記事提供:カラパイア

2015年はアノニマスというハッカー(クラッカー)集団にとって忙しい年であったろう。クリスマス前にはイスラム国から原油を購入するトルコ政府に抗議してDoS攻撃を仕掛けた。

12人が殺害されたシャルリー・エブド襲撃事件を受けて、1月にイスラム国に宣戦布告をし、その構成員や支持者が利用している聖戦フォーラムの多くを削除した。

またイスラム国の構成員との疑いがある人物のメールアドレスや個人情報も暴露している。

アノニマスは、インターネット上のハクティビズム(アクティビズム“activism、積極行動主義”とハック“hack”を組み合わせた造語でハッキングで政治的意思を示す行為)による国際的なネットワークである。

お互いを知らない個の集団が特定の目的により緩やかにつながり、分散化された指揮系統をもったインターネット上の集まりと称されている。

その起源はネット掲示板の4chanとされている。4chanを使用する様々な素性を持つユーザーたちが緩やかにつながり、面白半分でハッキングを開始したのが始まりだ。

「我らはアノニマス。我らは軍団。我らは許さない。我らは忘れない。待ってろよ!」というスローガンと、不気味なガイ・フォークスのマスクがトレードマークとなった。

最近の活動は当初とはかなり変化しており、言論の自由や知的所有権絡みの規制と闘うロビンフッド的な思想を賞賛する向きもある。だが、多くはその無責任な行為に批判的であろう。

賛否いずれにせよ、その行動は注目を集める。

過去10年で、アノニマスに関係していると目されるハッカーたちは、政府や企業などのサイトにハッキングを仕掛け、2012年にはタイム誌の世界で最も影響力のある人々100人にも名を連ねた。

そのような彼らについて、あまり知られていない10の事実をここでお教えしよう。

10. 敵を選ばず

ここ数10年、ハクティビズムは様々な方法で実行されてきた。1998年には、“地下の軍団(Legions of the Underground)”と称するハッカーグループがイランの人権侵害に抗議して、インターネットを遮断すると脅迫している。

だがアノニマスの行為は脅迫にとどまらない。彼らが不快に思う思想の持ち主なら、相手が誰であっても敵とみなし、ウェブサイトの改ざん、機密情報の暴露、DoS攻撃などで攻撃する。次に挙げるのは、最近アノニマスが行ったサイバー攻撃だ。

・人種差別を公然と行うウェストボロ・バプティスト教会メンバーの個人情報暴露

・カトリックの教義や子供の性的虐待疑惑などに抗議して、バチカンのウェブサイトを削除

・中東の戦争で利益を上げているとされるコンバインド・システムズ社のサイトの改ざん

出典 http://karapaia.livedoor.biz

個人、組織、政府、その別を問わない。だが、アノニマスが関心を払っているのは大きな問題だけではない。ささいな問題にも論戦を仕掛けてくる。

9. 「恋と戦は手段を選ばず」

繰り返すが、彼らは敵を選ばない。同時に手段も選ばない。元盟友のジュリアン・アサンジもそれを思い知ったことだろう。

2010年、ウィキリークスは、アメリカの外交通信記録を暴露した。その一部はアノニマスが情報源であるとされている。

これに対してウィキリークスには、アマゾン、ペイパル、マスターカードからのサービス停止をちらつかせる形で、機密情報の公開を停止するよう圧力がかけられた。

2010年12月、報復作戦の一環として、アノニマスはウィキリークスへのサービスを停止した決済代行業者に攻撃を仕掛け、マスターカードやVISAのサイトを削除した。

しかし、アサンジがウィキリークスの特定ファイルの閲覧を有料にすると、アノニマスはすぐさまこうした支援を停止する。彼らにとって情報は無料でアクセスされるべきものであったからだ。

8. ローテク攻撃

ハッカーの常套手段は、サイトの改ざんやアクセスの妨害だ。アノニマスがボットネット作成に好んで利用するのは、HOIC(High Orbit Ion Canon)というツールだ。このボットネットは毎分ごとに標的のサーバーにアクセスして、オーバーロードさせる。

ところが、こうした高度な技術に加えて、相当なローテクも利用される。プロジェクト・チャノロジーと呼ばれる反サイエントロジー活動では、繰り返し電話をかけたり、メールを送信したりという、かなり程度の低い嫌がらせが行われた。

またサイエントロジーのオフィスに膨大な量の真っ黒なファックスを送りつけたりもした。大して害はなさそうに思えるが、とんでもない。

これはファックスのインクが無くなるまで続き、大量のインクと紙を無駄にする上、電話回線も使えなくしてしまうのだ。

7. 汚れ役をいとわず

プロジェクト・チャノロジーの一環として、アノニマスの18歳のメンバーはかなり汚い戦略をも採用した。

2009年1月、彼はある手土産を持ってサイエントロジーの本部を訪問した。手土産とは言っても、誰も欲しがらなそうなやつだ。彼の上半身にはワセリンがべっとり塗られ、足の爪と陰毛がびっしりとくっ付いていた!

