先日、スーパーから駅に続く階段を筆者が上がっていると、その横をコロコロと手袋が転がりました。フト見ると妊婦さんが落としたようです。

「あっ!おなか曲げないでそのままにしてて!」と手袋を拾って、その妊婦さんに手渡しました。「ありがとうございます」と言って妊婦さんはスーパーの方へ歩いて行かれました。

そのとき、私がおなかが大きかった時に同様に落ちたものを拾ってくれたHさんのことや、あの日のことを思い出しました。

拾っちゃダメ!

私が妊娠初期に、職場で仕事をしていたある日のこと・・・
まだお腹は大きくなってはいませんでした。

机の上の消しゴムだったかペンだったかは忘れましたが、何かを床の上に落としたので、私は座ったままでお腹を曲げて拾おうとしていました。

すると
「拾っちゃダメ!私が拾うから、おなか曲げちゃダメ!」

と向かい側に座っていた先輩のHさんが言いました。私は「えっ???」と思い、どうしてなのかわからずフリーズしていると、Hさんが席を立って床に落としたものを拾って、私に手渡してくれました。

「もう~!おなか曲げたら赤ちゃんがかわいそうでしょ!!」とHさんが私のおなかを撫でながら言いました。

不妊治療中

「あっ!ありがとう」とHさんに言いましたが、その時、私の中には戸惑いがありました。

実はHさんは当時、不妊治療中だったのです。 それまでに2回か3回妊娠されたのですが、いずれも流産になってしまって・・・というつらい経験をされていました。

不妊治療は色々と大変なようで、時々卵巣が腫れて入院したり、発熱したりおなかが痛いと言ったりされてました。治療費が高いことをこぼしたり、といったこともありました。

不妊治療の副作用でHさんが入院している時、上司たちは「あそこまでしなくてもいいのに・・・”夫婦二人だけでも、幸せになれるんじゃないの?”、って言ってあげたいけど、本人たちにしか解らないこともあるだろうし、そこまでは立ち入れないし・・・」「のど元まで出たけど、言う訳にはいかないからね。言ったら傷つけることになるだろうし・・・」などと語っていました。

私も、「妊娠中の私が目の前で仕事していたら、つらくないかなぁ?」と少し戸惑っていました。

やさしさ

不妊治療中の人の中には、「おなかの大きな人を見るのがつらい・・・」と言われる人も多いですよね。

だから、Hさんから「拾っちゃダメ!私が拾ってあげるから!」「おなか曲げたら、赤ちゃんがかわいそうでしょ!」って軽く叱られたときは、正直びっくりしたのです。

この1件だけではなく、Hさんは何かと私のおなかに負担がかからないようにと気遣ってくださいました。雨に濡れて出先から戻ってきて、タオルでまずは自分の頭を拭いている私を見て、「お腹から拭きなさい!!」と、私のおなかを拭いてくれたり・・・


同じような思いはして欲しくない

その時私は「もしも、私がHさんの立場なら、こんな風に妊婦さんに優しくできるだろうか?私もHさんのような優しい人になりたいな。優しくされたらどこかで誰かに返さなきゃね」と思いました。

「他の人には私のような思いはして欲しくない!」自分がつらかった体験も、そんな風に行動できる人でありたいです。

妊婦さんが落とした手袋を拾って、あの日を思い出し、そんなことを考えました。

あの妊婦さん、春にはママかな?どうぞ元気な赤ちゃんを産んでくださいね。

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患者からの目線と元医療従事者としての目線とで、医療や健康に関する記事をメインに書いています。
4度の手術に膠原病でバツイチで・・・と波乱万丈の人生ですが、”人生に喜びや笑いを添付したら結果は出るはず!”という「喜笑添結」で毎日を過ごしています。

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