うのたろうです。
近年、お風呂にはいって溺死するという死亡事故が増加しています。

お風呂で死ぬ――とくに高齢者に多いようですが、こういった事故はいったいどうして起こってしまうのでしょうか?

お風呂場での「不慮の事故」。この原因とメカニズム、そしてそういった事故を起こさないための対策、予防方法を本日見ていきましょう。まずは……

いったい一年間で、どれくらいの方が亡くなっているの?

日本での死亡原因の第5位は不慮の事故。
しかもその「不慮の事故」というのは交通事故ではありません。交通事故って、意外と少ないんです。では、なにが多いのか?

それが先ほどから述べている「お風呂場での不慮の事故」――つまり「家庭内での溺水・溺死」です。

お風呂場での溺死は年間4866人(2014年)だそうです。しかしこの「溺死」という言葉の恐ろしいところは、じっさいにあらわれている数字以上に死亡件数が多いという点です。

といいますのも、お風呂で溺れ死んだ場合「事故死」という扱いになります。
しかし、お風呂にはいったことがが原因で心・脳疾患の発作を起こし死んでしまった場合の死因は「病死」ということになってしまうのです。

どちらも原因は「お風呂にはいったこと」。溺死でも病死でもおなじなんです。これを踏まえると「お風呂で溺死した人」+「お風呂場で病死した人」をあわせるとなんと1万4000人という数字があらわれるそうです。では……

どうして家庭の浴槽での溺死するの?

メカニズムは単純です。


外は寒い

お風呂は熱い

急激な温度変化で血圧が大きく変動

失神

浴槽でおぼれる


ひとことでいえば「温度差」。これがお風呂場で起こる不慮の事故死――溺死のメカニズムです。では……

「お風呂の溺死」どんな人が起こりやすいの?

入浴時この約8割は「ひとりで入浴している元気な健康高齢者」です。
お風呂にさえはいらなければ死ななかったような人が、お風呂にはいってしまったがために死亡してしまうという健康問題は極めて重要だといわざるを得ません。

ちなみに……
とくに多いのは以下の人や条件。


◎.高齢者
◎.女性
◎.気温の低い日の入浴
◎.入浴時間が深夜~早朝


ということは……


高齢の女性で気温の低い日の深夜から早朝に入浴」している人がもっとも危ないということになります。

一方「夕方に発生した場合は、たとえ事故が起こったとしても死亡したという例が少ない」というのも特徴です。

人間は体温、血圧などの生命現象を24時間のリズムできざんでいます。
これを数値化したときにその値が最高になるのが夕方4時ころ、そして最低となるのが早朝であるといわれています。

そのため事故が発生した場合でも値の高い時間帯(16:00ころ)ならば死亡にまで至ることが少ないのだということがいえるのです。ちなみに……

海外(欧米諸国)では、おなじような事故は起きているの?

結論からいえば「ないことはない」ていどです。そして、その可能性は極めて低いものです。

といいますのも欧米各国と比較すると、日本における溺死は海での水難事故の多いギリシアに次いで世界第2位というワースト記録をたたきだしてしまっております。

しかもギリシアをふくめ海外では、このような入浴中の急死はそれほど多い数字をマークしません。なぜか?

これには「湯船に浸かる」という日本独自の文化が関係しているのです。欧米諸国と日本の「入浴」の違いを見てください。


◎.欧米→身体を清潔にすることを目的とする
◎.日本→身体を温める、リラックスし入浴自体楽しむ


つまり欧米諸国の人たちは、ほぼ湯船に浸かりません(たまに浸かるくらいです)。この差がじつはとても大きいものだったのです。つまり……

単純に事故をふせぐだけの目的というのでしたら、極力、湯船に浸からないようにするということが大切になってきます。

しかし。
湯船に浸かる入浴が日本の文化なので「湯船に浸かるな」といわれても、なかなかそういうわけにはいきません。それならば……

お風呂場で溺死事故を起こさないための予防は?

お風呂場で溺死事故を起こさないためには、まずそのメカニズムについてもう少しだけ詳しく知る必要があります。

まず予備知識として血管は温まると広がるという性質を持っています。
では、逆に冷えるとどうなるでしょうか?

とうぜん逆のことが起こります。血管が収縮するのでです。

ということは脱衣所が寒い場合は入浴まえの血管がひじょうに細く収縮してしまっている状態だということがわかると思います。
血管が収縮してしまっているということは、その細い血管に血液を通さなければいけません。するとどうなるか?

