うのたろうです。
ねえ、じいじ、あれ買ってー。
ねえ、ばあば、これ買ってー。

あ。
じいじは、うのたー証券の未公開株をとりあえず10000ほど。
今、だいたい1000円前後だけど公開されれば最低8倍になりますから。1000万の先行投資が半年もたてば8000万ちょいだよ? ってか、へたすら1億いくからね。

どうせ貯金はつかわないで口座にいれっぱなしなんだし、じいじはこれからもまだまだ長生きするじゃん。だから、今後お金のことで困らないようにさ。

で。
ばあばはこのカタログのダイヤモンド
ほら、ぼく、今度の6月に結婚するじゃん? 婚約指輪にしようと思って。通常価格2000万が半額で1000万円。50パーオフで激安なんだけど、なにせ特別価格だっていうんで購入に年齢制限がかけられてるみたいなんですよね。65歳以上じゃないとだめなんですって。

ぼく、コツコツお金ためてようやく貯金が1200万円になったんだけど、2000万にはぜんぜん届かなくて。ぼくがあとで1200万円で買い取るから先に変わりに買っておいて。ねっ(はーと)。

というものが、流行っています。


買え買え詐欺


「買ってかって」と、じいじ、ばあばにねだるけれど、ねだるものがどうにもこうにもかわいくない。それどころかどこかエグくて生々しい。

通常ならば目にいれたって痛くない孫のたのみも、これはさすがにちょいと痛い。
それどころか、こんなお願いちょいとおかしくねえものか? って思うほど。だけどなぜかだまされちゃう。

そんな「買え買え詐欺のメカニズムと対策法」を見ていきましょう……

Ⅰ.「買え買え詐欺」になぜひっかかる?

①「買え買え詐欺」の盲点

これだけ新種の「振りこめ詐欺のバリエーション」が年がら年じゅう夕方のニュースで放送されているのに、なんでまだこんなものに引っかかってしまうのか?

じつはこの「買え買え詐欺」にはちょっとした盲点があるんです。

それは……

「おねだりするのがじつの孫じゃない」という点です。

はあ?
じつの孫じゃないなら、なおさらそんなものに引っかかるわけないわい。わしゃまだそんなにもうろくしとらんわい(?)という高齢者のみなさま、甘いです。

ころっとだまされますよ。

では、ここで質問です……

②もし子どもや孫から電話があり、その内容が金の無心やなにかの催促だったらどうしますか?

おそらく10人中10人が「振りこめ詐欺を疑う」でしょう。

100人か1000人いれば数パーセントの人が引っかかるかもしれませんが、母数が少なければほぼ全員が回避していると見て間違いありません。

なにも「振りこめ詐欺を回避できたこと」は特殊なことでも自分の武勇伝でもありません。みんなできてあたりまえなんです。そのあたりのプライド、まず捨てましょう。

というわけで。
みんなだまされないんです。孫や息子などの親族を装う人物からの「おねだり」や「催促」には。

誰でもはっきりとノーといえるんです。だってもう15年もニュースが大騒ぎしているんですもの。

「そういった電話がかかってきたら、すぐに振りこみをせずに、まずは自分が知っている番号の息子や孫のケータイに電話して確認してください」

それが対策としてのマニュアルなんですもの。
いいかげん覚えるでしょ。15年もそんな文化にふれていれば。

というわけで、だまされないんです。孫や息子には。

③では、その相手が赤の他人――しかも「まじめなセールスマン」だったらどうでしょうか?

たとえば家にカタログが届きます。
すると、そのタイミングで電話が鳴ります。

「もうしわけございませんが、パンフレットのようなものは届きませんでしたか?」

もちろん、宝石商のようなそれっぽいカタガキで本名(に見せかけた偽名)を名のります。めっちゃちゃんとしている人です。

「届いた」というと、相手はほっとしたような態度で露骨にテンションをあげたりしまう。

「やっと見つけた」

そんなセリフを吐くこともあるでしょう。
そのあとのセリフは決まってこういうものです。

「そのパンフレットに記載されているものを自分の代わりに購入してほしい。購入権はそれを送られた本人にしかないから、あなたにたのむしかない。お金はもちろんあとで払う。しかも買ったよりも高い値段で」

うちの店の目玉にしたいから――そんなふうにいうこともあるでしょう。

もちろん、これだけならば、まだまだ信用にたりません。
だってこれだけ世間が「振りこめ詐欺に警戒を」と声を大にしているのですから。

④すると、人はどういう行動をとるでしょうか?

