記事提供:カラパイア

「土に還る」とは、有機物が完全に分解されて土壌の一部と化すことで、死後、その体が還元され新たなる命の源となる永久機関的なリサイクルは自然界の習いである。

人間界においては、多種多様なエコフレンドリー埋葬が話題となっているが、5年前に発表されセンセーションを巻き起こしたインフィニティ・ベリアル・スーツ、通称キノコの死装束が間もなく登場する。

死装束には、キノコの胞子を植え付けた糸で刺繍が縫われており、埋葬後に発芽する仕掛けとなっている。

このキノコは腐敗する遺体を消化し、殺虫剤、保存剤、重金属などの体内に含まれる汚染物質を分解してくれる。すなわちこの死装束を着た遺体は、埋葬後にキノコの餌となるのだ。

出典 YouTube

ジェー・リム・リー:私のキノコ死装束

COEIOの共同創立者ジェー・リム・リーさんとマイク・マーさんは、スタンフォード大学のハッソ・プラットナー・デザイン研究所で出会った。

リーさんは遺体と地球が再び結びつきを取り戻すことができる埋葬方法を考案していた。

そして死後に遺体を“食べ”、体内の毒素を中和してくれるキノコのアイデアを思いつく。そのアイデアを検証するために、自分の髪の毛、皮膚、爪を様々なキノコに“餌”として与え、分解能力の高いものを選別したのだそうだ。

キノコの死装束には胞子が縫いこまれており、埋葬後発芽したキノコによって遺体を分解する。

「私たちは人間自身による汚染に対する責任を負っており、またその犠牲者でもあります」とリーさんは2011年のTEDで講演している。

この責任の一部に対処する方法として、死装束が死後に人体から有害物質が環境中に放出されることを防いでくれる。

多くのアメリカ人は遺体の腐敗を遅らせるために、葬式でホルムアルデヒドを使用されるが、この死装束ならそれが放出される心配もない。

また栄養を植物の根に素早く届かせるようにも設計されているそうだ。

キノコの死装束を使用する第1号となるのはデニス・ホワイトさん(63歳)だ。

ホワイトさんは原発性進行性失語症という神経変異疾患を患っているが、その診断を受けた際に、やがて前頭側頭認知症を併発し、死に至ると告げられたという。

その後インフィニティ・ベリアル・プロジェクトのことを知り、自らの死をより環境に優しいものにしようとリーさんと連絡を取った。

キノコの死装束を最初にまとう予定のデニス・ホワイトさん(63歳)

「デニスさんから手紙をいただいたのは、『これをどうやって世に広めようか?』と真剣に考えていたときでした」とドキュメンタリー映像の中でリーさんは話している。

ドキュメンタリーはデニスさんが計画するクリーンな葬式の経過を追い、彼がキノコの死装束を採寸したり、死亡記事を書いたりする姿が映し出される。

なおインフィニティ・ベルアル・スーツには動物の埋葬用に容器型タイプも用意されている。容器型タイプは来月に発売される予定だ。

また人間用の容器も早ければ今年4月か5月頃には発売されるという。スーツに関しては、すでに数百人もの予約客がいるそうだ。「昔ながらの葬儀屋のサービスに満足していないんですよ」とマーさん。

死装束から発芽し、遺体を分解するキノコのイメージ。

環境に対する関心が高い人たちにとっては、死体防腐処理に有害物質を使用したり、火葬にエネルギーを費やしたりするなどとんでもないことである。

一方、伝統的な葬式よりも安価な代替手段として関心を持つ人たちもいる。そうした人たちは、自分の死を通して世の中に対する見方や考え方を明らかにし、家族とのつながりを持とうとしているのだそうだ。

現在日本ではほとんどが火葬で、土葬の習慣が残っているのは主に奈良県や和歌山県の一部等に限られているそうだが、業火的な炎に焼かれるよりも土に還りたいという人はキノコの養分としての第二の人生が開ける可能性があるのかもしれない。

出典:atlasobscura
出典:awesomewithoutborders

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