記事提供:CIRCL

喫煙の習慣があるのに、「たばこは吸っていない」と申告したり、過去に性病の経験があるのに、「性病になったことはない」と答えたり。病気を診てもらうために訪れている診察室で、患者は医師につい「悪意のないうそ」をついてしまう

筆者も妊婦健診で訪れた産婦人科でうそをついた経験がある。体重を3キロも減らして申告した。体重が重いと思われるのが恥ずかしかった。妊娠中は、体重が診断基準の重要なポイントになることも知らなかった。

そして、1カ月後の健診では大変なことになった。体重測定で1カ月前と比べて、とんでもなく増えていたからだ。うその申告をしたばかりに、「体重増え過ぎ」のハイリスク妊婦のレッテルを貼られてしまった。

実は、医師に悪意のないうそをつく患者は意外に多いのだという。

半分近くの患者が医師にうそをつく

診察のオンライン予約ができるアメリカのウェブサイト、「ZocDoc」は、サイトの利用者2000人以上に協力してもらい、医師にうそをついたことがあるかを調査した。

46%が「医師にうそをついたことがある」、もしくは「重要な医療情報を言わないでおいたことがある」と答えた

また、女性の方がうそをつく傾向が強いことも分かった(※1)。

なぜ患者は医師に嘘をついてしまうのか

自分の体のこと、ましてや深刻な病気の可能性もあるのだから、すべて本当のことを伝えた方がいいのは分かっている。しかし、患者はうそをつく。なぜか。恥ずかしいという気持ちがあること、それに、医師から下される判断が怖いからだ。

調査では、医師と話す十分な時間がないから、医師から聞かれていないから、などと答えた患者もいる。しかしやはり、恥ずかしさや叱られるかもしれない、という恐怖から自分の身を守るような気持ちが芽生えてしまうことが原因だと言えそうだ。

日本人は6割の患者が医師にうそをつく

日本でも同じような調査が行われたことがある。日経ビジネスオンラインなどが会員を対象にアンケート調査を行い、347人から回答があった。なんと59.4%が「医師にうそをついたことがある」と答えた(※2)。

どのようなうそをついたのだろうか。

「症状に関して思い当たる原因」が最も多く36.4%。恥ずかしさなどから、言えなかったのだろう。「服薬状況」が34.0%。飲んでいないのに、飲んだと答えているケースが多そうだ。

「飲酒・喫煙などの生活習慣」が31.6%。うそをつきたくなる気持ちも分からなくもない。

患者がうそをつかないために…家族と「同行受診」のススメ

こうした状況に対して、患者と一緒に家族も診察室を訪ねる「同行受診」を提案する専門家もいる(※3)。

家族が見ている前で、お酒を飲んでいるのに「飲んでいない」とは、さすがに胸を張っては言いづらい。病気によっては、患者本人だけでなく、家族も一緒に説明を受けた方がいいケースもあるので一石二鳥だ。

医師から言われることが怖いというのが、うその理由の1つだが、医師は、患者の生活態度が悪いことを怒っているのではなく心配している(※3)。

患者本人にとっては、小さなうそなのかもしれない。しかし、それが原因で治療に悪影響を及ぼすこともある。医師は正しい判断もできない。医師には必ず本当のことを伝えよう。それがあなた自身のためになるのだから。

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