まずは封を切ったまま放置したパンフレット(という名のカタログ)をぱらぱらめくります。


この人がこんなにほしがっている商品ってすごいのか?
っていうか、それはいったいいくらくらいのものなんだ?
そもそも、そのナンチャラっていうやつはいったい全体どんなものなのか?


そんな疑問が頭をよぎり、ざっと目を通しちゃうんです、自主的に。

すると、その冊子には商品の詳しい情報が書いてあります――まあ、なんとタイムリー。

たとえば宝石なら発掘されたペルーかどこかの赤い山の写真。そしてカッティングを施した匠(たくみ)の名前や写真や経歴もろもろ……それがどれだけすごいレアものなのか、そしてその人がどれだけすごい人なのか、さらには製品になったときの市場価値はいったいどれくらいのものなのか。

もちろん宝石だけではありません。
仏像などもよく題材にされます。

これは樹齢何年のなんという種類の木をつかったものなのか。御神木という単語だって頻繁にでてくることでしょう。その説明はとにかく、かみくだいていてわかりやすいものです。

専門の知識がないしろうとの方でもすんなり納得できる文章で、専門知識(のフェイク)がしっかりと記載されています。これはぼくらのようなプロのライターでも詐欺集団が雇っているのでしょうか?

⑤そのときの人間の心理は……?

と。
それはともかく。

パンフレットをパラパラと読み進めるうちに感じるでしょう。


そこから仏像を削りだした匠はもうまもなく人間国宝に認定されるかもしれない。するとこの仏像の価値が跳ねあがるということが高確率で予想できる。っていうか、絶対そうなる。急速に知識がつき、賢くなった(つもりでいる)人たちは、そんなふうに感じてしまいます。

しかも、自分はひょんなことから買ったあとに商品をさばくルートはもうすでに確保できているのです。これは特殊。まさに特別なチャンスと感じずにはいられません。

もちろんそのさばくルートというのは、今まさに電話をしている相手。この人は「高値でいいからほしい」といってくれている。そんな人物が、今、まさに目のまえ(電話のむこうだけども)にいる。まさにカモがネギ背負ってやってきている状態というわけです。

するとそのカモネギ男子はいいます。

「もちろん、買った時点での所有権はあなたにあります。ですので、金額はわたくしどものいい値でなく、きちんと交渉にも応じます。これには社運がかかっているんです」

そんなセリフが背中を押すかもしれません。
すると、あなたは頭のなかのそろばんをチョー高速回転(という名の気のせい)で弾きます。


あれをして、これをして、それをして、そういえばあれも買いかえて――


感覚としてはエヴァの碇シンジくんの葛藤のようなものです。逃げちゃダメだ――のひとことにすべての気持ちが集約されています。

交渉には昔、働いていたころに培った自分だけのノウハウをつかえば、こんな青二才をやりこめられる。ふふっ、あのころの経験がこんなところで役に立つとは。これは自分にしかできないことだ。人生最後の大チャンスがきたんだ。よし……

そんな欲とプライドが頭と心を支配して知らずしらずに返事をしています。

⑥間違った決意

「やります。ぼくがエヴァにのり……」

じゃなくて。

「わたしが代わりに購入しましょう」

きっと、めっちゃイイ顔していると思いますよ。
眼光鋭く、声もシャンと張っている。そんな気持ちで購入を決意することでしょう。

そして、そのパンフレット(という名のカタログ)の隅のほうにちょこっと載っている価格と振込先をチェックするでしょう。あまり目立たない場所に書いてあったりするのがうまいところ。これこそが匠の業というやつです。

どうにもすんなりはいってこない。ぐいぐいと売る気がないって感じがする。これがまた安心材料になったりするものなのです。

いまいちわかりづらくて、あーだこーだと質疑応答をくり返す。すると電話の相手は期日や買い方などのレクチャーをわかりやすくしてくれます。

おおっ、なるへそ。
なんて親切なんだ、このカモは。
これから、わしの交渉術でいい値よりも高い値段で買わされるくせに……

なんて思うかもしれません。
人間の心理なんて、そんなもんなのです。他人にゃ厳しいくせに、自分にゃとことん甘いんです。

で。
なんやかんやと期日までに振込を終わらせぶじ品物を購入します。

⑦すると……

品物は後日、うやうやしく運ばれます。
もちろんネコや飛脚の運送業者なんかじゃありません(足がついちゃうから)。

大衆むけではないしっかりしたそれっぽい専用の人たち。スーツに白手袋の人が地味なテイストの社用車(というてい)であらわれるでしょう。だって、もともとあなたひとりをターゲットにして、近くでスタンバっていたんですから、自分で運んだ方が早くて安くて安全なんです。

