先日、2016年の本屋大賞ノミネート作品10作品が発表されました。
本屋大賞とは、書店員さんが面白い、オススメしたいと思う本に投票し、選出される賞です。年に1回発表されるこの賞ですが、作家さんなどの専門家ではなく、いつも本と読者の一番近くにいる書店員さんが選ぶ賞ということで、毎年大きな話題となります。

中でも注目は、2014年から3年連続ノミネートの辻村深月さん。2012年の直木賞を始め、数多くの賞を受賞している作家さんです。辻村さんと言えば「ツナグ」「太陽の坐る場所」「本日は大安なり」など、映画やドラマなどに展開されている作品も多く、ご存知の方も多いかと思います。

「朝が来る」

2016年の今回ノミネートされている作品がこちら。今回はなんといってもテーマ。昨今社会問題になっている不妊治療とか養子縁組とかそういった重めのテーマを、直木賞作家の辻村さんが描く。私の好きな辻村作品要素の、女性、子ども、そしてちょっぴりだけどミステリーの入った作品で、昔からのファンはもちろん、辻村作品を読んだことない人でも読みたくなるような作品になっています。

さて、学生から大人まで、幅広い世代に人気の作家・辻村深月さんですが、数ある作品の中でも、特にオススメの5作品を紹介したいと思います。

「冷たい校舎の時は止まる」

エンターテインメント界注目の大型新人・辻村深月が贈る青春小説
閉じ込められた8人の高校生――雪はまだ降り止まない
「ねえ、どうして忘れたの?」

雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――。第31回メフィスト賞受賞作。

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辻村深月さんの処女作で、メフィスト賞受賞作です。
8人の高校生を中心に描かれる青春、ミステリー小説です。8人それぞれが物語を持ち語られていくのですが、それぞれのめりこんでしまうほど巧みな描写と、先が気になってしかたないストーリー展開に、上下巻の長編作品にも関わらず、一気に読み切ってしまいました。

「ぼくのメジャースプーン」

「書き終えるまで決めていたのはただ一つ、<逃げない>ということ。――私の自信作です」――辻村深月

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。

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個人的に、辻村さんは子どもを描かせたら右にでるものはいない作家さんだと思っています。
この作品は、小学生が主人公ということで、当初は少し敬遠してしまっていました。主人公が幼すぎてストーリーや描写が浅くなったり、現実とかけ離れたりする気がしてたのですが、そんな心配は杞憂に終わりました。それどころか、小学生なのに思わず感情移入させられたり、小学生という幼さだからこその力強さとか揺るがなさが巧みに表現されていて、脱帽せざるをえません。

ちなみに、講談社文庫時代の辻村さんの作品の多くは、登場人物や設定が少しずつリンクしているため、なるべく刊行順に読んでいくことをおすすめします。「ぼくのメジャースプーン」は、読む前にこちらの「子どもたちは夜と遊ぶ」を読むとより楽しめます。

「スロウハイツの神様」

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー

あの事件から10年。
アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

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前述した2つの作品を始め、辻村さんの他のミステリー作品はこれぞミステリーというような展開によってはっと驚かされることが多いのですが、こちらの作品では違います。そういったミステリー展開は二の次で優しく温かい絵本のような作品だと思っています。私が一番好きな作品で、普段本を読まない人でも全ての人にオススメする作品です。

「V.T.R.」

本書を読む前に、ぜひ、辻村深月の長編ミステリー『スロウハイツの神様』を手に取ってください。味わう感動と興奮が、何倍にも膨らみます。

辻村深月の長編ミステリーから物語が飛び出した。「スロウハイツ」の住人を受け止め、支えたあの作家。物語に生きる彼らと同じ視線で、チヨダ・コーキのデビュー作を味わおう。
『スロウハイツの神様』の世界へようこそ。「ねえ、ティー。一人ぼっちにならないで。アタシはあなたを愛してる」。
解説・赤羽環。

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前述の「スロウハイツの神様」の中のコウちゃんこと作家チヨダ・コーキのデビュー作を、辻村深月によって描かれた作品。普段の作風とはかき分けられていて、若い頃に描いたというデビュー作らしさとかチヨダ・コーキらしさがでていて、改めて辻村さんのすごさに感心させられた作品です。

「盲目的な恋と友情」

これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。

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比較的明るく軽めの作品が多い講談社から出版される作品とは一変してがらりとかわる作品。巧みな心理描写は相変わらずですが、女性の冷淡さとか後ろ暗さとか、どろどろした感情を、これでもかというくらい見せつけられる作品です。共感したくないのにしてしまう主人公たちの行動や感情に、胸がしめつけられます。感情移入してしまうと、この先読むのが怖いとさえ思ってしまうのに、怖いものみたさに思わず読み進めてしまう物語になっています。

いかがでしたか?
こちらに紹介させていただいた作品はすべて、電子書籍kindleでも読むことができます。辻村深月さんの作品はそのほとんどがkindle化されているため、普段単行本を読まない人でも気軽に手に入れて読むことができます。

現在絶賛投票中の本屋大賞。芥川賞受賞作の又吉直樹さんの「火花」、2016年の直木賞ノミネート中の宮下奈都さんの「羊と鋼の森」をはじめ、他にも多くのすばらしい作品がノミネートされています。気になる大賞の発表は2016年4月中旬に予定されています。この機会に普段は読まないような作品でも手にとってみてください。

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