血を身体に送るためのポンプである心臓に急激な負荷がかかります。血圧をあげなければいけなくなります。つまり「高血圧の状態」になるということです。

その状態の人が、熱い湯船に浸かるともともと高くあがっていた血圧はさらに高くなります。そして心臓への負担がさらにアップしてしまいます。これがどれほど危険なことかというのは、想像に難くないはずです。

このような血圧の上下動による失神→事故は湯船の温度を42~43℃に設定している人がなりやすい傾向にあります。
湯船との温度差が激しければはげしいほど心臓に負担がかかり、その結果、失神して溺れてしまうという事態に陥ってしまうのです。

さらに長時間(10分以上)の高温浴(42℃以上)をおこなうことも大変危険です。まず高い温度のお湯に長時間はいっていると発汗によって血液量が減少します。さらに血液凝固亢進状態を起こす原因にもなり、その結果、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことにつながる場合があります。

また高齢者の場合、湯船から立ちあがるさいの血圧の下降にも注意するようにしてください。通常、人間は入浴後4分~5分でいったんあがった血圧が入浴まえとくらべ5%~30%ていど減少します。
その状態に立位動作(浴槽からでるときの動き)がくわわると、血圧はさらに下降する場合があります。

これは「食事後性低血圧」「起立性低血圧」とおなじメカニズムで起こると考えられる現象で、高齢者によく見られる現象です。

まずは、こういった点に注意するようにしてください。
さもないと浴室での不慮の事故というものが起こってしまいます。では、あらためて……

入浴事故予防のための対策

◎.湯温は39℃~41℃くらい
◎.長湯をしない(最長でも10分までにとどめる)
◎.脱衣場や浴室の室温が低くならない工夫をする
◎.食事直後や深夜に入浴しない
◎.気温の低い日は夜早めに入浴する
◎.心肺の慢性疾患や高血圧症をもつ人では半身浴が望ましい

その他の入浴の注意点

42度以上の熱いお湯に浸かることの危険性は先に説明した通りです。
しかし、入浴時の注意点はほかにもあります。

それは「お風呂場で眠くなることも危険」だということです。

お風呂で眠くなると「気持ちよくてついつい」や「今日は疲れていたんだな」なんて思う人がほとんどです。しかし、それは大きな間違いです。

入浴中にうとうとしてしまうというのは「気持ちよくて」とか「昼間の疲れがどっとでて」ということではありません。「失神寸前の状態に陥ってしまっている」ということです。

具体的にはどういうことなのでしょうか?

まず浴槽に胸まで浸かります。
するといったんあがった血圧がじょじょに落ちつき、数秒後から血圧が低下し始めます。すると脳への血流が不充分になります。脳が酸欠状態になってしまうということです。

脳が酸欠状態――これはつまり「失神に近い状態」になっているということです。これをそのまま放置するとどうなるかというのは火を見るよりも明らかです。

はっきりいいます。失神します。
そして溺れます。湯船で。これはひじょうに危険な行為ですので注意してください。

また脳が酸欠状態に陥ると、ほかの危険も生じます。
まず心臓が急いで脳に血液を送ろうとします。その結果、心臓に急激な負荷がかかり、高齢者はいとも簡単に心筋梗塞を発症したりしてしまいます。そして、やはりそのまま意識をうしない、その後、溺死してしまうというわけです。

さらにもうひとつ。
絶対にNGな行為もあります。それは飲酒後すぐの入浴です。
汗をかいてもアルコールが汗といっしょに体外に排出されるわけではありません。
逆に脱水症状を引き起こす可能性さえあります。もちろん、お風呂のなかで飲酒をするなど愚の骨頂。絶対にしてはいけません。死にますよ。

まとめ

というわけで、本日ひじょうに怖い話でした。

高齢者のみなさま。
とくに女性の方。
本当に気をつけてください。

冬の入浴は、まさに命がけです。

ですので、まずは入浴に対する意識を変えてください。
入浴は温めるためにおこなうものではありません。身体の汚れを落として清潔にすることを目的としてください。最悪、シャワーだっていいんです。

そして大切なことは、入浴まえに自身と脱衣所と浴室を充分に温めておいてください。すべての温度差をできる限り少なくするのです。

寒い日にはなるべく入浴しないでください。
もし入浴するという場合は、できれば一日のうちで身体がもっとも調子の良い夕方4時ころを目安にしてください。そして間違っても食事の直後にはお風呂にはいらないでください。

また入浴まえには自身の身体と脱衣所を充分に温めておき、浴室との温度差をできる限り少なくしてください。

シャワーか半身浴がのぞましいですが、もし湯船に浸かる場合は39℃~41℃のあいだ。それも10分以内にとどめてください。

また重要なポイントとして、入浴のさいは家族の誰かに声をかけてからはいるようにしてください。万が一の場合、発見が早ければそれだけ助かる可能性もあがります。

なんだかいろいろと「やらなければいけないこと」「やってはいけないこと」があって面倒くさくなってしまうと思いますが、命がかかっていることです。本当に気をつけてください。

日本での死亡原因の第5位は「不慮の事故」です。
不慮の事故とは交通事故ではありません。ほとんどが家庭内における溺死です。

水が原因で人が死亡するケースは水難事故の多いギリシアについで日本は世界第2位です。こういった恐ろしい事実がデータとしてあるのです。

本当に気をつけてくださいね。

入浴は、安全に気持ち浴ね。

なんちゃって。
うのたろうでした。

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