まあ。
それはともかく。
品物にかんしては、しっかりとした引き渡しがおこなわれます。
専門の人たちが買えると、あなたは手にした宝をさらに輝かせるため、先日電話をしてきた「買い取りますのカモネギの人」のもとに電話をします。

緊張と興奮がいり混じる感情を抑えプッシュボタンを押し、ごくりと唾を飲みます。ばりばりのビジネスマンだったあのころの記憶が脳裏によみがえります。

時間がゆっくりとたちます。

空白が1秒、2秒、3秒、4秒……

と。

「この電話番号は現在つかわれおりません」

なんてアナウンスが流れましたとさ。
ちゃんちゃん

ね?
だまされちゃうでしょ?
これで詐欺成立です。

これが「買え買え詐欺の手口」「ひっかかる心理状況」です。

1000万の出費と宝石(あるいは仏像)だけが残りました。
ついでにいえば、その宝石だか仏像だかはせいぜい1万円とか3万円とか5万円の価値しかありません。ウソだと思うなら、どこかで鑑定してもらってください。

はっきりいってゴミですよ、それ。

では……

Ⅱ.「買え買え詐欺」にひっかからないための対策は?

さて。
むかついたでしょ?
詐欺にも、ぼくのいい方にも。

その気持ちです。
その気持ちが一番の対策なんです。

はっきりって、この手の「振りこめ詐欺」はケータイ電話の新機種どころか、コンビニスイーツの新商品よりサイクルが早いです。

これはこうすればだまされない――そんなマニュアルを覚えたところで、べつの手口にはこうもあっけなくだまされちゃうんです。

ですので、まず、ムカついてください。
おいしい話し、全部に。

世のなかには、得する話しなんてありません。

すくなくとも現代社会にはスイーツの甘さなんてありません。
砂糖の代わりに塩どころか毒がはいっています。口にすれば身を滅ぼします。

他人がもちかけるうまい話しは、いっさい信じないこと。
なんといっても、あなたは頭が良くないんですから。しかも、今までの経験なんてくその役にも立ちません。厳しいことをいっています。それは充分わかっています。
でも、そういった思いでいなければいけません。プライドなんてじゃまなんです。

ですが。
すべて「NO、NO」いっているだけではヘンクツな老人になってしまいます。
そうなると世界が急にほそく狭くなっていきます。それはそれで生きづらい思いをしてしまいます。ですので……

自分の息子や孫のことは信じましょう。もちろん、電話で金の無心をしてきた場合は詐欺を疑ってください。信じなければいけないパターンはたったひとつ。

「子や孫が面とむかって話している言葉」

それならばすべてを信じても大丈夫です。
だってあなたの子どもでしょ。
あなたの孫でしょ。

もし、先ほどの例のように「○○を買ってくれ」なんていうことを直接、顔をあわせている子どもや孫がいったならば、事情をきき、納得したうえでお願いをきいてあげてください。

きっとそれは、あなたのことを思っていっているセリフだからです。いわば愛です。
その言葉まで「おまえは、詐欺にだまされているんだ、目を覚ませ」なんていって切り捨ててしまっては、偏屈な老害と化してしまいます。息子や孫に愛想を尽かされ、結果、さびしさがつのり、いずれ「振りこめ詐欺」の餌になってしまいます。

老いては子に従え――

昔からの言葉があります。
これはかつて自分の親や祖父母がそうであったように、それが今度は自分の身になっただけなのですから……

まとめ

「振りこめ詐欺」に引っかかる人は、決して特殊な人ではありません。誰でも簡単に引っかかってしまうのです。だって「ふつうの人や頭のいい人を引っかけるために、もっと頭のいい人がプランを考えている」んですから。

だから、まずプライドを捨ててください。

「自分はだまされる可能性がある」

そんなふうに思ってください。

いつまでも若くありません。
いつまでも強くありません。
いつまでも賢くありません。

だから、信じるんです。
本当に目のまえにいる自分の子どもや自分の孫を。

そして、世界を疑ってください。
かなしいですけど、だまされないためにはそういった気持ちが一番大切になってきます。

っていうか、そもそも、電話だけで高い買い物しちゃダメだからね?

そんなことは、たぶん昔からいわれていることでしょ?
本当に気をつけてください。

今回、お知らせしたいだまされない対策は3つ。


①甘い話しにむかつくこと
②家族に愛を持つこと
③プライドを捨て自分を過信しないこと


厳しいことばかりいってしまって、すみません。
これを読んで「買え買え詐欺」の被害者がひとりでも少なくなりますように。

うのたろうでした。

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きてくれた、すべての人を、愛しています。
【twitter】@unotarou

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