結婚。妊娠。出産。母になる。

“母親”という新たな道を歩むことになる。長く続く旅路を、ゆっくりゆっくり…時には急ぎ足で。立ち止まることは出来ない。手探りで無我夢中で、幸せを噛みしめたり時にはもがき苦しんだり。
そんな中で忘れていく『女性であること』にふと気付いた時、なんとも言えない気持ちが押し寄せる。

これからお伝えするのは米・ワシントンポストに掲載されたコラム“Have I disappeared since I became a mom?(母になって私という存在は消えてしまったのか)”
2人の子をもつ1人の主婦が書いた内容に、あなたはどう感じますか?

アンさんは数日前、街を歩いていました。すると無精ひげを生やし、汚れた手で買い物袋を握りしめ、体のサイズに合っていない大きめの服を着ただらしない男性が前から歩いてくるのが見えました。そしてアンさんの横を通り過ぎる時、その男性は『綺麗な脚してるね、ママさんっ』と呟いていったのです。

忘れかけていた気持ち

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普通なら、知らない男性からすれ違い際にそんなことを言われたら“気持ちわるい”“最低!”などと思い、気分を害するのかもしれない。しかしこの時アンさんの心は明らかに跳ね上がり、顔がにんまりニヤけてしまったのだと言います。

子供を産んで母になってからというもの、“褒められるということ”に飢えていたのです。毎日の手料理から美容院で髪を整えることまで、それに気付き褒められるということが無くなった(減った)。その日常に慣れてしまっていたのです。
見ず知らずの怪しい男性に一言“お世辞”を言われただけでも、胸が高鳴るような嬉しさを感じたのです。そしてまた“褒められたい”“気付かれたい”“構われたい”という気持ちが再び芽生えたのです。忘れかけていた“自尊心”も思い出したのです。

アンさんは第一子を妊娠中、まるで自分が公共物にでもなったかのような気分になったと言います。外を歩けば色んな人から何ヶ月だとか、予定日はいつとか、初めての子供か、お腹の子は双子かなど声を掛けられ、お腹を触られたんだそう。
そして(かなり)年上の友人から『構ってもらえる今を楽しみなさい。2人目以降になるともう透明人間も同然よ』と言われたそうです。

自分が若過ぎたのか、経験が浅過ぎたのか、彼女の言っている意味が理解出来なかった。嫌味を言っているのかな?その程度にしか思わず、その時は気にしていなかったというアンさん。

でも、母という道を夢中で駆け抜けてきたある日、ふと気付いたんです。ぎゃーぎゃーグズって泣く子をベビーカーに乗せ、必死であやしながら街の中に居ても、誰も助けてくれない。1人取り残されたような気分。周りはみんな知らん顔。
あの時の友人の助言が、この時やっと理解できた気がしたのです。

そして40歳を過ぎると、視力もだんだん衰え、頭の回転もだんだん鈍くなり、褒め言葉を得る回数もぐんと減っていることに気がつくのです。若い頃にはわからなかったこと。『失って初めて気づく』…そんな感じでしょうか。アンさんは言います。

母であり、妻であるけれども、ひとりの女であり人間である

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アンさんが初めてショックを受けた日のこと。それは30代前半の頃にスーパーへ買い物に行った時でした。
買い物を済ませ、レジで会計をした時。20代前半くらいのレジ係の男性がアンさんを見て『ありがとうございました、奥さん』と言ってお釣りを渡してきたそうです。思わず『え?何?』と聞き返してしまったアンさんに、彼は『あなたのことですよ』と。
いやいや、そういうことを聞いているんじゃないの。私のことはわかっています。“奥さん”とはどういうことか。まだ30そこそこでおばあさんになった気分!とショックを隠しきれなかったと言います。

私にもそれは経験があります。初めてスーパーで“奥さん”と呼び止められた時…なんだかとてもショックでした。結婚して子供がいたら“奥さん”になるのかもしれない。でも、アンさんと同じく私も“奥さん”の一言でとっても歳を取ったように感じてしまいました。

どんなに良いシワ取りクリームを使っても、若い頃には戻れない。でも、気付かれたい、見られたいという欲望や褒められたいという気持ちは今でも衰えない。誰だって透明人間になんかなりたくないんです。とアンさんは言います。

初めての妊娠で鬱陶しいほど感じた周りの視線や声掛けにお節介も、そのうち無くなってしまい…一番助けて欲しい時期に知らない顔をされ、まるで透明人間になったかのよう。
家事や育児に追われ、自分のことは二の次に必死に生きるうち、老いは加速し、気が付けば誰にも構われなくなっていた…。
ある歳がくると、お世辞でも褒められること、温かい笑顔、受け入れてくれる心はそれまで以上に歓迎されるということです。気付かれたい気持ちだけは決して老いないのですとアンさんは締めくくりました。

子育てそっちのけで、恋愛やファッションにかまけることはあってはならないことですが、お母さんもひとりの女性なんですよね。自分に構う余裕がなく、ファッションも適当、メイクも最低限、髪はボサボサ…なんてよくあることではないでしょうか。気が付けば周りから褒められることも減り…子供が外でグズれば周りの冷たい視線ばかりが気になる…そうこうしてるうちに老けたー!って私もです。

インターネットで検索すると『子供を産むと女でなくなる』『子供を産んでから女として見られなくなった』という話題や悩みを沢山見掛け、胸が苦しくなりました。母でも妻でもあるけれど、それ以前に女性でありひとりの人間であることを自分自身だけでなく、周りも忘れてはならない、そう思いました。

アンさんのコラムに考えさせられるな〜と思いながらも、そうやってママとして女としての孤独を感じているのは“あなたひとりじゃないんだよ”と多くの人に呼びかけられる良いテーマなのではないかとも思いました。
女性の皆さんはどう感じられましたか?

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海外かぶれ✈︎のコテコテ大阪人ライターです。まだ日本では伝えられていないような海外ニュースを中心に、育児ネタ、雑学ネタを記事にしたいと思います。多くの人に感動を、そして様々な問題を考えるキッカケを与えていきたいと考えています。やんちゃな2児の育児に奮闘する傍ら、執筆活動を頑張っています★よろしくお願いします!

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