀以外の何ものでもありません。

トンネル工事、地盤強化など、技術力が必要な部分がおざなりにされれば、後々、大事故につながりかねません

鉄道設備およびシステムの不備は多くの人命を奪う大事故につながります。

確かに、中国および第三国における人命の価値は、先進国と比べると低く扱われているのが現状ですが、だからといって事故を起こすかもしれない鉄道に大勢の人を乗せて数百キロのスピードで走るのは、人道的に許されません。

しっかりとした安全確認ができてからでなければ、高速鉄道は動かせません。

インドネシアは政治的な駆け引きで中国に鉄道を発注しました。今更それを撤回できないならば、中国に安全な鉄道を造らせる努力をするしかありません。

もしそれができなければ、結局は高い代償を支払わされることになる可能性が非常に高いと言えるでしょう。

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