彼は建物に侵入すると、そこかしこに触りまくった。もちろん警備員はいるが、彼に触る気にもならない。愚かで不快な行為であるが、同時に天才的で笑えもする。

6. 巻き添えをいとわず

アサンジの例からは、彼らの対応の早さが分かる。こうした事例は他にもある。

2010年、インド映画業界がソフトウェア企業アイプレックスと提携し、映画の海賊版を配信するサイトにDDoS攻撃を仕掛けた。

これが、いかなるものであれ検閲に反対の立場をとるアノニマスを怒らせ、著作権保護団体や海賊版対策団体へのサイバー攻撃を開始されるに至った。

ポルトガルの規制サイト、ACAPORが改ざんされ、数日後にはロンドンのミニストリー・オブ・サウンドとギャラント・マクミランのサイトが攻撃を受けた。さらにCopyprotected.comやイギリス知的財産権庁もDDOS攻撃の対象となった。

キッスのジーン・シモンズは、「ブランドをきちんと守ろう…皆を訴えよう」という発言が引き合いに出され、自身のサイトを2つ削除された。

またライムワイヤがアメリカレコード協会との裁判に敗れたことを受け、2010年10月に同協会のサイトも削除した。被害を受けたのはインド映画業界の行為とは直接関係のない対象であったが、アノニマスの報復を受けることになった。

5. パートで動物の権利保護活動

彼らは弱者とみなす者の苦境を見過ごさない。それは苦境にあるのが動物でも同じである。

2009年、ある10代の少年が猫を虐待する場面を撮影し、ユーチューブに投稿した。彼は目出し帽で顔を隠していたが、動画が4chanに拡散すると、間もなく身元が特定された。

4chan(アノニマスの起源である)のユーザーによって、フェイスブックやマイスペースのアカウントから調べ上げた少年の氏名や住所はおろか、両親の氏名、職場の住所や連絡先までが晒され、さらに地元警察への通報も行われた。

数日後に少年は起訴され、猫が救出された。

また日本の捕鯨に抗議して、安倍首相のホームページなどに90日間ハッキングを仕掛けたのもごく最近のことだ。

4. 特定のリーダーはいない

アノニマスはおそらく指揮を取る中心的な人物はいないと考えているだろうし、そのように行動している。

共同体として行動するために、特定の個人を首謀者として挙げることはできない。この分散構造のおかげで、時として意図や動機が不明瞭になるという問題もある。

彼らの匿名性もそうした傾向に拍車をかける。それぞれが異なる大義名分のために戦い、互いに反目していることすらある。

2014年12月、アノニマスの分派と言われるリザードスクワッドが面白半分でプレイステーション・ネットワークを攻撃した。アノニマスは速やかに声明を発表し、そうした“子供じみた”行為と自分たちは無関係であることを宣言している。

ラルズセックという他の分派は、ザ・サン紙やCIAへの攻撃を仕掛けたとされるが、その目的はできる限りのネットワークにハッキングし、手当たり次第の情報をリークすることであった。

こうしたただの悪ふざけで人々を危険にさらすような行為からは、アノニマス本体は距離を置いている。ただし、誰でも加入できることから、アノニマス内部で統制を図ることも難しい。

3. 未解決事件を解決

彼らはお節介な連中の集団なのだ。地方警察が手をこまねいているような場合でも首をつっこむ。

2011年、アメリカ、スチューベンビルで、酒で泥酔した少女が強姦され、その場面を撮影した動画がネットに投稿されるという事件が発生した。

当初、地元警察は“証拠不十分”と乗り気ではなかったが、そこへアノニマスが登場し、すぐに容疑者と思われる少年たちの名前や写真などを暴露した。

こうして事件が世間からの注目を浴びるようになると、ようやく警察は本腰を入れて調査するようになった。

2. たまには間違う

高い調査能力を誇るアノニマスであるが、たまには間違うこともある。

2012年、SNSでのいじめを苦にして15歳のアマンダ・トッドが自殺した。警察はいじめの実態を明らかにするべく捜査を開始するが、2週間後に証拠は見つからなかったと発表した。

そしてアノニマスが登場する。彼らはいじめの主犯者の1人としてバンクーバー在住の男の個人情報を公開した。そうした情報には、フェイスブック、ツイッター、グーグル+のアカウントや自宅の住所があったが、1つ問題があった。

実は容疑者とされる男はその住所に住んでいなかったのだ。つまり彼らは、そこに住んでいた全く無関係の人物を危険にさらしたことになる。

1. アノニマスの暗躍で得をするのは…

『Vフォー・ヴェンデッタ』のラストは、ガイ・フォークスのマスクをかぶった群衆が集まるというものだった。まるで最近のアノニマスを象徴するようなシーンだ。

アノニマスが作成する動画には3つの特徴がある。メンバーはボイスチェンジャーで声を変え、黒いフードとガイ・フォークスのマスクをかぶっている。

そしてタイトルにはVの文字が使用される。「民衆よ、政府を恐れるな。政府よ、民衆を恐れよ」。まるで彼らがこの思想を共有しているとみなしているかのようだ。

だが自らの正体を隠すためのマスクが思いもかけない結果をもたらした。

ガイ・フォークスのマスクが世界中で飛ぶように売れ始め、その権利を所有するタイム・ワーナー社のドル箱となったのだ。

マスクの販売量は年間10万着にも達し、アノニマスの敵の1つである組織の懐を潤すようになってしまった。

出典:therichest

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス